正確に言うと,石蔵には気づいていた。このあたりは大谷石の石蔵が集まっているエリアで,レストランになっているところもある。けれども,そこにスタジオがあるなんて知りようもなかった。
● ともあれ,そこでFReCS TRIOなるメンバーによるピアノ三重奏の演奏会があった。8日に宇都宮市文化会館に行ったときに,このチラシを見つけた。
開演は午後3時。ありがたいことに入場無料。
● メンバーは中村正大(ヴァイオリン),喜多 僚(チェロ),栗山頌平(ピアノ)の3人。3人とも栃木生まれ栃木育ちではなくて,よそ者。
地域であれ業界であれ,賦活するのはよそ者だよね。 よそ者をどれだけ呼び寄せて,受け容れられるか。かなり大事だよね。大事というよりほとんど生命線。純血主義は滅びへの道だ。
● という一般論はともあれ,この3人は経歴が凄いんだね。超のつく一流大学を卒業しているし,自動車や電機のエンジニアだし。
理系と音楽って相性がいいよねぇ。文学青年と音楽ってなると,どうもウェットな感じを受けちゃうんだけど,理系と音楽はサラッとしてて,腐れ縁的な感じがない。
情緒的なイメージであって,エビデンスはありませんが。
● 曲目は次のとおり。
ビゼー 歌劇「カルメン」より“第1幕への前奏曲”
フランク・ブリッジ 「ミニアチュールズ」より“第7曲 ロシア風ワルツ” “第8曲 ホルンパイプ”
ドビュッシー ピアノ三重奏曲 ト長調
メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第2番 ハ短調
● オーケストラによる交響曲や協奏曲よりも,こうした室内楽曲を聴いていく方向に舵をきりたい。だから,こうした機会はありがたいものだ。
室内楽の演奏会じたいがあまりないように思うし,あるのかもしれないけれども情報が入ってこない。たとえば,栃響の演奏会だったら栃響のサイトに行けばすぐわかるけれども,室内楽ってホール主催のものでもない限り,ネットで探しても引っかからないでしょ。
● ブリッジの“ホルンパイプ”が面白かったのだが,もちろんCDも持っていない。CDが出ているのかどうかも知らない。って,出ていないはずはないと思うが。
ネットに落ちているに違いないが,できればCDで聴きたい。と思ってしまうのはネット社会に対応できていないからというより,クラシック音楽ではまだまだCDがユニットだからだよね。
● メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲は,いかにもメンデルスゾーンらしい“情緒”が載っていると思える。高校時代にメンデルスゾーン命の友人がいた。ぼくはその頃,音楽にほぼ興味がなかったから,彼の影響を受けているわけではないが,ホ短調協奏曲には捕まったクチだ。
ずっと捕まったままになっていればよかったか。ときどき,その“情緒”が鼻につくようになったというかな。
● ドビュッシーはぼくには難解。理解しようと思うな,感じろ,ってことだと思うんですよ。理解の対象にしちゃいけないものだよね,そもそも。
初めて聴いたのに,パッとこれいいと食いつける人がいるはずだ。頭デッカチじゃない人。頭悪いのに頭デッカチなヤツっているじゃん。一番始末が悪いよね。それ,自分のことなんだけどさ。
● 約80分のコンサート。200年前の欧州の貴族になったつもりで,こういうところに座って至近距離から届いてくる音の連なりと重なりに身を任せてみるのは,それじたいがなかなかに良きものだ。
音楽に限るまい。小規模な演劇や朗読劇,落語など,用途はいろいろある。ここで興行的に元を取るのはどうやっても不可能だろうから,商業主義に毒される恐れもない(ぼくは商業主義って嫌いじゃないんだけど)。
● 脳内メモリに留めておくべきスポットだと思う。と,ここまで書いてきて,be off のサイトがあることを知った。時々はチェックするべし。
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