2019年11月14日木曜日

2019.11.09 テオフィルス室内管弦楽団 第63回定期演奏会

曳舟文化センター ホール

● 初めての拝聴。この演奏会をなぜ知ったかというと,東京で行われた演奏会でチラシをもらったからだ。
 行くことにしたのはなぜかというと,会場が曳舟だったからだ。このエリアにけっこう惹かれているのだ。

● なぜ惹かれるのかはわからない。東向島→(かつての)色街→人間に必要な裏側の街→永井荷風&吉行淳之介→生き方としての反体制 という流れが,自分の中にはあるんだけれども,それだけではない。
 何だかわからないけれども,この一帯に流れる空気は自分に近しいと感じる。演奏会を口実に街を歩けるじゃないかと思ったわけだ。

● その曳舟文化センター,駅から至近。開演は午後2時。当日券(1,000円)で入場。曲目は次のとおり。指揮は高畠浩さん。
 モーツァルト 「劇場支配人」序曲
 ワーグナー ジークフリート牧歌
 保科 洋 懐想譜(管弦楽版)
 シベリウス 交響曲第3番 ハ長調

● シベリウスの3番を生で聴いたことは過去にあったか。あったとしても,憶えていない。憶えていないんだから,初めて聴いたのと同じだ。
 1番,2番と比べると,北欧を感じる度合いが少ない。刺すような寒冷の気配はない。もっとも,“感じる”は聴き手の主観によるところが大きいから,違う印象を持つ人がいて当然なのだが。

● 保科さんは両国高校の卒業生であることを,プログラム冊子の曲目解説で知った。曳舟から見ても準地元。
 ぜんぜん関係ないけれども,勝海舟は本所の出だったか。墨田区界隈は多士済々の人物を輩出している。人材は下町から出る。

● テオフィルス室内管弦楽団の印象は,市民オケらしい市民オケというもの。テイストは先日やはり初めて拝聴した,江東シティオーケストラに似ているように思った。
 人間の集団だ。色々あるに決まっているのだが,まとまりの良さを感じた。普段は主張しないけれども,要所要所で舵を取るタイプの人がいるんだろうか。

曳舟文化センター
● 年に2回の定演を維持しているのだから,相応の実力がある。その相応の中でできることをやっているということだろう。
 率直に感じるのは,それぞれが仕事を持ちながら,演奏活動をしていることの,何というのか大変さであり,素晴らしさだ。眩しくもある。
 ぼくのように聴くだけなら誰でも造作なくできるけれども,作る側に回るのは誰でもというわけにはいかない。

● 仕事でメンタルに不調を来す人は,珍しくないというくらいには増えている。仕事に加えて,こうした活動まで引き受けているのは,単純に負担が2倍になることなのかといえば,たぶん,そうではないだろう。仕事で凹んだところが,演奏の練習で復元することもあるだろう。
 だとすれば,羨ましくもある。のだが,そんな絵に描いたような相乗効果はそうそうあるわけでもあるまいし,トラブルとの遭遇率も基本的には上昇するはずだ。

● というわけだから,ステージにいるのは上級国民で客席にいるのは下級国民という図式で,基本的にはよろしいと思っている。
 曲作りに精を出してステージでその成果を差しだす。それに対して,ああだこうだという輩には,だったらおまえがやってみせろ,と言いたくなるところがどうしてもある。

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