2013年6月16日日曜日

2013.06.16 第34回宇都宮市民芸術祭 バレエ&ダンス フェスティバル

宇都宮市文化会館 大ホール

● 宇都宮市民芸術祭実行委員会のバレエ部会が主管ということになっているけど,宇都宮市洋舞連盟というのがあって,実質的な催行者はその洋舞連盟。洋舞連盟とはバレエスクールの業界団体。
 たぶん,市民芸術祭実行委員会のバレエ部会の部会長は,洋舞連盟加盟者の持ち回りってことになっているんだろう。あまりやりたい役じゃないでしょうね。

● 今回の出場団体は,ダンスセンターセレニテ,ヒロコ ダンス スタジオ,MK.School of Ballet,橋本陽子エコール ドゥ バレエ,の4団体。これも,たぶん,持ち回りなんでしょうね。
 県民芸術祭なんてのもあるから,そちらとも調整しつつ,出場団体を決めているのだろう。

● 開演は午後1時半。入場は無料。観客は出場者の保護者と家族と友人で占められていたと思う。
 ということは,赤ん坊の泣き声が絶えないことは暗黙の了解事項。舞台が動いている最中に出入者が途切れないことも暗黙の了解事項。
 ここで行われているのは屋内運動会ですか的な惨状を呈するわけだけど,これを認めないと,この催事じたいが成立しなくなるんでしょうねぇ。

● 初っ端はダンスセンターセレニテの生徒さんによる「瑠璃の空に」というアンサンブル。結局,ダンスって若い肉体の躍動感ってことに尽きるのかなぁと思いながら見てた。
 勝手に躍動するだけだと,なかなか美に至ることはないから,そこに演出(振付)によって秩序を与える。

● 「手の幻」も印象に残った。ソロのダンス。これはもう身体能力の高さに感嘆するほかはない。この感嘆するほかはないっていうのが,どうにも快感なわけです。
 だって感嘆するしかないんだからね。演技を見ている最中に,頭であれこれ考える余地なんかないんだから。ある意味,無心になれるわけですよ。

● 幼児のダンスも当然ある。彼や彼女たちの愛らしさには抵抗する術がない。文句を言わせない。強烈だ。
 ただし。であるがゆえに,その愛らしさはひと目見れば気がすんでしまう。長く見続けるのは,けっこう大変。

● なので,その後に大人のダンスが来ると,ホッとする。落ち着ける。やっぱ,大人が踊ってナンボだよなぁ,とか思う。
 もちろん,大人といっても,乙女と呼んでいい年齢の女性たちなわけですが。

● その大人の女性たちのアンサンブルで,最も印象的だったのは,橋本陽子エコール ドゥ バレエのひとつめの演目「ドガ」。
 dancer's secret minds という意味ありげな副題が付いてるんだけど,ひたすら優雅。女性美の極致と言いたくなるような趣あり。最後まで手を抜かない演出もお見事。
 女性の優雅さって,たぶん抑制されたセクシーさだと思うんだけど,この抑制の効いたセクシーさを表現するのに要求される身体能力と運動量はハンパない感じ。誰にでもできるってもんじゃない。

● 自然の中に美はない。自然にしてたんじゃ美しくならない。自然に逆らわないといけない。
 そこを極めようとすれば,踊る側も,バレエの練習だけを一生懸命にやってればいいってことにはならないんでしょうね。練習を離れた普段の生活も,あんまり自然にしてたんじゃいけないんだろうな。

● 食べたいものを食べたいだけ食べてたんじゃダメだろうし,見たいテレビを好きなだけ見てるってのも有害でしょう。洋服だって,着たいものを自由に着るっていうそれだけじゃまずいんじゃないかなぁ。
 いい音楽を聴いて,いい絵を見る機会も作って,できればいい恋愛もして(これ,かなり難しいと思うけど),かといって絵に描いたような優等生的生活でもダメだろうし。
 しかも,そういうことって,いい歳になってから始めても付け焼き刃にしかならないからね,タイミングの問題もある。

● 一番遊びたいときに遊びを抑えて,自由にやりたいときに自由を制限して,それに伴う視野狭窄を可能な限り回避して,っていう。舞台で美の表現者たらんとするのは,とんでもなく大変そうだ。
 でも,おまえがその表現者だ,と神様に選ばれてしまう人がいるんだよね。選ばれてしまったらしようがない。茨の道を行くしかない。
 うーん,趣味でやってる分にはいいけどねぇ。選ばれちゃったらどうなんだろうなぁ。

● 気になったことがひとつあった。前半の2団体が終わったところで,休憩をはさんだ。この休憩時間帯には客席の照明がつくんだけど,前半,後半それぞれの団体交代のときは,照明が落ちたままになっていた。
 この際に,出入者がけっこうでるわけで,ここで照明を落としたままだと,具体的に転倒の危険があるんじゃないか。
 照明を落としたままにするのであれば,この時点での出入を遮断する措置が必要だろう。どんどん会場に入れておきながら客席の照明をつけないというのは,いかがなものか。大昔の映画館じゃないんだから。
 もし怪我をする人が出たら,洒落にならないと思うんだけど。

0 件のコメント:

コメントを投稿