真岡市民会館 大ホール
● 29日は音楽ではなく,中国の昆劇ってのを観ました。真岡市と二宮町の合併記念行事として真岡市が仕組んだもので,会場は真岡市民会館大ホール。自由席で観劇料は千円。
昆劇っていう名前じたい初めて聞く。ここで覗いておかないと,一生縁のないままで終わるだろう。終わっても構わないんだけれど,せっかく音楽でライブづいてきている。音楽以外のライブにも食指を延ばす好機じゃないか。
● というわけで出かけてみた。19時開演だったのだけど,夕刻から行列ができはじめてて,ついには長い長い行列ができた。チケットは自由席だが,間違いなくソールドアウトになったはずだ。ディズニーランドの人気アトラクションの列に並んでいるような気分だった。
● 思っていたより面白かった。これで千円なら文句はない。っていうか,かなりお安いと思う。が,ではもう一度観るかと訊かれると,少なからず微妙なところだ。
昆劇には2つの方向があるようで,ひとつは,上海雑伎団のようなアクロバティックな身体演技をウリにするもの。もうひとつは,オペラのように歌いながら演技するものだ。当然,巧く歌えなければならない。
演技者は両方ともできなければならない。どちらかを選んでそれ専門で行くというわけにはいかないのではないかと思う。ということは,演技者にはかなり過酷な世界で,早い話が若いうちしかできないはずだ。役者寿命はかなり短くならざるを得ない。
● 舞台の端に音楽伴奏の奏者が数人固まって,伝統楽器を奏でる。二胡や笛のソロ演奏もあった。充分に楽しめる水準にあるのだけれども,二胡よりもヴァイオリンがいいし,笛よりもフルートがいいんだなぁ,ぼく的には。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2009年10月31日土曜日
2009.10.25 第14回コンセール・マロニエ21 本選
栃木県総合文化センター メインホール
● 総文センターで開催された「第14回コンセール・マロニエ21 本選」を聴いてきました。約6時間に及ぶ長丁場。今回はピアノと木管。来年は弦と声楽。毎年,全部門について実施するんじゃないんですね。
ここのところ,宇大教員による演奏会と「響」の定期演奏会で,ピアノに食傷気味だった。
ピアノは飽きる。途中でお腹がいっぱいになってしまう。で,今回も覚悟はしていたんですよ。自分的に聴きたいのは木管で,ピアノは忍耐で乗り切ろうと。
● ところが。そんなことにはならなかった。ピアノ部門が6人。木管も6人で,そのすべてにピアノの伴奏がつく。6時間もの間(途中,3回の休憩はあったけれど),ずっとピアノを聴き続けたわけだけれども(しかも,木管は曲目が指定されていたので,同じ曲を二度聴くことも),飽きはこなかった。
これはどういうわけか。このコンクールにかける奏者たちの緊張感と真剣さが伝わってくるからか。
● ともあれ,聴くに値する内容だったと思う。もちろん無料だ。メインホールを使わせているのは,主催者の出演者に対する敬意かもしれないが,客席ははまばらだった。2階席は進入禁止になっており,1階のいい席で聴くことになる(2階席には審査員が陣取っていたようだ)。
ぼくが言うのも変なものだが,もっと多くの人が聴きに来てくれればと思いますね。しかし,6時間はさすがに長いね。普通のコンサートって2時間だものね。
● ピアノ部門。トップは榊原涼子さん。芸大院の2年。ピアノ部門は何を演奏するかはきめられていない。自分で選べる。彼女が演奏したのはシューマンの「謝肉祭」。
次は石井絵里奈さん。同じく芸大院2年。プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からいくつかを抜粋して演奏。
棟方真央さん。芸大4年。ベートーヴェンの「ピアノソナタ第31番」とラモーの「アルマンド(新クラウザン曲集より)」。彼女の演奏がラモーの聴き初めとなった。
● 片野和紀さん。東京音大を卒業してハンガリー国立リスト音楽院で修行した。リストの「婚礼(巡礼の年第2年より)」とヴァインの「ピアノソナタ第1番」を演奏。
ヴァインの曲は1990年に作られた。もちろん,ぼくは聴いたことはないし,ヴァインという名前も初めて聞いた。ピアノの端から端まで使って演奏する。いろんな弾き方があるものなんだな。
ぼくはこの人が1位を取るのではないかと思ったのだが,結果は2位なしの3位だった。
● 小瀧俊治さん。東京音大の院生。ラフマニノフの「前奏曲」と「ピアノソナタ第2番」。ラフマニノフはピアノ協奏曲第2番が突出して有名で,それ以外はあまり聴く機会がない(ぼくだけか)。おとなしい弾き方だと思って聴いていたんだけど,彼が第1位を取った。
● 見崎清水さん。桐朋学園大学3年。ラヴェルの「夜のガスパール」を演奏。
音楽では芸大が図抜けて実績をあげているって感じでもないですね。他学部における東大ほどには突出していない印象がある。私立の音楽大学が健闘しているともいえるわけで,その代表が桐朋。
私立の音大は医学部に次いで学費が高い。マンツーマンのレッスンがあるのだから当然だけど,いいところのお坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃないと入学できない。本格的に音楽をやれるのはもともとそうした階層の子弟だけ?
● さて,木管。ピアノに飽きなかったとはいえ,6人のピアノが終わって木管に移ったときには,なにやらホッとした気分にはなりましたね。
本選に残ったのはクラリネットが2人,フルートが3人,ファゴットが1人。
堀菜々子さん。クラリネット。今回唯一の地元出身者。現在は芸大の3年。木管部門は曲目が指定されており,クラリネットはモーツァルト「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」。管弦楽の代わりをピアノが務める。
● 続いて,同じクラリネットの椏木亜裕美さん。桐朋学園大学4年。今年の東京音楽コンクールで第1位を取っている。曲目は堀さんと同じなわけで,こちらとしては同じ曲を二回続けて聴くことになるわけだ。ま,ぼくらはいいけれど,本選に至るまで審査を続けてきた先生方は大変だったろうねぇ。
ところで,椏木さんのバック演奏を務めたの方は松山玲奈さんと申しあげる。彼女のピアノに感動。ひょっとして,今回のすべての演奏の中で最も良かったのは,松山さんのピアノではあるまいか。もちろん,彼女は出場者ではないんだけど。
● 濱﨑麻里子さん。フルート。芸大院の1年。曲目はモーツァルトの「フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314」が指定されている。東京音楽コンクールでは椏木さんの後塵を拝して3位だった。
ぼくだったら彼女を1位に推すなと思った。で,結果も彼女が1位。自分の予想が当たるって嬉しいね。って,たんなる偶然にすぎないことはわかっているよ。
● 寺本純子さん。フルート。京都市立芸大から東京芸大に転じて,ヨーロッパで修行。たぶん,今回の出場者の中では最年長だと思う。その美貌と相まって大人の女性の色気を発散していた(そんなことを感じていたのはぼくだけかも)。曲目は濱崎さんと同じ。ここでも二度続けて同じ曲を聴くことになった。
● 蛯澤亮さん。木管部門で唯一の男性出場者。国立音大を卒業。ウィーン音楽院修士課程2年。曲目はモーツァルト「ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191」。
● 井坂実樹さん。フルート。芸大2年。曲目はモーツァルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」。第2番と比べて,フルートの独奏時間が長い。彼女はよく弾きこなしていて,これも上位入賞だと思われた。結果,彼女が2位。
● これほどモーツァルトを続けて聴いたことはない。飽きなかった。どころか,帰宅後,CDで聴き直したくらい。
コンクールとはいえ,これだけのレベルの演奏をこれだけまとめて聴けるのは,そうそうあることじゃありません。来年は声楽と弦。行きますよ。これ,行かなきゃ損。
● 総文センターで開催された「第14回コンセール・マロニエ21 本選」を聴いてきました。約6時間に及ぶ長丁場。今回はピアノと木管。来年は弦と声楽。毎年,全部門について実施するんじゃないんですね。
ここのところ,宇大教員による演奏会と「響」の定期演奏会で,ピアノに食傷気味だった。
ピアノは飽きる。途中でお腹がいっぱいになってしまう。で,今回も覚悟はしていたんですよ。自分的に聴きたいのは木管で,ピアノは忍耐で乗り切ろうと。
● ところが。そんなことにはならなかった。ピアノ部門が6人。木管も6人で,そのすべてにピアノの伴奏がつく。6時間もの間(途中,3回の休憩はあったけれど),ずっとピアノを聴き続けたわけだけれども(しかも,木管は曲目が指定されていたので,同じ曲を二度聴くことも),飽きはこなかった。
これはどういうわけか。このコンクールにかける奏者たちの緊張感と真剣さが伝わってくるからか。
● ともあれ,聴くに値する内容だったと思う。もちろん無料だ。メインホールを使わせているのは,主催者の出演者に対する敬意かもしれないが,客席ははまばらだった。2階席は進入禁止になっており,1階のいい席で聴くことになる(2階席には審査員が陣取っていたようだ)。
ぼくが言うのも変なものだが,もっと多くの人が聴きに来てくれればと思いますね。しかし,6時間はさすがに長いね。普通のコンサートって2時間だものね。
● ピアノ部門。トップは榊原涼子さん。芸大院の2年。ピアノ部門は何を演奏するかはきめられていない。自分で選べる。彼女が演奏したのはシューマンの「謝肉祭」。
次は石井絵里奈さん。同じく芸大院2年。プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からいくつかを抜粋して演奏。
棟方真央さん。芸大4年。ベートーヴェンの「ピアノソナタ第31番」とラモーの「アルマンド(新クラウザン曲集より)」。彼女の演奏がラモーの聴き初めとなった。
● 片野和紀さん。東京音大を卒業してハンガリー国立リスト音楽院で修行した。リストの「婚礼(巡礼の年第2年より)」とヴァインの「ピアノソナタ第1番」を演奏。
ヴァインの曲は1990年に作られた。もちろん,ぼくは聴いたことはないし,ヴァインという名前も初めて聞いた。ピアノの端から端まで使って演奏する。いろんな弾き方があるものなんだな。
ぼくはこの人が1位を取るのではないかと思ったのだが,結果は2位なしの3位だった。
● 小瀧俊治さん。東京音大の院生。ラフマニノフの「前奏曲」と「ピアノソナタ第2番」。ラフマニノフはピアノ協奏曲第2番が突出して有名で,それ以外はあまり聴く機会がない(ぼくだけか)。おとなしい弾き方だと思って聴いていたんだけど,彼が第1位を取った。
● 見崎清水さん。桐朋学園大学3年。ラヴェルの「夜のガスパール」を演奏。
音楽では芸大が図抜けて実績をあげているって感じでもないですね。他学部における東大ほどには突出していない印象がある。私立の音楽大学が健闘しているともいえるわけで,その代表が桐朋。
私立の音大は医学部に次いで学費が高い。マンツーマンのレッスンがあるのだから当然だけど,いいところのお坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃないと入学できない。本格的に音楽をやれるのはもともとそうした階層の子弟だけ?
● さて,木管。ピアノに飽きなかったとはいえ,6人のピアノが終わって木管に移ったときには,なにやらホッとした気分にはなりましたね。
本選に残ったのはクラリネットが2人,フルートが3人,ファゴットが1人。
堀菜々子さん。クラリネット。今回唯一の地元出身者。現在は芸大の3年。木管部門は曲目が指定されており,クラリネットはモーツァルト「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」。管弦楽の代わりをピアノが務める。
● 続いて,同じクラリネットの椏木亜裕美さん。桐朋学園大学4年。今年の東京音楽コンクールで第1位を取っている。曲目は堀さんと同じなわけで,こちらとしては同じ曲を二回続けて聴くことになるわけだ。ま,ぼくらはいいけれど,本選に至るまで審査を続けてきた先生方は大変だったろうねぇ。
ところで,椏木さんのバック演奏を務めたの方は松山玲奈さんと申しあげる。彼女のピアノに感動。ひょっとして,今回のすべての演奏の中で最も良かったのは,松山さんのピアノではあるまいか。もちろん,彼女は出場者ではないんだけど。
● 濱﨑麻里子さん。フルート。芸大院の1年。曲目はモーツァルトの「フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314」が指定されている。東京音楽コンクールでは椏木さんの後塵を拝して3位だった。
ぼくだったら彼女を1位に推すなと思った。で,結果も彼女が1位。自分の予想が当たるって嬉しいね。って,たんなる偶然にすぎないことはわかっているよ。
● 寺本純子さん。フルート。京都市立芸大から東京芸大に転じて,ヨーロッパで修行。たぶん,今回の出場者の中では最年長だと思う。その美貌と相まって大人の女性の色気を発散していた(そんなことを感じていたのはぼくだけかも)。曲目は濱崎さんと同じ。ここでも二度続けて同じ曲を聴くことになった。
● 蛯澤亮さん。木管部門で唯一の男性出場者。国立音大を卒業。ウィーン音楽院修士課程2年。曲目はモーツァルト「ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191」。
● 井坂実樹さん。フルート。芸大2年。曲目はモーツァルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」。第2番と比べて,フルートの独奏時間が長い。彼女はよく弾きこなしていて,これも上位入賞だと思われた。結果,彼女が2位。
● これほどモーツァルトを続けて聴いたことはない。飽きなかった。どころか,帰宅後,CDで聴き直したくらい。
コンクールとはいえ,これだけのレベルの演奏をこれだけまとめて聴けるのは,そうそうあることじゃありません。来年は声楽と弦。行きますよ。これ,行かなきゃ損。
2009.10.20 間奏8:聴きたいのはオーケストラ
● コンサートに行って一番嬉しいのは,自分が聴いたことのない楽曲(たくさんある)を演奏してくれて,その曲が気に入ったときだ。当然,CDを探して,何度も聴けるようにしたくなる。
● 今はITのおかげで,CDの内容をそっくりパソコンに取りこめる。しかも,1時間のCDでも数分で取りこみが終了する。
なので,図書館からCDを借りだして,自分のパソコンに取りこむってのをずっとやっているんだけど,これって業界にとってはけっこうな打撃であるに違いない。
けれども,生来のケチ根性が幅をきかせて,タダで手に入るものを,お金をかけて購入する気にはなれないでいるんです。
ともあれ,ありがたい時代になりましたよ。IT様々,図書館様々です。しかも,図書館では借りる方が礼を言われるんだもの。
● 自分がどんな形態の演奏を好むのかってのもわかってきた。オーケストラをメインにしていくことになりますね。おそらく,多くの人がそうだと思うんですけどね。
CDとライブとの違いが最も大きいのがオーケストラだ。
ピアノやヴァイオリンのリサイタル的なものは,もちろんライブの方が身体に入りこんでくるものが多いのだけども,CDで聴くこととの距離はオーケストラほど大きくはない。
2009.10.18 サックスによるバッハ無伴奏チェロ組曲-栃木県立図書館第121回クラシック・ライヴ・コンサート
栃木県立図書館ホール
● 18日(日)は午後2時から県立図書館で無料のコンサート。今回は那須町在住の木村義満さんのサクソフォン。
● バッハの無伴奏チェロ組曲をサクソフォンで演奏するという趣向だったのだが,アルトサックスのほかにテナーサックス,バリトンサックス,ソプラノサックスの音色も聴かせてくれた。サックスが木管に属するってのも初めて知った。リードを使って吹くのは木管になるんだそうですね。
● 無料だからといって,県立図書館を舐めてはいけませんね。90分足らずの演奏会だったが,満足感を抱いて帰途につくことができた。
県立図書館はコンサート会場としてはわが家から一番近いし,時間もかからない。そういう場所で無料のしかし内容のしっかりしているコンサートが年に何回も開かれるってのは,じつにどうもありがたい。
● 18日(日)は午後2時から県立図書館で無料のコンサート。今回は那須町在住の木村義満さんのサクソフォン。
● バッハの無伴奏チェロ組曲をサクソフォンで演奏するという趣向だったのだが,アルトサックスのほかにテナーサックス,バリトンサックス,ソプラノサックスの音色も聴かせてくれた。サックスが木管に属するってのも初めて知った。リードを使って吹くのは木管になるんだそうですね。
● 無料だからといって,県立図書館を舐めてはいけませんね。90分足らずの演奏会だったが,満足感を抱いて帰途につくことができた。
県立図書館はコンサート会場としてはわが家から一番近いし,時間もかからない。そういう場所で無料のしかし内容のしっかりしているコンサートが年に何回も開かれるってのは,じつにどうもありがたい。
2009.10.17 響 第34回定期演奏会
宇都宮市文化会館 小ホール
● その8日後(17日の土曜日),再び宇都宮市文化会館小ホールを訪れた。今度は「響」という団体の定期演奏会。今年が34回目になる。
どういう団体なのか皆目見当がつかなかった。当日のプログラムで西洋音楽(クラシック)の演奏会であることを知った。会員は11名。全員女性。声楽が2名,あとはピアノの演奏者だった。
チケットは千円。
● 受付で渡されたものはプログラムだけなのが小気味良かった。つまり,アマチュアの演奏会にありがちなアンケート用紙がなかったのだ。このアンケートにはかなり疑問を持っているので(何かの役に立っているのかね。アンケートのためのアンケートじゃないのか),それがないと潔さを感じる。
● プログラムの表紙に「貴族のための音楽から市民の愉しみの音楽へ」というスローガン?が踊っている。ちょっと時代錯誤じゃないかい。
とっくの昔に,日本では音楽は市民のものになっているんではないかい。アマチュアオーケストラの数の多さと活動の活発さはたぶん世界でも群を抜く。全世帯の4分の1がピアノを所有する。年末には全国のあちらこちらでベートーヴェンの第九を大量に消費する。いずれも,音楽が市民の愉しみのためのものになっていなければありえない現象だろう。
● その前に,日本では貴族が名実ともに消滅してしまった。天皇家は別として,近衛家とか冷泉家とか旧大名家とかの生き残りはまだあるけれども,ひとつの階層を構成できるほどの量ではない。
現在の日本には新興成金はいても貴族はいない。このスローガンはちょっと見直して欲しいぞ。
● 演し物は全部で7つ。まずは,クーラウの「序奏とロンド(フルートとピアノのために)」。フルート奏者は賛助出演者(ひょっとすると元会員なのかもしれない)。
作曲者のクーラウは初めて聞く名前。こういうのが音楽鑑賞初心者にとってはありがたい。生の演奏を聴いて好印象を持てばCDコレクションに加えればいい。コレクションが充実する端緒になる。ただし,クーラウのCDは地元の図書館にはなかった。CDショップでもたぶん扱ってないだろう。扱っているところがあるとすれば,ネット販売ですかね。
● 会員の新陳代謝があまりないようだ。34年前は若かったり女盛りだったりした女性たちで構成されている。
ピアノと声楽しかいないってことは,うがった見方をすれば,全員が主役になりたいと思っている人たちだろう。主役願望者の集まりってことになると,団体の運営もなかなか一筋縄では行かないかもしれないなぁ。
新陳代謝が進まないとすれば,それが理由のひとつになっているのではあるまいか。下司の勘ぐりか。
● 次はベートーヴェンのピアノソナタ第27番。宇大の小林功教授による演奏を聴いたばかりだけれども,比べても仕方がない。
● 今回もいろんな人がいろんな所で音楽と関わりをもっているのだなぁと思わされた。層が厚い。恐るべし,日本。
が,ピアノは飽きる。ピアノ曲が2つ続いただけで,お腹がいっぱいになってきた。
● 3つめはシューベルトのヴァイオリンソナタ第2番。ヴァイオリン奏者は賛助出演者。
シューベルトのヴァイオリンソナタは聴いたことがなかった。これまた新しい世界への導入になるかもしれないのだが,このあたりからやっぱりオーケストラを聴きたいという思いが,目の前の演奏を凌駕し始めた。
● 休憩のあと,4つめの演しもの。初めて声楽が入った。メンデルスゾーンの二重唱曲集から3曲。ソプラノとメゾソプラノ,それと伴奏のピアノ。メゾソプラノ以外は賛助出演者。
次はまたピアノソロ。メンデルスゾーンの無言歌集から4曲。この時点でピアノには完全に食傷してしまった。
● 次は,シュテックメストの「歌の翼による幻想曲」。メンデルスゾーンの「歌の翼に」の変奏曲。
今回,メンデルスゾーンがしばしば登場するのは彼の生誕200年を踏まえて曲を選んだからだと,プログラムにある。
フルートとピアノの曲。フルートでもヴァイオリンでも,ピアノ以外の楽器が入ってくれると気持ちが軽くなる。
● 最後はロッシーニの「約束 音楽の夜会から」と「猫の二重唱」。ソプラノ,メゾソプラノにピアノの伴奏。これは会員のみの演奏だった。
最後の「猫の二重唱」がユーモラスで客席の笑いを誘った。これを最後に持ってきたのは正解だったのだろう。
ただ,「猫の二重唱」がロッシーニの作だというのは俗説だから,作者不詳としておくのがよかったかも。
● その8日後(17日の土曜日),再び宇都宮市文化会館小ホールを訪れた。今度は「響」という団体の定期演奏会。今年が34回目になる。
どういう団体なのか皆目見当がつかなかった。当日のプログラムで西洋音楽(クラシック)の演奏会であることを知った。会員は11名。全員女性。声楽が2名,あとはピアノの演奏者だった。
チケットは千円。
● 受付で渡されたものはプログラムだけなのが小気味良かった。つまり,アマチュアの演奏会にありがちなアンケート用紙がなかったのだ。このアンケートにはかなり疑問を持っているので(何かの役に立っているのかね。アンケートのためのアンケートじゃないのか),それがないと潔さを感じる。
● プログラムの表紙に「貴族のための音楽から市民の愉しみの音楽へ」というスローガン?が踊っている。ちょっと時代錯誤じゃないかい。
とっくの昔に,日本では音楽は市民のものになっているんではないかい。アマチュアオーケストラの数の多さと活動の活発さはたぶん世界でも群を抜く。全世帯の4分の1がピアノを所有する。年末には全国のあちらこちらでベートーヴェンの第九を大量に消費する。いずれも,音楽が市民の愉しみのためのものになっていなければありえない現象だろう。
● その前に,日本では貴族が名実ともに消滅してしまった。天皇家は別として,近衛家とか冷泉家とか旧大名家とかの生き残りはまだあるけれども,ひとつの階層を構成できるほどの量ではない。
現在の日本には新興成金はいても貴族はいない。このスローガンはちょっと見直して欲しいぞ。
● 演し物は全部で7つ。まずは,クーラウの「序奏とロンド(フルートとピアノのために)」。フルート奏者は賛助出演者(ひょっとすると元会員なのかもしれない)。
作曲者のクーラウは初めて聞く名前。こういうのが音楽鑑賞初心者にとってはありがたい。生の演奏を聴いて好印象を持てばCDコレクションに加えればいい。コレクションが充実する端緒になる。ただし,クーラウのCDは地元の図書館にはなかった。CDショップでもたぶん扱ってないだろう。扱っているところがあるとすれば,ネット販売ですかね。
● 会員の新陳代謝があまりないようだ。34年前は若かったり女盛りだったりした女性たちで構成されている。
ピアノと声楽しかいないってことは,うがった見方をすれば,全員が主役になりたいと思っている人たちだろう。主役願望者の集まりってことになると,団体の運営もなかなか一筋縄では行かないかもしれないなぁ。
新陳代謝が進まないとすれば,それが理由のひとつになっているのではあるまいか。下司の勘ぐりか。
● 次はベートーヴェンのピアノソナタ第27番。宇大の小林功教授による演奏を聴いたばかりだけれども,比べても仕方がない。
● 今回もいろんな人がいろんな所で音楽と関わりをもっているのだなぁと思わされた。層が厚い。恐るべし,日本。
が,ピアノは飽きる。ピアノ曲が2つ続いただけで,お腹がいっぱいになってきた。
● 3つめはシューベルトのヴァイオリンソナタ第2番。ヴァイオリン奏者は賛助出演者。
シューベルトのヴァイオリンソナタは聴いたことがなかった。これまた新しい世界への導入になるかもしれないのだが,このあたりからやっぱりオーケストラを聴きたいという思いが,目の前の演奏を凌駕し始めた。
● 休憩のあと,4つめの演しもの。初めて声楽が入った。メンデルスゾーンの二重唱曲集から3曲。ソプラノとメゾソプラノ,それと伴奏のピアノ。メゾソプラノ以外は賛助出演者。
次はまたピアノソロ。メンデルスゾーンの無言歌集から4曲。この時点でピアノには完全に食傷してしまった。
● 次は,シュテックメストの「歌の翼による幻想曲」。メンデルスゾーンの「歌の翼に」の変奏曲。
今回,メンデルスゾーンがしばしば登場するのは彼の生誕200年を踏まえて曲を選んだからだと,プログラムにある。
フルートとピアノの曲。フルートでもヴァイオリンでも,ピアノ以外の楽器が入ってくれると気持ちが軽くなる。
● 最後はロッシーニの「約束 音楽の夜会から」と「猫の二重唱」。ソプラノ,メゾソプラノにピアノの伴奏。これは会員のみの演奏だった。
最後の「猫の二重唱」がユーモラスで客席の笑いを誘った。これを最後に持ってきたのは正解だったのだろう。
ただ,「猫の二重唱」がロッシーニの作だというのは俗説だから,作者不詳としておくのがよかったかも。
2009.10.09 宇都宮大学教育学部音楽教育講座の教員による演奏会 魂の果実たち
宇都宮市文化会館 小ホール
● 病みあがりの9日(金),コンサートに行ってきた。場所は久しぶりの宇都宮市文化会館。今回は小ホール。
何のコンサートかというと,宇大教員による演奏会。プログラムには「宇都宮大学教育学部音楽教育講座の教員による演奏会」とある。今回が4回目になるらしい。今後も続けていくのだろう。
チケットはわずかに千円。
● まずはブラームスの「4つの厳粛な歌 バリトンと弦楽四重奏のための」。弦楽四重奏は宇大で非常勤講師を務めている人たち(全員女性)が演奏。芸大など音楽大学で修行?した人たちばかりだ。それぞれ,本業は別にある。いろんな人たちがいろんなところで音楽との関わりを保っているのだなと思わされる。
バリトンは石野健二教授。学内の管理職も務めている。仕事のメインは管理業務に移っているのだろう。そういう年齢だ。
● 次は邦楽。長沢勝俊氏作の「萌春」なる曲を狩野嘉宏氏(篠笛)と和久文子氏(箏)が演奏。二人とも宇大には非常勤講師で教えにきている。
めったに聴くことはないであろう篠笛の音色に接することができた。篠笛ってだいぶ高い音が出るんですね。
● 次は「ゆがんだ十字架のヴァリアント ピアノ独奏のための」を石田修一教授が演奏。ピアノが体の一部になっている感じ。手練れである。
ところで,「ゆがんだ十字架のヴァリアント」なんていう曲名は聞いたことがないでしょ。それも道理で,この曲は宇大の木下大輔准教授が作曲したものなのだ。
● 休憩をはさんで,シャブリエの「5つの遺作(ピアノのための5つの小品)」を新井恵美氏が演奏した。彼女は専任講師の職にある。スタッフの中で唯一,宇大出身。
● 次はヴェルディの歌劇「エルナーニ」から。石田教授のピアノ伴奏で,小原伸一准教授のバリトン。 最後は小林功教授がベートーヴェンの「ピアノソナタ悲愴」を演奏。巧い。トリに相応しい曲目を完璧に演奏しきった。
● 病みあがりの9日(金),コンサートに行ってきた。場所は久しぶりの宇都宮市文化会館。今回は小ホール。
何のコンサートかというと,宇大教員による演奏会。プログラムには「宇都宮大学教育学部音楽教育講座の教員による演奏会」とある。今回が4回目になるらしい。今後も続けていくのだろう。
チケットはわずかに千円。
● まずはブラームスの「4つの厳粛な歌 バリトンと弦楽四重奏のための」。弦楽四重奏は宇大で非常勤講師を務めている人たち(全員女性)が演奏。芸大など音楽大学で修行?した人たちばかりだ。それぞれ,本業は別にある。いろんな人たちがいろんなところで音楽との関わりを保っているのだなと思わされる。
バリトンは石野健二教授。学内の管理職も務めている。仕事のメインは管理業務に移っているのだろう。そういう年齢だ。
● 次は邦楽。長沢勝俊氏作の「萌春」なる曲を狩野嘉宏氏(篠笛)と和久文子氏(箏)が演奏。二人とも宇大には非常勤講師で教えにきている。
めったに聴くことはないであろう篠笛の音色に接することができた。篠笛ってだいぶ高い音が出るんですね。
● 次は「ゆがんだ十字架のヴァリアント ピアノ独奏のための」を石田修一教授が演奏。ピアノが体の一部になっている感じ。手練れである。
ところで,「ゆがんだ十字架のヴァリアント」なんていう曲名は聞いたことがないでしょ。それも道理で,この曲は宇大の木下大輔准教授が作曲したものなのだ。
● 休憩をはさんで,シャブリエの「5つの遺作(ピアノのための5つの小品)」を新井恵美氏が演奏した。彼女は専任講師の職にある。スタッフの中で唯一,宇大出身。
● 次はヴェルディの歌劇「エルナーニ」から。石田教授のピアノ伴奏で,小原伸一准教授のバリトン。 最後は小林功教授がベートーヴェンの「ピアノソナタ悲愴」を演奏。巧い。トリに相応しい曲目を完璧に演奏しきった。
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