栃木県総合文化センター メインホール
● 31日は「レッツ・エンジョイ・クラシック・ミュージック」と題する宇都宮シンフォニーオーケストラの演奏を聴いた。宇都宮市民大学の講座の一環なので,受付は宇都宮市役所の担当職員があたっていた。
● 宇都宮シンフォニーオーケストラがボランティアで演奏(開会挨拶で,市の生涯学習センターの所長がそのように言っていた)。曲目はベートーヴェンの「エグモント序曲」「ロマンス第2番」「交響曲第5番というオールベートーヴェン。
● 「エグモント序曲」のあと,指揮者の石川和紀さんによる楽器紹介。石川さんが各パートの奏者を指名して話をさせる。最前列に小学生が並んでいたのだが,彼らを参加させ,冗談を交えて説明する様子は手慣れたもの。
「Q&A」もあった。いろんな曲目を演奏するのにコンサートが時間内で終わるのはなぜか,指揮者は楽譜をぜんぶ憶えているのか,指揮者が自分で聴くのはどんな曲か,クラシック以外は音楽ではないと思っているか,各パートの人数は決まっているのか,などの問いに次々に答えていく。テンポがいいので楽しめた。
● 去年の5月にこの管弦楽団の定期演奏会を聴いている。が,どうも印象が薄くて,ほとんど記憶から脱落している。
しかし,今回は違った。「運命」はやはり素晴らしかった。聴いている間は,家庭内のゴタゴタも何もかもを忘れることができた。主にはベートーヴェンの功績に帰せられるべきものだが,ライブの力でもある。カラヤン指揮のベルリンフィルの演奏をCDで聴くより,アマオケであってもライブで聴く方がはるかに濃密な時間になる。
できるだけ機会を捉えて,ライブを味わう時間を増やしたい。大げさな物言いをすれば,それがイコール人生を充実させることだ。
● この影響で,家ではベートーヴェンの交響曲ばかり聴いている。5番,7番,9番。すごいものだなぁと思う。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2010年1月31日日曜日
2010.01.30 フレッシュアーティスト・ガラ・コンサート
栃木県総合文化センター サブホール
● 1月30日(土)は総合文化センター(サブホール)で「フレッシュアーティスト・ガラ・コンサート」があった。栃木県が主催するジュニアピアノコンクールとコンセール・マロニエ21の優勝者のお披露目会のようなものだ。入場無料。
● トップは新居憲人君。高校生。栃木県ジュニアピアノコンクールで大賞を取った。ショパンの「ノクターン第7番」とシューマンの「幻想小曲集」から3曲(第1番夕べに 第5番夜に 第7番夢のもつれ)を演奏した。
● 次は小瀧俊治さん。昨年のコンセール・マロニエ21のピアノ部門で第1位を獲得。ラヴェルの「ラ・ヴァルス」とラフマニノフ「ピアノソナタ第2番」を演奏。
この道も人気商売という一面がある(ように思われる)。しかし,基本的に実力がまずあって,そのうえで実力以外の理由が効いてくる。自分でどうにかできる可能性があるのは実力だけ。であれば,実力を磨くことを心がけるしかない。彼は着々とそれを重ねているに違いない。
とはいえ,ここから先,1ミリを伸ばすのが大変なのだろうね。
● 次は濱崎麻里子さんのフルート。同じくコンセール・マロニエ21の木管部門の第1位受賞者。昨年のコンセール・マロニエ21の本選はぼくも聴いているが,あのときの切れるような緊張感はさすがに今回は伝わってこない。楽に演奏している。C.P.E.バッハ「無伴奏フルートソナタ イ短調」とボザ「イマージュ」。
● 15分間の休憩のあとはゲスト奏者の演奏。ゲストは田口美里さん。9年間にコンセール・マロニエ21の弦楽器部門で優勝した人。
このコンクールの審査委員長の丹羽正明氏が那須野が原ハーモニーホールの館長を務めているせいか,田口さんは那須野が原ハーモニーホールにも年に何度か呼ばれている(ぼくも昨年,メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調を彼女の演奏で聴いた。以来,彼女のファンになっている)。何かと栃木県に縁ができるんですな。彼女には栃木県が第二の故郷になっているんじゃあるまいか。
2位以下はそういうことはないので,1位と2位では隔絶した違いがあることがわかる。
ピアノ伴奏は渚智佳さん。やはり8年前のコンセール・マロニエ21のピアノ部門優勝者。
演奏したのはチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」。
● 残念だったのは,3歳未満児が多くてうるさかったこと。両手で子どもの手を引いて,背中に乳飲み子を背負っている母親もやってきていた。
なかなかに難しいのであろうけれども,演奏中に声をだされると,ステージへの集中が途切れてしまう。集中が継続してなんぼの世界なのに。しつこいくらいに鑑賞マナーについてアナウンスをしていたけれど。
2010.01.25 間奏11:少子高齢化の浸潤
● クラシックCDは需要が少ない。需要が少なければ,ショップでの扱いもそれなりになるのが道理だ。宇都宮程度の都市であれば,CDショップやレンタルショップよりも図書館の方が品揃えは充実しているだろう。だから,クラシックを聴くことを趣味とする人たちは図書館に行く。
図書館でタダで借りられるのだから,いよいよCDは売れなくなる。
● もれ聞くところによると,クラシック愛好家も高齢化していて,新規参入者は細っているらしい。プロのオーケストラの運営も楽ではない。少子高齢化の波はあらゆるところに浸潤する。ファンは減るという前提で対応しなければならない。
海外旅行に出かける人は年々増加してきたが(突発的な事件で減少した年もあったが),人口のトータルが減るわけだから,いずれは絶対数で減少に転じる(もう転じている?)。時間の問題だ。国内に限れば,ホテルもレストランも高速道路も自動車も大学も高校も住宅も,何もかもが余ってくる。
今やどこの町にもあるかに見えるコンサート(多目的)ホールもまた同じだろう。
2010.01.23 東京大学音楽部管弦楽団第95回定期演奏会
東京芸術劇場大ホール
● 東大音楽部管弦楽団の第95回定期演奏会。18:30からで,場所は東京芸術劇場大ホール。
東京芸術劇場,立派な施設ですなぁ。長い長いエスカレーターの終点が大ホールの入口。しかし,ホールに入るにはここからさらにエスカレーターに乗らなければならないのだった。ステージ正面にはパイプオルガンが偉容を誇る。3階席まである。収容人員はさてどのくらいなのだろう。
● その大ホールがほぼ満杯になっていた。ぼく以上に遠くから来ている人もいるだろう。東大のネームバリューもあるだろうし,このオケの技量の高さが広く知られているためでもあるだろう。
帝国大学音楽部からの歴史がある。大学オケとしては圧倒的な古さを誇る。
● ぼくの席は3階の左翼側(自分の席がどこかわからず,スタッフのお姉さんに教えてもらった。こんなことは初めてだ)。この演奏会では席はS席(2,000円)とA席(1,500円)の2つにしか区分されていない。ならば,当然,S席をゲットすべきところだけれども,ぼくが申し込んだときにはすでにS席は完売,A席も3階の右翼と左翼しか残っていなかったのだ。
チケットは楽団のホームページから申しこめる。ぼくもそうした。チケットと郵便振替用紙が送られてくる。振込手数料はこちらが負担することになるが,わずかに120円だし,チケットの郵送料は向こうが負担してくれるのだから,相当に良心的なやり方だと思う(栃響も同じやり方)。行けなくなったときは払い戻しにも応じるという。徹底的に良心的だ。
● 東大にはオーケストラがいくつもあるが,この音楽部管弦楽団だけが東大純正である。東大生だけで構成されている。
受付で渡されたプログラムも充実。大学オケなのに広告がない。
● 3階席からステージは遠いけれども,全体を一望できる。すべてのパートの動きがよくわかる。
この楽団,ビジュアルもきれいだった。パーカッションは出番が来るまでに座って待っているわけだけど,この待ち方がきれいじゃないアマオケってけっこうあるように思う。ここは神経の通った待ち方だった。
ステージだけではなく裏方のスタッフも,明日からサービス業で稼げるんじゃないかと思えるほどの対応をする。変にねじ曲がっていない。伸び伸びと育ってきた坊っちゃん嬢ちゃんという感じ。
● 客席も若い人たちが多かった。ぼくの右隣は女性の,左隣は男性の若者だった。どちらもひとりで来ていた。他大学のオケスタッフが聴きにきてたりもするんだろうな。
● 曲目は,エルガー「序曲コケイン」,ヴォーン=ウィリアムズ「ノーフォーク・ラプソディ第1番ホ短調」,ラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」。いずれも,今回,初めて聴く曲だ。
驚いたのは笛とラッパが上手なこと。途切れない,ふるえない,かすれない,ぶれない。木管と金管がしっかりしていると,演奏全体がビシッと締まる。チケット代のほかに電車賃が4千円ほどかかったけど(新幹線は使わず。っていうか,使えず),これだけの演奏を聴かせてもらえれば必要経費として割り切れる。
● アンコールは聴かないで退出。それでも,宇都宮から先の最終電車には間に合わず。夜中に10㎞以上の道のりを歩くことになった。タクシー代なんて持ってないからね。
● というわけで,この日は初体験をたくさんした。1日に2回のコンサートも初めてなら,荻窪と池袋西口に降りるのも初めて。初めて聴いた楽曲が4つあった。おまけに長距離の散歩もできた。
● 東大音楽部管弦楽団の第95回定期演奏会。18:30からで,場所は東京芸術劇場大ホール。
東京芸術劇場,立派な施設ですなぁ。長い長いエスカレーターの終点が大ホールの入口。しかし,ホールに入るにはここからさらにエスカレーターに乗らなければならないのだった。ステージ正面にはパイプオルガンが偉容を誇る。3階席まである。収容人員はさてどのくらいなのだろう。
● その大ホールがほぼ満杯になっていた。ぼく以上に遠くから来ている人もいるだろう。東大のネームバリューもあるだろうし,このオケの技量の高さが広く知られているためでもあるだろう。
帝国大学音楽部からの歴史がある。大学オケとしては圧倒的な古さを誇る。
● ぼくの席は3階の左翼側(自分の席がどこかわからず,スタッフのお姉さんに教えてもらった。こんなことは初めてだ)。この演奏会では席はS席(2,000円)とA席(1,500円)の2つにしか区分されていない。ならば,当然,S席をゲットすべきところだけれども,ぼくが申し込んだときにはすでにS席は完売,A席も3階の右翼と左翼しか残っていなかったのだ。
チケットは楽団のホームページから申しこめる。ぼくもそうした。チケットと郵便振替用紙が送られてくる。振込手数料はこちらが負担することになるが,わずかに120円だし,チケットの郵送料は向こうが負担してくれるのだから,相当に良心的なやり方だと思う(栃響も同じやり方)。行けなくなったときは払い戻しにも応じるという。徹底的に良心的だ。
● 東大にはオーケストラがいくつもあるが,この音楽部管弦楽団だけが東大純正である。東大生だけで構成されている。
受付で渡されたプログラムも充実。大学オケなのに広告がない。
● 3階席からステージは遠いけれども,全体を一望できる。すべてのパートの動きがよくわかる。
この楽団,ビジュアルもきれいだった。パーカッションは出番が来るまでに座って待っているわけだけど,この待ち方がきれいじゃないアマオケってけっこうあるように思う。ここは神経の通った待ち方だった。
ステージだけではなく裏方のスタッフも,明日からサービス業で稼げるんじゃないかと思えるほどの対応をする。変にねじ曲がっていない。伸び伸びと育ってきた坊っちゃん嬢ちゃんという感じ。
● 客席も若い人たちが多かった。ぼくの右隣は女性の,左隣は男性の若者だった。どちらもひとりで来ていた。他大学のオケスタッフが聴きにきてたりもするんだろうな。
● 曲目は,エルガー「序曲コケイン」,ヴォーン=ウィリアムズ「ノーフォーク・ラプソディ第1番ホ短調」,ラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調」。いずれも,今回,初めて聴く曲だ。
驚いたのは笛とラッパが上手なこと。途切れない,ふるえない,かすれない,ぶれない。木管と金管がしっかりしていると,演奏全体がビシッと締まる。チケット代のほかに電車賃が4千円ほどかかったけど(新幹線は使わず。っていうか,使えず),これだけの演奏を聴かせてもらえれば必要経費として割り切れる。
● アンコールは聴かないで退出。それでも,宇都宮から先の最終電車には間に合わず。夜中に10㎞以上の道のりを歩くことになった。タクシー代なんて持ってないからね。
● というわけで,この日は初体験をたくさんした。1日に2回のコンサートも初めてなら,荻窪と池袋西口に降りるのも初めて。初めて聴いた楽曲が4つあった。おまけに長距離の散歩もできた。
2010.01.23 JR東日本交響楽団第18回定期演奏会
杉並公会堂大ホール
● 詳細は略すけれど,じつはわが家は,今,大変だ。しかし,そこをついて23日に出かけてしまいました。しかも,東京。
14時からJR東日本交響楽団の第18回定期演奏会。杉並公会堂大ホールで,曲目はモーツァルト「交響曲第38番ニ長調 プラハ」,ショスタコーヴィチ「交響曲第9番編ホ長調」,ドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調」。
● 団員が着席して,指揮者の登場を待つわずかの時間がいいですね。凛とした緊張感がステージを覆う。この瞬間が好きで,自分はここまで来たのだと思うほどだ。
● ショスタコーヴィチの交響曲第9番は聴いたことがなかった。
プログラムの解説によると,当時の権力者スターリンを称えるような勇壮な曲にするよう,共産党は望んだらしい。9番といえば誰もがベートーヴェンを連想する。その9番を冠するのだから,それにふさわしい内容をと,ショスタコーヴィチもいったんは考えた。のだけれども,できあがったのは軽妙洒脱な曲で,スターリンを激怒させた。
ショスタコーヴィチは何を考えていたのか。権力者を掌で転がしてやろうなどと思っていたわけではあるまい。しかし,できあがったこの楽曲は彼の会心の作とは言えないように思われる。
● ドヴォルザークの8番をライブで聴くのは4回目になる。前回の鹿沼フィルの演奏以来,ぼくのお気に入りのひとつになって,何度もCDで聴いている。すっかりお馴染みの曲になった。
● 企業オケの演奏会は初めてだった。この楽団はJR東日本の社員だけでなく,その家族や関係者も団員になっているそうだ。客席も団員の家族が多いのかもしれない。
乳幼児を連れた女性が多かった。演奏中に泣き出す子もいたり,演奏中に入ってくる人が少なくなかった。入場無料なのもその一因を作っているかもしれない。
が,親睦会の行事なのだと思えば,これは受忍限度の範囲内。すべての演奏会に一律のものさしをあてるのは,そもそもが間違っているに違いない。
●1ヶ月ぶりの管弦楽,充分に満足。
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