2018年9月18日火曜日

2018.09.16 鹿沼フィルハーモニー管弦楽団 第34回定期演奏会

鹿沼市民文化センター 大ホール

● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を買って入場。

● 曲目は次のとおり。指揮は神永秀明さん。
 ブラームス 悲劇的序曲
 モーツァルト 交響曲第29番 イ長調
 ブラームス 交響曲第4番 ホ短調

● ひとりの作曲家を除いてそれ以外の楽曲はすべてこの世から抹殺する,と神様がおっしゃったら,誰を残してほしいか(素人が考えそうなことでごめんなさい)。
 ぼくはずっとベートーヴェンだと思っていた。間違ってもブルックナーやマーラーではない。
 ベートーヴェンの交響曲を聴ければ渇はほぼ癒されるし,弦楽四重奏曲を聴ければ音楽の底の深さを感じるに充分。そもそも,ピアノ協奏曲,ピアノソナタ,ヴァイオリンソナタなど,ベートーヴェンは巨大といってもいい作品群を残していて,全部聴くだけでも大変でしょ。

● が,最近,ブラームスかなと思うようになってて。ブラームス,素晴らしい。
 ブラームスの良さを知るのに,ずいぶんと時間を要してしまった。っていうか,最初はベートーヴェンの亜流としか思っていなかったというのが正直なところで。
 ブラームスの独自性というのか,これがブラームスだっていうのを感じられるようになるのに,これほどの時間を要するバカも世の中にそんなにいないと思う。

● ブラームスの人がらとか生い立ちとかクララ・シューマンとのあれやこれやは,基本,どうでもいい。作者と作品は別だ。
 ぼくらが問題にできるのは作品だけだ。作品との絡みで作者の性格や作曲当時の生活状況を問題にすることは,“解釈”するうえで必要なのかもしれないけれども,それもほどほどにしておけと思っている。
 作品と作者の絡みって,後付けで関連付けられるほど単純ではなかろうし,後付けでわかりやすく説明されている“関連”はだいたい間違っていると,ぼく一個は考えている。

● 中でも4番が好きだ。最初の踏みだしでガッと捕まれて,終局まで離してもらえない。いろんな所に連れていかれる。目まぐるしく風景が変わるかと思えば,天国なのかここはと思わせる数分間がある。
 振幅はそれほどに大きくないと思うんだけれども,その限られた幅の中に,この世の良きものがすべて詰まっている。

● CDはカルロス・クライバー&ウィーン・フィルのものをもっぱら聴いている。カラヤンも手元にあったと思うが,まず聴くことがない。
 なぜかといえば,最初に聴いたのがクライバーだったからで,カラヤンを最初に聴いていれば,カラヤンを聴き続けたに違いない。同じ曲を複数の演奏で聴き比べてみるってことを,ぼくはあまりしない(バッハのゴルトベルク変奏曲はいくつか聴き比べて,グレン・グールドに落ち着いた。これがほぼ唯一の例外)。
 ま,その程度の聴き手でしかないわけだ(“名盤”探しに血道をあげてるヤツはバカだと思ってるんだけど,本当は)。

● そのブラームスの4番を聴けるというので,鹿沼まで出かけていったわけ。じつは,第1楽章だけは7月の「オーケストラフェスティバル in 鹿沼」で聴いている。
 それで気がすんでるといえば,すんでるんだけどね。

● 弦を中心にエキストラが多いようだ。それなしではおそらく成立しない。地方の市民オケはだいたいそういうもの? お互いに融通しあって存続しているってことなんだろうかなぁ。
 団員の入れ替わりもけっこう頻繁のように見受けられた。10年間メンバー不動というんじゃ,半ば腐るだろう。新陳代謝はどんな組織でも必要だ。必要なんだけれども,あまり短期間で交替されるのは辛い。

● なかなか運営基盤が安定しないという苦しい事情が垣間見れた。いや,実際はそうでもないのかもしれないけれども,そういうふうに見えてしまった。
 良くも悪くも,コンミスの存在感が大きいようだ。というか,コンミスでもっているような。

● ここがじつは不思議でね。鹿沼西中,東中という,県内で2つしかない管弦楽部を持つ中学校を抱えていて,県内で6つしかない管弦楽部を持つ高校を抱えていて,ジュニアオケもたぶん県内随一の水準なのに,何でこうなっちゃうのっていう。
 鹿沼市外に出て行ってしまうんだろうなぁ。近くならいいんだけど,遠くに行っちゃう人が多いんだろうかなぁ。この動きは止めようがないものな。
 でも,そういういうことって,さほどに問題じゃない? ひとつの作品を作りあげていく喜びっていうのは,少人数でもその大小に影響はないのかもしれない。

● 問題はもうひとつあって,作品は発表して初めて完成品になる。グレン・グールドは録音を作品として発表したけれども,普通は聴衆に聴いてもらうという発表の仕方をする。
 その聴衆もやや少なめ。招待状をバンバン配るとか,知り合いに声をかけて引っ張り込むのは,あまり上等な動員の仕方ではない。営業ではなく品質で客を呼ぶ。そのためにはまず運営基盤の安定が必要。
 って,これらはやはり,地方の市民オケに共通の問題ですかねぇ。問題は見えるけど,解決策は見えない。
 うぅ~む。ぼくにできることは,とにかくできるだけ足を運ぶってことなんだけど。

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