宇都宮市文化会館 小ホール
● ベートーヴェンの歌曲,CDを含めて一度も聴いたことがない。ヘタすると,ベートーヴェンが歌曲を作っていたことに気づかなかったりする。
っていうか,シューベルトやマーラーの歌曲もあまり聴いたことはないですね。やや敷居が高い感じ。
● 要するに,何ですねぇ,自分が聴いている音楽なんて,ほんの一部でしかないってことなんですよね。器楽曲の中でも,交響曲と協奏曲,あとはピアノとヴァイオリンのソナタを少し。そんなものだ。その交響曲や協奏曲にしたって,聴いているのは大海の一滴。
ライブで演奏される機会が少ないのは,CDでも聴かない傾向があるからね。
● そこを軌道修正して,聴くべきものをピックアップしたうえで順番に聴いていくってのは,聴き方として邪道のような気がする。ピュアじゃないっていうか。
音楽を聴くことに関しては,勉強ってしたくないし。行きあたりばったりの偶然任せでいい,と基本的には思ってるんですけど。
とはいってもなぁ。一方で,たくさんのものを棄ててるっていう自覚もあってね。これでいいのかなぁと思うことがときどきある。
● ともあれ。今回はベートーヴェンの歌曲と室内楽曲。開演は午後7時。チケットは2,000円(指定席)。
ぼくの席はかなり後ろになった。買い出動が遅れたからだけど。ごく小規模な演奏会だったから,最前列でも前すぎるってことはなかったかな,と開演後に気がついた。
ほぼ満席。きちんと身なりを整えてきてたご婦人方が多かった。
● 第1部は歌曲で,「アデライーデ」「遙かなる恋人によせて」「愛されない者の溜息と愛の返答」の3つを井上雅人さん(バリトン)が歌った。ピアノ伴奏は川口成彦さん。
井上さんはナビゲーターも務めてくれて,豆知識をいくつか得ることができた。たとえば,「愛されない者の溜息と愛の返答」は「第九」の元(「幻想合唱曲」)の元だってこと。たしかに,「第九」4楽章の例の旋律によく似たフレーズが登場するのだった。
川口さんからは,ピアノの名手でもあったベートーヴェンは,「デリケートな弱音」に意を用いた人だった,っていう説明があった。
ぼく的に最も印象に残ったのは,青木海斗さん(芸大の4年生だそうだ)が歌った「君を愛す」。声が若くて,そこが新鮮。曲も(たぶん)単純で,初心者にもわかりやすかったからだと思う。
● 井上さん,素の声も良くてねぇ。声質がいい人って羨ましいなぁ。うっとりするもんねぇ。かなりのアドバンテージだね。
● 15分間の休憩のあと,第2部。ピアノ三重奏曲第7番「大公」が演奏された。
ピアノが黒岩悠さん,ヴァイオリンが三又治彦さん,チェロが玉川克さん。錚々たるメンバーといっていいんでしょうね。
演奏時間は約40分。この間,ずっと集中を切らさないでいるのは大変なことだと思う。
曲に背中を押してもらえることもあったりするんだろうか。
● 堪能できた。平日の夜をこんなふうに過ごせるとは,良い時代に生まれ合わせたものだ。
● 可能であれば,佳人とふたりでこの時間を過ごし,終演後は歩いて近くのワイン・バーに行き,よく冷えた白を飲みながら余韻に浸りたいものだ。
そこまでが音楽環境というものだな。が,なかなかね。ここは宇都宮だ。チェーンの居酒屋はいくつもあるけど,大人がくつろげるワイン・バーなんてのがあるのかどうか,ぼくは知らない。
まず,佳人がいない。いたとしても,彼女がぼくを相手にするとは思えない。高望みはいかんね。
● っていうか,以上は大嘘。
音楽を聴くときに,家族だろうと友人だろうと同僚だろうと,隣に知り合いがいるっていう状況は,正直,イヤだ。かりに,知り合いが一緒に行きたいと言ってくれても,会場では離れて座ってくれと頼むだろう。
終演後に,いま聴いたばかりの音楽について誰かと語るのもイヤだ。もっと言うと,たまたま会場に知り合いが来てて,彼なり彼女なりから声をかけられるのもイヤだ。徹頭徹尾,ひとりでいたい。
約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2013年4月30日火曜日
2013年4月29日月曜日
2013.04.29 宇都宮南高等学校吹奏楽部第5回定期演奏会
宇都宮市文化会館 大ホール
● プログラムに載っている部員の名前を数えてみたら,総勢41名。全員が女子。
歌舞音曲は女のもの,じゃないよなぁ。それって,クソ田舎の風潮っていうかさ。ぼくが若かった頃は,日本のほとんどがクソ田舎だったから,その風潮っていうのを体感してるんだけど,もう21世紀も13年は過ぎたわけだからねぇ,いつまでもそれでいちゃいけないでしょうよ。
いやいや,吹奏楽のほかにも面白そうなのがたくさんあるからね。選択の自由を行使した結果に過ぎないわけだよね,男子が皆無なのはさ。
● なんだけど,客席で彼女たちの演奏を聴いた限りでは,男子がいなくて困ることって,別になさそうなんだよなぁ。
男子の肺活量じゃないと音が出ない楽器なんてないしね。だいたい,音って肺活量で出すもんじゃないだろうし。
男子がいた方が上手くなろうっていうモチベーションがあがる? それも想定しにくいなぁ。女子がいると男子のモチベーションはあがるだろうけど,逆はどうなんだろうねぇ。
せいぜいが楽器の運搬とかに,男がいると便利っていう程度のものかもしれない。であれば,ヘタに男なんていない方がいいのかもねぇ。
● ともあれ,宇都宮南高校吹奏楽部の演奏会。開演は午後2時。入場無料。
高校生の吹奏楽を聴くのは,宇都宮北高校,作新学院高校に続いて,今回が3回目。
● 南高校は「今年で創立37周年を迎える」そうだ。が,吹奏楽部の定期演奏会は今年で5回目。
それまで吹奏楽部がなかったってことはないだろうから,最近,めきめき腕をあげてきたってことなんだろうか。
● 内容は3部構成。
第1部は次の5曲。学校の制服で演奏した。
ザ・バンドワゴン
亡き王女のためのパヴァーヌ
祝典行進曲「ライジング・サン」
復興への序曲「夢の明日に」
シング・ウィズ・シンセリティー
● 第2部は4曲。ユニフォームに着替えての演奏。見ための印象が全然変わる。かっこ良くなる。
「メリー・ポピンズ」より抜粋
ハウルの動く城
魔法にかけられて
宝島
この第2部は,寸劇や簡単なダンスを入れて,観客サービス。やる方は,これ,けっこう楽しんでやってるものなんでしょうか。
こういうのは,照れないでやるのが大事だね。男の子だとどうしたって照れてしまう。女子だけの方がサマになる感じがする。
● 第3部ではボウタイの正装で登場。演奏したのは次の2曲。
シーガル
アルプスの詩
「シーガル」では佐川聖二さん(東京交響楽団の主席クラリネット奏者だった人)がソリストで登場。第1部ではいくつかの曲を指揮もした。
普段から佐川さんの指導を仰いでいるというわけではないんだろうけど,プロの演奏家の熱心な指導は,生徒たちのモチベーションをあげるでしょうね。少なくとも,部員に男子がいることよりはずっと。
● 第3部は百パーセントの実力勝負。どこまで聴かせることができるか,っていう。
見事なもの。なめらかでメリハリもある。高校生でもここまでできるっていう言い方がある。自分で言ったこともある。でも,これ,高校生だからここまでできるのかもしれないね。
技術的には上達の余地を残しているんだと思う。けれども,技術以外のプラスアルファの部分を若者はふんだんに持っていて,出そうとしなくてもそれがステージで発散される。
そのプラスアルファは何なのか。曰く言いがたい。若さそのものが持つ魅力だとしか言いようがない。
● それを眩しく見つめること。それって,年を重ねてしまった者にとっては,最上最良のエンタテインメントになるのかも。
高校生や大学生の演奏を聴くたびに思うことを,今回も思わされた。
年寄りは若者を畏れなくてはならぬ。オバサンは乙女の前に謙虚でなければならぬ。
2013.04.28 自治医科大学管弦楽団第38回定期演奏会
栃木市栃木文化会館 大ホール
● 自治医科大学管弦楽団の演奏を聴くのは,昨年に続いて二度目。
昨年の収穫の第一は,バッハの「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」を聴けたことだった。管トレーナー(兼指揮者)の神永秀明さんと弦トレーナーの大久保修さんによる演奏。
知らない人はいない名曲なんだと思う。ぼくもCDで聴ける環境にはあったんだけど,実際に聴いたことはなかったという大マヌケ。いないでしょ,こんな馬鹿。
で,この1年間にCDで最も頻繁に聴いた曲は,バッハのこの協奏曲なんですよ(ごく普通に,諏訪内晶子とフランソワ・ルルーの演奏で聴いている)。大変な収穫だった。ぼく的には,ね。
● 前回は小ホールでの可愛らしい演奏会だったんだけど,今回は大ホール。
チケットは600円(前売券は500円)。開演は午後2時30分。
● 大学オケの演奏会はプログラムの「おふざけ」を読む楽しみがある(中には,この「おふざけ」がまったくないところもあるんだけどね)。
「卒業生紹介」を見ると,大学生になって初めて楽器に触ったっていう人が多いのかなぁと思わせますな。2年,3年とやっていると,ベートーヴェンやシューベルトの交響曲を演奏できるようになるんだねぇ。大学生になってから始めても。
● 「編集後記」には「部員数が少ないなかで,交響曲を作り上げていくのは本当に大変でした」とある。
エキストラの方が多いんだもんなぁ。この部員数だと,ひょっとして練習が成り立たないなんてこともある? あるいは,部員間の技術の差が練習の邪魔をすることもあったりするんだろうか。
この「編集後記」を書いている二人は,そちこち道場破りに出かけてるようなんだけど,練習の場を求めてのこと?
● 曲目は次のとおり。
モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
シューベルト 交響曲第7番 ロ短調「未完成」
ベートーヴェン 交響曲第8番
● シューベルトの「未完成」は第4楽章まである補筆完成版。もちろん,CDでも聴いたことがなかった。ネット情報によれば,ネヴィル・マリナーの全集には完成版が入っているようだ。当然,ぼくは持っていない。
ぼくの耳では,特に違和感も感じなかった。なるほど,これが完成版なのか,っていう感じ。逆にいうと,2楽章まで聴けばいいかなぁ,とも思った。「ロザムンデ」の間奏曲は「ロザムンデ」として聴けばいいわけだし。
とはいうものの,これを聴ける機会はもうないかもしれない。貴重ではありましたね(YouTubeにアップされてたりするのか)。
● ベートーヴェンの8番,聴きごたえあり。っていうか,楽しめた。この曲,ベートーヴェンの交響曲の中では最も軽快で,腹もたれしない。ぼくの中では2年くらい前からお気に入りのひとつ。
その軽快さが損なわれていなくて,サワサワと風が通りすぎていくような弦の響きが心地よかった。
● この楽団は和気藹々をモットーにしてるのかなぁ。悪くいえば「ゆるい」ってことになりそうだけど,その和気藹々が出てるのもよかったかも。
幕間に笑顔が多いんだね。第一にコンミスがそういうキャラのようで,第二に弦トレーナーの大久保さんがノリノリ大好きっぽい。
それがステージの雰囲気を軽くする。同じベートーヴェンでも,この楽団が3番とか5番を演奏したらどうなるんだろう。たぶん,それはそれで形を作ってくるんだろうけど,ちょっと聴いてみたくなった。
● アンコールでここまで遊ぶのは,おそらく,この楽団くらいだろう。こういう仕掛けがホントに好きなんだなぁ。
客席の受けも圧倒的で,ひょっとするとアンコールしか憶えていないっていうお客さんも出やしないかっていうね。それの何が問題かっていうと,別に何も問題はないんだけどさ。
● 客席に空席が目立ったのが,唯一残念。部員が少ないから,部員の関係者も少ない,したがって観客も少ない,っていう図式なのか。
そこまで単純でもなさそうだけど,何とかしたいね,これ。かといって,即効性のある対策は思いつかないもんなぁ。
● 自治医科大学管弦楽団の演奏を聴くのは,昨年に続いて二度目。
昨年の収穫の第一は,バッハの「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」を聴けたことだった。管トレーナー(兼指揮者)の神永秀明さんと弦トレーナーの大久保修さんによる演奏。
知らない人はいない名曲なんだと思う。ぼくもCDで聴ける環境にはあったんだけど,実際に聴いたことはなかったという大マヌケ。いないでしょ,こんな馬鹿。
で,この1年間にCDで最も頻繁に聴いた曲は,バッハのこの協奏曲なんですよ(ごく普通に,諏訪内晶子とフランソワ・ルルーの演奏で聴いている)。大変な収穫だった。ぼく的には,ね。
● 前回は小ホールでの可愛らしい演奏会だったんだけど,今回は大ホール。
チケットは600円(前売券は500円)。開演は午後2時30分。
● 大学オケの演奏会はプログラムの「おふざけ」を読む楽しみがある(中には,この「おふざけ」がまったくないところもあるんだけどね)。
「卒業生紹介」を見ると,大学生になって初めて楽器に触ったっていう人が多いのかなぁと思わせますな。2年,3年とやっていると,ベートーヴェンやシューベルトの交響曲を演奏できるようになるんだねぇ。大学生になってから始めても。
● 「編集後記」には「部員数が少ないなかで,交響曲を作り上げていくのは本当に大変でした」とある。
エキストラの方が多いんだもんなぁ。この部員数だと,ひょっとして練習が成り立たないなんてこともある? あるいは,部員間の技術の差が練習の邪魔をすることもあったりするんだろうか。
この「編集後記」を書いている二人は,そちこち道場破りに出かけてるようなんだけど,練習の場を求めてのこと?
● 曲目は次のとおり。
モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲
シューベルト 交響曲第7番 ロ短調「未完成」
ベートーヴェン 交響曲第8番
● シューベルトの「未完成」は第4楽章まである補筆完成版。もちろん,CDでも聴いたことがなかった。ネット情報によれば,ネヴィル・マリナーの全集には完成版が入っているようだ。当然,ぼくは持っていない。
ぼくの耳では,特に違和感も感じなかった。なるほど,これが完成版なのか,っていう感じ。逆にいうと,2楽章まで聴けばいいかなぁ,とも思った。「ロザムンデ」の間奏曲は「ロザムンデ」として聴けばいいわけだし。
とはいうものの,これを聴ける機会はもうないかもしれない。貴重ではありましたね(YouTubeにアップされてたりするのか)。
● ベートーヴェンの8番,聴きごたえあり。っていうか,楽しめた。この曲,ベートーヴェンの交響曲の中では最も軽快で,腹もたれしない。ぼくの中では2年くらい前からお気に入りのひとつ。
その軽快さが損なわれていなくて,サワサワと風が通りすぎていくような弦の響きが心地よかった。
● この楽団は和気藹々をモットーにしてるのかなぁ。悪くいえば「ゆるい」ってことになりそうだけど,その和気藹々が出てるのもよかったかも。
幕間に笑顔が多いんだね。第一にコンミスがそういうキャラのようで,第二に弦トレーナーの大久保さんがノリノリ大好きっぽい。
それがステージの雰囲気を軽くする。同じベートーヴェンでも,この楽団が3番とか5番を演奏したらどうなるんだろう。たぶん,それはそれで形を作ってくるんだろうけど,ちょっと聴いてみたくなった。
● アンコールでここまで遊ぶのは,おそらく,この楽団くらいだろう。こういう仕掛けがホントに好きなんだなぁ。
客席の受けも圧倒的で,ひょっとするとアンコールしか憶えていないっていうお客さんも出やしないかっていうね。それの何が問題かっていうと,別に何も問題はないんだけどさ。
● 客席に空席が目立ったのが,唯一残念。部員が少ないから,部員の関係者も少ない,したがって観客も少ない,っていう図式なのか。
そこまで単純でもなさそうだけど,何とかしたいね,これ。かといって,即効性のある対策は思いつかないもんなぁ。
2013年4月21日日曜日
2013.04.21 宇都宮ジュニア合奏団第32回定期演奏会
栃木県総合文化センター サブホール
● 19日の夕方から冬が戻った感じ。北風が冷たかった。20日の午後からは雨。ユニクロのヒートテックの下着を引っぱりだしましたよ。
けっこう身体に堪えますな。だから天気を叱るってんじゃないけどさ。体調が乱れがちになるのは確か。
● そんななか,宇都宮ジュニア合奏団の定期演奏会に出かけた。昨年に続いて二度目の拝聴。
昨年はヴィヴァルディの「四季」に大いに満足。今年はバッハとパッヘルベルがメイン。バロックに焦点を合わせているというわけでもないと思うんだけど,弦楽合奏となればバロックを避けて通るわけにはいかない。
楽しみにしていたのは,バッハの「シャコンヌ」。これを含めて,演奏曲目は次のとおり。
バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番 ト長調
パッヘルベル(ロバート・ミュラー・ハルトマン編):シャコンヌ ホ短調
パッヘルベル:カノン ニ長調
バッハ(リッカルド・ニールセン編):シャコンヌ
ホルスト:セントポール組曲
● 昨年はメインホールだったのに対して,今年はサブホール。昨年は500円の入場料を取ったのに対して,今年は無料。
お金を取っても文句は言われない水準にあることは間違いないと思うんですけどね。けれども,このあたりの舵取りは主催者の勝手たるべし。お客さんとして主催者が想定したのは,演奏する児童,生徒の保護者や家族であって,であればお金は取れないと考えたのかもしれないし。
開演は午後2時。サブホールは満席。というか,立ち見のお客さんも出た。このあたりが悩ましいところですなぁ。
● 「ブランデンブルグ協奏曲」って,バッハの中ではポップというか,明るく軽めというか,気軽に聴ける感じ。普段は,アカデミー室内管弦楽団の演奏(ネヴィル・マリナー指揮)をCDで聴いている。
Bオケ(小5~中1)の演奏。さすがに年齢が出るってところはあったかもしれない。たどたどしいっていうんじゃなくて,何といえばいいのか,枝ぶりがまだできあがっていないっていうか,遊びがなさすぎるっていうか。でも,それは当然のことで,やむを得ないという日本語は,こういうときのためにある。
それだけ。あとはきちんとバッハになっていた。
● 次はパッヘルベルの「シャコンヌ」。もともとはオルガン曲。いや,プログラムの解説に書かれていることの受け売りですけどね。シャコンヌとはそもそもどういうものかってのも,簡潔に解説されている。
ともあれ,初めて聴く。こちらはAオケ(中2~高3)による演奏。優雅。たゆたうような気高さ。バロックだなぁと思う。
このパッヘルベルの「シャコンヌ」って,CDがあるんですか。YouTubeには弦楽四重奏やオルガンのはアップされているようだけれども,弦楽合奏版はないようだ。
● 同じくパッヘルベルの「カノン」。ABオケ合同の演奏。パッヘルベルの代表作らしい。
ぼくもCDを持っている。ただし,村治佳織さんがギターで演奏しているやつね。これはこれで素晴らしいんだけど,弦楽合奏版も探せばあるんだろう。
● ここで20分の休憩。前半で帰った人もいたようで,このあとは立見客は解消された。ひょっとすると,立ち見のお客さんが諦めて帰ったのかもしれないんだけど。
後半はまず,一番の楽しみにしていたバッハの「シャコンヌ」。もともとは無伴奏ヴァイオリン曲だってのは,ぼくも知っている。のだが,そのヴァイオリン曲はCDでも聴いたことがない。もっぱらオーケストラ版を聴いている。このあたり,再考の余地が大ありでしょうね。ヴァイオリンも聴けよって自分に突っこみたい。
● ともあれ,今回は弦楽合奏版。Aオケの演奏。安定感はさすが。
コンマスの独奏部分が何度かある。そのコンサートマスター(ミストレス)は高3の女子。存在感がありましたね。ちょっとやそっとのことでは動じないんじゃないかと思われる風格も。
● 最後は,バロックを離れて,ホルストの「セントポール組曲」。これも初めて聴く曲。
ABオケ合同の演奏。軽快で歯ぎれがいいんですな。ここでもコンマスのソロ部分が何度かあり,動じることなく演奏しきった。たいしたもんですなぁ。
● アンコールはバッハに戻って2曲。
小・中・高校生でここまでやれるんだからねぇ。
楽しくやれればそれが一番だと思うんだけど,楽しくなるまでが大変でしょ。ある程度のレベルに達して初めて楽しさがわかる。普通,そこに来る前に,やんなっちゃうんだよなぁ。その体験なら,ぼく,何度もしている。
● 19日の夕方から冬が戻った感じ。北風が冷たかった。20日の午後からは雨。ユニクロのヒートテックの下着を引っぱりだしましたよ。
けっこう身体に堪えますな。だから天気を叱るってんじゃないけどさ。体調が乱れがちになるのは確か。
● そんななか,宇都宮ジュニア合奏団の定期演奏会に出かけた。昨年に続いて二度目の拝聴。
昨年はヴィヴァルディの「四季」に大いに満足。今年はバッハとパッヘルベルがメイン。バロックに焦点を合わせているというわけでもないと思うんだけど,弦楽合奏となればバロックを避けて通るわけにはいかない。
楽しみにしていたのは,バッハの「シャコンヌ」。これを含めて,演奏曲目は次のとおり。
バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番 ト長調
パッヘルベル(ロバート・ミュラー・ハルトマン編):シャコンヌ ホ短調
パッヘルベル:カノン ニ長調
バッハ(リッカルド・ニールセン編):シャコンヌ
ホルスト:セントポール組曲
● 昨年はメインホールだったのに対して,今年はサブホール。昨年は500円の入場料を取ったのに対して,今年は無料。
お金を取っても文句は言われない水準にあることは間違いないと思うんですけどね。けれども,このあたりの舵取りは主催者の勝手たるべし。お客さんとして主催者が想定したのは,演奏する児童,生徒の保護者や家族であって,であればお金は取れないと考えたのかもしれないし。
開演は午後2時。サブホールは満席。というか,立ち見のお客さんも出た。このあたりが悩ましいところですなぁ。
● 「ブランデンブルグ協奏曲」って,バッハの中ではポップというか,明るく軽めというか,気軽に聴ける感じ。普段は,アカデミー室内管弦楽団の演奏(ネヴィル・マリナー指揮)をCDで聴いている。
Bオケ(小5~中1)の演奏。さすがに年齢が出るってところはあったかもしれない。たどたどしいっていうんじゃなくて,何といえばいいのか,枝ぶりがまだできあがっていないっていうか,遊びがなさすぎるっていうか。でも,それは当然のことで,やむを得ないという日本語は,こういうときのためにある。
それだけ。あとはきちんとバッハになっていた。
● 次はパッヘルベルの「シャコンヌ」。もともとはオルガン曲。いや,プログラムの解説に書かれていることの受け売りですけどね。シャコンヌとはそもそもどういうものかってのも,簡潔に解説されている。
ともあれ,初めて聴く。こちらはAオケ(中2~高3)による演奏。優雅。たゆたうような気高さ。バロックだなぁと思う。
このパッヘルベルの「シャコンヌ」って,CDがあるんですか。YouTubeには弦楽四重奏やオルガンのはアップされているようだけれども,弦楽合奏版はないようだ。
● 同じくパッヘルベルの「カノン」。ABオケ合同の演奏。パッヘルベルの代表作らしい。
ぼくもCDを持っている。ただし,村治佳織さんがギターで演奏しているやつね。これはこれで素晴らしいんだけど,弦楽合奏版も探せばあるんだろう。
● ここで20分の休憩。前半で帰った人もいたようで,このあとは立見客は解消された。ひょっとすると,立ち見のお客さんが諦めて帰ったのかもしれないんだけど。
後半はまず,一番の楽しみにしていたバッハの「シャコンヌ」。もともとは無伴奏ヴァイオリン曲だってのは,ぼくも知っている。のだが,そのヴァイオリン曲はCDでも聴いたことがない。もっぱらオーケストラ版を聴いている。このあたり,再考の余地が大ありでしょうね。ヴァイオリンも聴けよって自分に突っこみたい。
● ともあれ,今回は弦楽合奏版。Aオケの演奏。安定感はさすが。
コンマスの独奏部分が何度かある。そのコンサートマスター(ミストレス)は高3の女子。存在感がありましたね。ちょっとやそっとのことでは動じないんじゃないかと思われる風格も。
● 最後は,バロックを離れて,ホルストの「セントポール組曲」。これも初めて聴く曲。
ABオケ合同の演奏。軽快で歯ぎれがいいんですな。ここでもコンマスのソロ部分が何度かあり,動じることなく演奏しきった。たいしたもんですなぁ。
● アンコールはバッハに戻って2曲。
小・中・高校生でここまでやれるんだからねぇ。
楽しくやれればそれが一番だと思うんだけど,楽しくなるまでが大変でしょ。ある程度のレベルに達して初めて楽しさがわかる。普通,そこに来る前に,やんなっちゃうんだよなぁ。その体験なら,ぼく,何度もしている。
2013年4月13日土曜日
2013.04.13 U.P.A.春うららコンサート
宇都宮市文化会館 小ホール
● U.P.A.とは,「宇都宮 パーカッション アソシエーション」の頭文字を取ったもの。プログラムに掲載されているところによれば,「元日本フィルハーモニー交響楽団打楽器奏者の佐藤英彦氏により1982年に創立され,栃木県内の打楽器奏者,愛好家によって結成された打楽器アンサンブルグループ」とのこと。
チケットは1,000円。当日券を購入。開演は午後2時。
● 「定期演奏会は24回を数え」ているらしいのだけども,ぼくは一度も行ったことがない。情報を見逃していたのか。
ただ,3年前の2月に“パーカッション&ホルン「クラシカルコンサート」”というのが開催されて,このU.P.A.も出演してた。それは見にいったんだけどね。
● 当時はU.P.A.のメンバーは11名(全員女性)だった。現在は8名。7名が女性。4人が去って1人が入ってきた。その1人が男性ということ。
紅一点ならぬ黒一点に加えて,一番の新参者とあっては,けっこうキツくないかなぁと余計な心配をした。心なしか小さくなっているようにも見えたし。
● っていうか,女子パワーが凄いんだよね,今。年齢を問わず,分野を問わず。「肉食女子vs草食男子」の図式がもう一般的になっているんじゃないか。
まだ,多人数を統括する役目からは逃げようとする女子が多いようだけど,ここを克服すれば,ほんと,この世に男なんて要らなくなりそうだ。
● 内容は2部構成。第1部は「Are You Got Rhythm?」。たぶん,3年前にも同じものを聴いている。
アフリカのジャンベという太鼓から始まって,洋服のジッパーを使って音を作り,食器やスプーン,掃除用モップや鍋などを叩いてアンサンブルにし,タンバリンと最後にマリンバが登場する。
こういうのを聴いてると,音楽の始原は日常生活で発生する音だったのかと思いたくなるんだけど,たぶん,そうではないんだろうね。根拠はないけれども,何となくそう思う。鍋や食器を叩いて音を作ろうという発想は,音楽が一応できあがったあとに出てきたもののような気がする。いや,根拠は何もないんですけどね。
● ともあれ。これが楽しいんだねぇ。やってる側もノリノリだから,自ずと客席も乗せられるというわけで。
この「ノリノリ」ってのは大事なことですよねぇ。で,そのためには充分な練習が必要になる,と。彼女たち(+彼)がこの表情とこの動きでスムーズに音を出せるようになるには,トータルで相当な時間を費やしているに違いないんですよねぇ。
● 第2部は「マリンバの響き」と題して,いくつかの曲を演奏。具体的には次のとおり。
アンダーソン・メドレー:タイプライター,そりすべり,トランペット吹きの子守歌,シンコペイテッド・クロック,トランペット吹きの休日。
バレエ音楽「くるみ割り人形」より:チャイコフスキーの「くるみ割り人形」から,行進曲(第1幕)とトレパーク(第2幕)。
ドビュッシー・メドレー:亜麻色の髪の乙女,ゴリウォーグのケークウォーク,月の光。
日本の四季:おぼろ月夜,海,村祭り,たき火,雪,お正月,早春賦。
● ぼく的にはドビュッシーを聴けたのがラッキー。難解だったんです。要するに,楽しみ方がわからないということですね。ぼくには,音の連続でしかなくて。
それが,今回,マリンバの演奏で聴いて,ンンッと感じるところがあった。CDでピアノ曲を聴き直してみようと思う。遅ればせながら,ドビュッシーに対する手がかりのようなものを得られたかな,と。錯覚だったってことになる可能性もあるんだけど。
● あと,余計なことをひとつ。マリンバにしてもティンパニにしても,大きな楽器ですよね。これを搬入,搬出するのって,大変ですよね。
どうやってるんだろう。って,素人の知らない搬入ノウハウがあるんでしょうか。
● U.P.A.とは,「宇都宮 パーカッション アソシエーション」の頭文字を取ったもの。プログラムに掲載されているところによれば,「元日本フィルハーモニー交響楽団打楽器奏者の佐藤英彦氏により1982年に創立され,栃木県内の打楽器奏者,愛好家によって結成された打楽器アンサンブルグループ」とのこと。
チケットは1,000円。当日券を購入。開演は午後2時。
● 「定期演奏会は24回を数え」ているらしいのだけども,ぼくは一度も行ったことがない。情報を見逃していたのか。
ただ,3年前の2月に“パーカッション&ホルン「クラシカルコンサート」”というのが開催されて,このU.P.A.も出演してた。それは見にいったんだけどね。
● 当時はU.P.A.のメンバーは11名(全員女性)だった。現在は8名。7名が女性。4人が去って1人が入ってきた。その1人が男性ということ。
紅一点ならぬ黒一点に加えて,一番の新参者とあっては,けっこうキツくないかなぁと余計な心配をした。心なしか小さくなっているようにも見えたし。
● っていうか,女子パワーが凄いんだよね,今。年齢を問わず,分野を問わず。「肉食女子vs草食男子」の図式がもう一般的になっているんじゃないか。
まだ,多人数を統括する役目からは逃げようとする女子が多いようだけど,ここを克服すれば,ほんと,この世に男なんて要らなくなりそうだ。
● 内容は2部構成。第1部は「Are You Got Rhythm?」。たぶん,3年前にも同じものを聴いている。
アフリカのジャンベという太鼓から始まって,洋服のジッパーを使って音を作り,食器やスプーン,掃除用モップや鍋などを叩いてアンサンブルにし,タンバリンと最後にマリンバが登場する。
こういうのを聴いてると,音楽の始原は日常生活で発生する音だったのかと思いたくなるんだけど,たぶん,そうではないんだろうね。根拠はないけれども,何となくそう思う。鍋や食器を叩いて音を作ろうという発想は,音楽が一応できあがったあとに出てきたもののような気がする。いや,根拠は何もないんですけどね。
● ともあれ。これが楽しいんだねぇ。やってる側もノリノリだから,自ずと客席も乗せられるというわけで。
この「ノリノリ」ってのは大事なことですよねぇ。で,そのためには充分な練習が必要になる,と。彼女たち(+彼)がこの表情とこの動きでスムーズに音を出せるようになるには,トータルで相当な時間を費やしているに違いないんですよねぇ。
● 第2部は「マリンバの響き」と題して,いくつかの曲を演奏。具体的には次のとおり。
アンダーソン・メドレー:タイプライター,そりすべり,トランペット吹きの子守歌,シンコペイテッド・クロック,トランペット吹きの休日。
バレエ音楽「くるみ割り人形」より:チャイコフスキーの「くるみ割り人形」から,行進曲(第1幕)とトレパーク(第2幕)。
ドビュッシー・メドレー:亜麻色の髪の乙女,ゴリウォーグのケークウォーク,月の光。
日本の四季:おぼろ月夜,海,村祭り,たき火,雪,お正月,早春賦。
● ぼく的にはドビュッシーを聴けたのがラッキー。難解だったんです。要するに,楽しみ方がわからないということですね。ぼくには,音の連続でしかなくて。
それが,今回,マリンバの演奏で聴いて,ンンッと感じるところがあった。CDでピアノ曲を聴き直してみようと思う。遅ればせながら,ドビュッシーに対する手がかりのようなものを得られたかな,と。錯覚だったってことになる可能性もあるんだけど。
● あと,余計なことをひとつ。マリンバにしてもティンパニにしても,大きな楽器ですよね。これを搬入,搬出するのって,大変ですよね。
どうやってるんだろう。って,素人の知らない搬入ノウハウがあるんでしょうか。
2013年4月8日月曜日
2013.04.08 間奏27:お読みいただき,ありがとうございます(2)
● このブログを立ちあげてから,1年とちょっと。それでPVが3万。読んでくださる方の実人数はその1割にも満たないとしても,上出来です。出来すぎです。読んでいただけるのは本当に嬉しいです。ありがとうございます。
画像なし,長すぎる文章,栃木ローカル,低い鑑賞水準。にもかかわらず,これほど読んでいただけるとは。
● 演奏する側は,それぞれのレベルで,それぞれなりに全力を注いでステージを作ってくるものでしょう。その全力投球の演奏を聴いて,頼まれもしないのに勝手に感想を書くわけだから,こちらもこちらなりのレベルで力を注がなくてはいけない。
ぼくの拙い能力と経験では高度な内容は盛りこめない。それはわかっている。
結果において頓珍漢なことを書くことはあるにしても(っていうか,あるに決まってるんだけど),手抜きゆえの頓珍漢ではないようにしたい。弁解できない頓珍漢ならいいけれど,弁解が効くような頓珍漢はあってはならない。
● 心構えとしてはそのように思っているのですが,自分のブログを読み返してみると,「ギャッと叫んでロクロ首」の心境になることがしばしばありますねぇ。
● で,ここから天に唾するようなことを書くのですが,ぼく自身は人さまのブログはあまり読んでいません(あまり,であって,まったく,ではありませんが)。
同じコンサートを他の人はどんなふうに書いているのか,もちろん気にはなります。なので,それらをチェックしていた時期もあったのですが,すぐにやめました。
● 演奏する側は,評価がやはり気になるものでしょう。
けれども,評価を気にしてブログをチェックするような愚を犯すより,知ったふうに書いたりしていないお客さんの中にこそ,端倪すべからざる聴き巧者がいる可能性が高いでしょうから,そういう人の意見を引っぱりだす努力を試みた方がいいんでしょうね。
いわゆる「アンケート」ではなかなか出てこないから,個人的なつながりがあるといいんだけれども。
● そもそもが,きちんと練習して,いい(と自分が思う)演奏をすれば(しようと努めていれば)それでいい,どう評価するかは人それぞれ,と割りきってしまえれば,たぶんそれが最善なのかも。
● ひょっとすると,批評の真似事をぼくもしてしまうかもしれない(あるいは,過去にしているかもしれない)。そのときは,柳に風と受け流していただけると幸いです。猿脳(の持ち主)が何か言っているようだ,と。
自分で自分の首を絞めているようで具合が悪いんだけど,これからもこのブログをよろしくお願いします,とは言いにくいような。
2013年4月7日日曜日
2013.04.06 オーケストラーダ第5回演奏会
杉並公会堂 大ホール
● 東京はやっぱりすごいと思うことがある。そのひとつが,水準の高いアマチュアオーケストラに出逢ったとき。すでにいくつもの出逢いを経ているんだけど,今回,新たにひとつ加わった。
いったいどれだけあるんだよ,ってことですね。さすがは東京,層の厚さは測りがたい,というわけです。
● オーケストラーダ。発足したのが2011年。団員も若い人が多いんですな。
音大を卒業した人も相当数いるんじゃないかと思われる(ひょっとすると現役生も)。ヴァイオリン奏者の手首の返し方なんか,格好いいんだもんね。素人離れしてるっていうかさ。
● 曲目は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調とラフマニノフの交響曲第2番ホ短調。指揮者は久保田昌一さん。開演は午後6時。
● チケットはなし。ただし,無料ではなくて,終演後にそれぞれが妥当と考える金額を支払う。じゃあ100円でも200円でもいいのかっていうと,そうではなくて,最低額が867円と決められている。
これ,「ラフマニノフの楽譜に書かれている数字の和」なんだそうだ。こういう遊びも洒落てますな。
ちなみに,2,000円以上を支払うと,今回の演奏を録音したCDを送ってもらえる。要するに,観客対応は良心的かつフレンドリーってことね。
● ヴァイオリン協奏曲のソリストは渡辺りらさん。プログラムのプロフィール紹介によれば,桐朋女子高校を卒業後,大学はアメリカに。以後,アメリカを本拠地にして太平洋を行ったり来たりしてるっぽい。
外連味のない演奏。安定感のあるフォーム。大向こうに受けようなんてのは眼中にない。プロの矜恃。
バックの管弦楽も真摯な応接で,ありがちなソリストとオケとのチグハグ感もなかった。
● ラフマニノフ2番の演奏に先立って,指揮者の大久保さんによる解説があった。第3楽章に代表される美しい旋律の裏に隠されたものを聴きとってほしい,というようなことだったと思う。
これがぼくの頭ではよく理解できなくて。旋律に込められたラフマニノフの思いに思いをはせろ,ってこと?
● まず,表の旋律はこうだと1stヴァイオリンに演奏させ,次に2ndヴァイオリンにも演奏させた。つまりは2ndの演奏が裏に隠されたものっていうことなんだろうか。
でも,演奏されるんだから,楽譜に書かれているわけだよなぁ。別に隠されているわけじゃない。
実際問題として,1stと2ndは隣りあう配置だったこともあって,それぞれの音を聴きとるのは容易じゃなかったんだけど,それをやれってことだったのかなぁ。
要するに,よくわからない。わからないけれども,かなり難易度の高い要請ではあったように思う。
● しかし,本番の演奏が始まってしまえば(渡辺さんも2ndの列に加わっていた),こちらとしてはただ管弦の音の流れに身を任せるだけなんですよね。心地よく身を任せられるのが,つまりはいい演奏っていうわけで。
で,心地よく身を任せることができた。ぼく的には大満足。それだけじゃダメなのかなぁ。あまり頭であれこれ考えたくないんだけどなぁ。
2013.04.06 レガスまつり2013特別公演 早稲田大学交響楽団演奏会
新宿文化センター 大ホール
● レガスとは公益財団法人新宿未来創造財団の愛称だそうだ。が,新宿未来創造財団がどうしてレガスになるのかはわからない。
ま,そんなことはどうでもいいので,要はそこに早稲田大学交響楽団も参加して演奏会を開催する,と。1,000円で早稲田大学交響楽団の演奏を聴ける,と。
ワセオケは2010年にこの財団が運営する新宿文化センターとフランチャイズ協定を締結しているんだそうですな。プロっぽい。大学オケの中では圧倒的に知名度の高いワセオケなればこそという気がする(けど,ひょっとしたらほかにもあるのかもしれない)。
● この演奏会があることを知ったのは遅かった。ネットでの予約受付は終了していた。はたして当日券が残っているかどうか。一抹の不安を抱えて,ともかく会場へ。
で,ラッキーなことに残りものがあった。全席指定なんだけど,チケットを買っていながら来なかったお客さんもけっこうな数,いたかもしれない。天気が不安定だったせいもあるのか。開演は午後1時半。
● 短めの曲を数多く演奏。指揮者は田中雅彦氏。プログラムから曲目を引いておく。
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
ワーグナー 歌劇「ローエングリン」より抜粋(第3幕への前奏曲,結婚行進曲,第2幕の終曲)
ワーグナー 歌劇「タンホイザー」より大行進曲
フェルディナンド・ダヴィッド トロンボーンと管弦楽のための小協奏曲 変ホ長調
エミール・ワルトトイフェル ワルツ「女学生」
レハール 喜歌劇「メリー・ウィドウ」よりワルツ
ヴェルディ 歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲
● オペラは長い。ゆえに,CDでもあまり(というか,ほとんど)聴くことがない。ぼくの場合はってことだけど。
台詞の意味がわからなきゃいけないから,少なくとも最初に聴くときは,CDに付いている解説書の対訳のページを参照しながら聴くことになりますよね。それを考えただけで億劫になる。
っていうか,家でCDをかけることがない。リッピングしてスマホに転送して,電車の中や歩きながら聴く。それが専らになってしまった。歩きながら解説書を読めますか。
というわけで,ワーグナーもヴェルディも,CDでオペラ一曲を通して聴いたことはないんですよね。
● スマホやiPodって便利極まりないんだけど,どうしても聴き方が受け身になるっていうか。こちらから聴きに行ってないっていうか。
これ,まずいよなぁ。反省もするんだけど,家でじっと座ってプレイヤーから流れてくる音に耳を澄ますってこと,ほんとにしなくなってます。
● ともあれ。ライヴでワーグナーをこれだけまとめて聴くのは初めてのこと。いいもんですなぁ。有無を言わさない。ガーッと引っぱりこまれる。
演奏しているのがワセオケだしね。若い人にしか出せないフレッシュ感と一途な集中。この点に関しては,たぶん国内で最も良質な演奏を聴かせてもらってるんだろうなぁ。
両翼にトランペットの別働隊が出たんだけど,そのトランペットのハモり方の気持ちよさといったら。
● フェルディナンド・ダヴィッドやエミール・ワルトトイフェルなんて,名前すら聞いたことがなかった(小学校の音楽の時間に聴いた「スケータズワルツ」はワルトトイフェルの作品だったんですね)。もちろん,CDも持っていない。啓蒙されましたね。
その演奏を聴いていると,この楽団は無限にレパートリーを持っているような気がしてくる。プログラムなんか作らずに,客席にリクエストを促して,リクエストされた曲を次々に演奏していく。
まさかそんなことのできるはずもないんだけど,そう思わせる凄みのようなものを感じた。
● レガスとは公益財団法人新宿未来創造財団の愛称だそうだ。が,新宿未来創造財団がどうしてレガスになるのかはわからない。
ま,そんなことはどうでもいいので,要はそこに早稲田大学交響楽団も参加して演奏会を開催する,と。1,000円で早稲田大学交響楽団の演奏を聴ける,と。
ワセオケは2010年にこの財団が運営する新宿文化センターとフランチャイズ協定を締結しているんだそうですな。プロっぽい。大学オケの中では圧倒的に知名度の高いワセオケなればこそという気がする(けど,ひょっとしたらほかにもあるのかもしれない)。
● この演奏会があることを知ったのは遅かった。ネットでの予約受付は終了していた。はたして当日券が残っているかどうか。一抹の不安を抱えて,ともかく会場へ。
で,ラッキーなことに残りものがあった。全席指定なんだけど,チケットを買っていながら来なかったお客さんもけっこうな数,いたかもしれない。天気が不安定だったせいもあるのか。開演は午後1時半。
● 短めの曲を数多く演奏。指揮者は田中雅彦氏。プログラムから曲目を引いておく。
ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
ワーグナー 歌劇「ローエングリン」より抜粋(第3幕への前奏曲,結婚行進曲,第2幕の終曲)
ワーグナー 歌劇「タンホイザー」より大行進曲
フェルディナンド・ダヴィッド トロンボーンと管弦楽のための小協奏曲 変ホ長調
エミール・ワルトトイフェル ワルツ「女学生」
レハール 喜歌劇「メリー・ウィドウ」よりワルツ
ヴェルディ 歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲
● オペラは長い。ゆえに,CDでもあまり(というか,ほとんど)聴くことがない。ぼくの場合はってことだけど。
台詞の意味がわからなきゃいけないから,少なくとも最初に聴くときは,CDに付いている解説書の対訳のページを参照しながら聴くことになりますよね。それを考えただけで億劫になる。
っていうか,家でCDをかけることがない。リッピングしてスマホに転送して,電車の中や歩きながら聴く。それが専らになってしまった。歩きながら解説書を読めますか。
というわけで,ワーグナーもヴェルディも,CDでオペラ一曲を通して聴いたことはないんですよね。
● スマホやiPodって便利極まりないんだけど,どうしても聴き方が受け身になるっていうか。こちらから聴きに行ってないっていうか。
これ,まずいよなぁ。反省もするんだけど,家でじっと座ってプレイヤーから流れてくる音に耳を澄ますってこと,ほんとにしなくなってます。
● ともあれ。ライヴでワーグナーをこれだけまとめて聴くのは初めてのこと。いいもんですなぁ。有無を言わさない。ガーッと引っぱりこまれる。
演奏しているのがワセオケだしね。若い人にしか出せないフレッシュ感と一途な集中。この点に関しては,たぶん国内で最も良質な演奏を聴かせてもらってるんだろうなぁ。
両翼にトランペットの別働隊が出たんだけど,そのトランペットのハモり方の気持ちよさといったら。
● フェルディナンド・ダヴィッドやエミール・ワルトトイフェルなんて,名前すら聞いたことがなかった(小学校の音楽の時間に聴いた「スケータズワルツ」はワルトトイフェルの作品だったんですね)。もちろん,CDも持っていない。啓蒙されましたね。
その演奏を聴いていると,この楽団は無限にレパートリーを持っているような気がしてくる。プログラムなんか作らずに,客席にリクエストを促して,リクエストされた曲を次々に演奏していく。
まさかそんなことのできるはずもないんだけど,そう思わせる凄みのようなものを感じた。
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