2020年2月4日火曜日

2020.02.02 栃木県交響楽団 第108回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 栃響の定演。開演は午後2時。チケットは前売券(1,200円)を買っておいた。
 プログラムはオール・ブラームス。大学祝典序曲,ヴァイオリン協奏曲,交響曲第2番。指揮は三原明人さん。

● 今回はヴァイオリン協奏曲に尽きた感じ。ソリストの関朋岳さんの貢献が大きい。ルックスを含めた見映え,舞台袖に引きあげるタイミングや歩き方,そういった事どもから,スター誕生を予感させた。
 というより,すでにして若きスターなのかもしれない。

● 第1楽章が終わったところで拍手が起きた。指揮者もそれを折込済みだったようだ。
 楽章間では拍手をしないのがマナーあるいはルールであることは知っているが,ここでブラボーがかかったとしても,ぼくなら許容する。
 まぁ,何というか,それくらいにインパクトのあるヴァイオリンだったということだね。

● 関さんのアンコールはミルシテイン「パガニーニアーナ」。もちろん,聴いたことはない。後刻確認したらCDはあって,聴こうと思えばすぐにも聴ける状態なんだけども,CDがあるということすら忘れていた。
 アンコールにしてはけっこう長い曲。こういうところで得したと思ってしまうんだよねぇ。この貧乏性,何とかならんか。

● ブラームスの交響曲は2番から始まるといってもいいでしょ。1番はね,西に向かって然るべき人間が,間違って東に行こうとしちゃったっていうか。ブラームスのことだから東に行こうとしても結果はきちんと残すわけだけれど。
 ブラームスって,何ものかを裡に秘めて,人生に雄々しく立ち向かうというベートーヴェン的な生き方は似合わないというか,もっと軽やかな人っていうか。
 ブラームスの真骨頂は美しい旋律にあると思う。交響曲の人ではないのかもしれない。

● というようなことを思いながら,第2番を聴いていた。今言ったことを撤回したくなった。正々堂々の布陣。中段に構えて,どこからでもかかってきなさいと言っているような。
 自分にはやましいところは一点もないから,文句があるなら出るところに出ようじゃないか,という一歩たりとも退かない不退転の決意。

● ベートーヴェンは女性にもてたらしい。最近の研究(?)ではそうなっているらしい。貴族の女性を好きになっても身分の違い云々で泣く泣くということではなく,身分の違いなどものともせず,女性たちの方からベートーヴェンになびいたらしい。
 これ,わかる気がする。そうだったはずだと思う。風に立つ孤高のライオンを女性たちが放っておくはずがない。

● ブラームスにはそのベートーヴェン的な魅力は感じられない。自ら相手に寄り添っていくというふうであったに違いない。両性具有の精神っていうか,女性的なものも感じる。
 だけど,ここから先は譲れないというのはキチッとあった人なんでしょう。人を見るときの足切線はあったのだろうな。
 2番を聴いてて浮かびあがってくるブラームス像っていうのは,そういうものだ。半ば,無理に浮かびあがらせているのだが。

● オケのアンコールはハンガリー舞曲第5番。昔,ブラームスがよくわからなくて,ブラームスといえばハンガリー舞曲しか聴かない(聴けない)時期があった。
 こちらが何もしなくても,勝手に飛びこんで来てくれるっていうか。現実に存在していた旋律なのだろうから,脳を介在させないでスッと入ってくる感じね。

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