2021年11月26日金曜日

2021.11.23 第12回音楽大学オーケストラ・フェスティバル 東邦音楽大学・桐朋学園大学

ミューザ川崎 シンフォニーホール

● ミューザにやってきた。今年はミューザに来る頻度がけっこう高い。7~8月の “フェスタサマーミューザ” のほぼ全公演(管弦楽はすべて)を聴いたからだ。
 自分には過ぎた贅沢だった。これほどの贅沢は今年が最初で最後でいいと思っている。
 が,毎年聴きたいと思ってやまないのが,“音楽大学オーケストラ・フェスティバル” だ。これだけは毎年聴きたい。

● ので,今年も通し券を買ってある。2013年の第4回から毎年聴いているので(毎回,必ず聴けていたわけではないのだが),今年が9回目になる。
 開演は午後3時。ぼくの席は3階席の1列目の中央。ステージは遠いが,視界を遮るものはない。S,A,Bといった席種に分けるとすると,ひょっとするとSにするところがあるかもね。

● 初日の今日は東邦音楽大学と桐朋学園大学が登場。東邦がチャイコフスキーの5番で,桐朋が6番。事前に演奏曲目を大学間で調整するということはやっていないっぽいので,これは偶然の結果だろう。
 で,聴いた感想はといえば,凄いとしか言いようがない。この凄さの所以を言葉に尽くせる人は,相当な文章の使い手だろう。北関東の蛮族がわざわざミューザに出向いてきた理由は,演奏を聴いていただければわかる,としか申しあげようがない。
 これで終わりにしたいくらいなんだけれども,以下に少々の駄言を弄してみよう。

● まず,東邦音楽大学管弦楽団。このフェスでは日本を代表する指揮者が登場するので,そちらも楽しみであるわけだが,東邦の指揮者は大友直人さん。
 コンマスが男性。コンマスが男性というのは,ずいぶん久しぶりのような気がする。

● チャイコフスキーの5番とくると,第2楽章のホルンのソロに注目が行く。実力に裏打ちされた危うさの演出。
 オーボエ,クラリネットなど木管陣が目立った印象がある。基本的に端正さを感じた。若い人たちの端正っていうのは,それだけで大きな魅力だ。
 闊達さも見られる。自分の家の庭で遊んでいる子供はこういう感じだろうかと,ふと思った。

● 桐朋学園オーケストラ。指揮は沼尻竜典さん。
 桐朋は別格なんだろうか。過去の演奏でも,第4回のストラヴィンスキー「春の祭典」や第9回のホルスト「惑星」は強烈な印象を残していったのだが,今回もまた。何なの,これは,という。

● 個々の奏者がそれぞれに一騎当千のつわ者だ。コンミスはもちろんとして,2nd.Vnのトップ奏者(男子)がその代表格かと思えるのだが,彼のみならずほとんど全員が同様だ。ぶんぶんと刀を振り回しているような感じと言いますか。その刀がおそらく名刀なのだ。知る人ぞ知る。うっかり近づくと怪我するよ。
 その様はじつにどうも圧巻であって,こんな演奏はプロでもできない。

● 「各大学の演奏の前には共演校からのエールを込めたファンファーレの演奏があります」ということで,演奏時間はわりと長くなる。終演は午後5時30分頃だった。

● コロナはもはやゼロコロナになったと言っていい状況だ。この状況でどうすれば感染できるのか教えてくれと言いたくなるほどだ。
 が,農耕民族は変化に素直に付いていくのを苦手とするようだ。近過去(夏の第5波)に引きずられているように見える。
 もはや制限のすべては無意味で,したがって全面的にコロナ以前の状況に戻せばいいのに,それができない。もし次の第6波が来ればそのときに対応すればいいだけの話だ。

● コンサートホールの対応も同様。
 以前からそうなのだが,首都圏のホールの方が地方よりもコロナに強い印象がある。今回も全席使用(かなりの座席が埋まっていた。が,当日券は販売された)。それで正解。
 しかるに,マスク着用はともかく,エリアごとの分散退場は無意味を通り越して滑稽なほどだ。

● それでも分散退場を徹底させようというのであれば,先発組がホール入口を出たのを確認して,後発組を退場させなければならないだろう。形だけの分散退場でお茶を濁していても仕方がない。
 と思ったのだが,ホール側にしたって,分散退場が無意味であることくらいわかっているだろう。が,上(オーナー自治体)からの指示には逆らえない。ならば,現場がスムーズに動くようにするには,形だけのこのやり方が一番いいというわけだろうか。

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