かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
コロナとの関係で言えば,もう従前のやり方に戻しても何の問題もあるまい。感染対策は事実上不要になっている。紙の当日券を現金販売してもOKだし,もぎりを復活させても差し支えない。
が,ぼく一個はコロナ収束後も【teket】を使った電子チケット制を維持してくれるとありがたいな,と思っている。面倒がないからだ。スマホで座席の指定と支払いまですませられるのだから,一切の煩わしさから解放される。
● このオーケストラは藝大をはじめ音大の現役学生が主体のようなので,れっきとしたアマチュアオーケストラであるのだが,活動の旺盛さにおいてはアマオケ界では全国一ではあるまいか。
ぼくは2020年2月に第9回演奏会から聴いている。第1回が2018年6月だから,かなりの頻度で演奏会も重ねているわけだ。AFF特別演奏会 #2 を催行したのは先月だ。
● 事務的な作業を苦にしない熱心な推進者がいるからできる。それが楽団代表の高橋勝利さんなのだが,NPO法人設立にまで持っていくのだから,なかなかどうして生半なことではない。縁の下の力持ち的な役割も買って出ているようにも見える。
「頑張っている若手音楽家をサポートする目的で」と言ってる。もちろん,それを疑うものではないのだが,それだけではなくて自分が若手と一緒にやりたいというのが,その前にあったのだろうと推測する。
それがなくて,たんに若手音楽家をサポートするためだけなら,ここまではやれないのではないかと思うからだ。
● 曲目は次のとおり。指揮は山上紘生さん。
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン 交響曲第7番
● これはぼくに限ったことではないと思っているのだけど,観客の耳の解像度はけっこう粗い。日本の音大の現役生が演奏している音声とトッププロのそれを(目隠しして)聴いたときに,過たず区別できる人はさほどに多くはあるまいと思う。
聴覚は9歳で完成するらしい。もしそうなら,細かい緻密な解像度を持つためには,9歳になるまでに然るべき訓練が必要になる。
それをしないまま2桁の年齢になってしまった人が,今日の演奏はああだったこうだったとホザくのは,ビールを飲みながらテレビでプロ野球のナイター放送を見て,プロ球団の監督の采配についてああだこうだと評してやまないオトーサンと同じだ。
そのホザきは,ほとんどの場合,錯覚に基づいている。ホザケるだけの情報量は持っていないはずだ。耳の解像度が粗いんだから。
と言いつつ,これからぼくもホザくわけだが。
● まず,ヴァイオリン協奏曲。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ってこういう曲だったっけと思いながら聴いていた。
これほどの曲ともなれば,いかなぼくでも,CDで何度も聴いている。どういう曲なのかは知ってるつもりでいる。が,既視感(既聴感)が薄かった。
なぜそう感じたのかがわからない。変わった演奏だったというわけじゃない。ひょっとして,前半は寝てたのか,俺。
● 独奏は吉本萌慧さん。藝大院に在学中。すでに述べたとおり,彼女の演奏とすでにビッグネームになっているプロの演奏との違いが,ぼくにはわからない。
小さい頃からヴァイオリンをやっていて,日々の中心にヴァイオリンがあり,そのヴァイオリンとたくさんの日々を重ねてきた。その結果の凄みのようなものはたしかに感じる。自分にはこれしかない,これで勝負するしかない,という潔さが凄みの下にあるのだろう。
が,同時に将来への漠然とした不安もないはずがないと思うのだ。色んなものを抱えている。誰でもそうだといえば,それはたしかにそうなのだけど。
● 交響曲第7番は躍動が服を着てステージで踊っているような演奏で,客席が喜ぶまいことか。ぼくの斜め前の爺さまが,曲に合わせて指先を動かしたり,腕を上下させていた。それが気になってしょうがないというオマケまで付いた。
この曲はフルートがカッコよく見える。男性の奏者だったが,やっぱりカッコいい。
0 件のコメント:
コメントを投稿