那須野が原ハーモニーホール 小ホール
● 大ホールがパイプオルガン設置工事中で使えないので,今年の「名曲コンサート」は小ホールで。その代わり,同一日に2回公演。演奏する側の手間は2倍。
そうでなければ,やってくるお客さんを捌くことができないんでしょうね。疲れるだろうなぁ。打ちあげのビールは旨いかもしれないけど。
● 午後5時からの2回目の演奏を聴いた。チケットは500円。指揮は大井剛史さん。
● 今回は「那須フィルと一緒に音楽世界紀行!」と銘打って,世界各国にゆかりのある曲を演奏。
ロシア グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ドイツ バッハ(マーラー編曲) G線上のアリア
チェコ スメタナ 歌劇「売られた花嫁」から「フリアント」
フランス ドビュッシー(リード編曲) ベルガマスク組曲から「月の光」
イギリス エルガー エニグマ変奏曲から「ニムロッド」
イタリア ディ・カプア(キャラメッロ編曲) オー・ソレ・ミオ
モロッコ グリーグ 「ペール・ギュント」第1組曲から「朝」
エジプト ヨハン・シュトラウス エジプト行進曲
中国 プッチーニ 歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
ブラジル フェルナンデス 歌劇「マルサルテ」から「パトゥーケ」
メキシコ ポンセ(ロッター編曲) エストレリータ
アメリカ バーンスタイン(メイソン編曲) 「ウェスト・サイド・ストーリー」セレクション
日本 外山雄三 管弦楽のためのラプソディ
● ロシアとチェコとブラジルとメキシコのは,初めて聴く曲。おっと,アメリカと日本もそうかも。「ウェスト・サイド・ストーリー」って,ほんの一部しか聴いたことがなかったと思う。
たくさんの曲のおいしいところをつまみ食い。こういうのも楽しいものだ。
● 演奏前に,大井さんが次に演奏する曲の解説をする。楽しさ成分のかなりの部分は,その大井さんのトークによる。彼,トークが巧いんですね。もちろん,トークの種になる諸々の事柄を広く深く知っているわけだけど,その表現が上手なんだね。
巧いといったって,プロのアナウンサーのように立て板に水になったんでは興ざめだ。そこは素人のトークであってもらわないと困るんだけど,かといってあまり木訥でもね。その辺の按配が絶妙にいいんですな。
何を話して何を話さないか。そこのところがたくまずして,すっきりした選択になっている。トークが演奏の邪魔をすることもなかったし。
● イタリアと中国では,小原啓楼さんのテノールが入った。ぼくからすると,はっきりと異能の持ち主ということになる。
人間の声は観客の耳目を集める度合いが高い。ステージの雰囲気もガラッと変わる。贅沢なものですなぁ。これで500円だからねぇ。
● 那須フィルの演奏を初めて聴いたのは2010年の9月なんだけど,当時と比べるとはっきりと巧くなっているように思える。メンバーの出入りもあってのことかもしれないとしても,後退を防ぐための練習ではなく,前に進むための練習になっているんだろうと思うしかないですな。
アマチュアなんだから巧くなれる余地は当然残しているとしても,10代の若者ならしらず,いい大人になってからでも巧くなれるものなのかってのが,よくわからない。まったくの未経験ならば,そりゃ練習すれば誰だって巧くなるだろうけど,それなりにやってきた人でも,巧くなれるのか。
って,なれるようなんだよなぁ。
● プログラムと一緒に配られた「なすフィルだより」によれば,メンバーの中に仙台から通っている人もいるという。新幹線で仙台から那須塩原まで,片道6,290円。回数券を使うともう少し安くなるとしたって,律儀に週に1回往復すると,月にいくらかかる? 東北自動車道を走ってくるのかなぁ。それも気が遠くなりそうな作業だぞ。
それほどまでの時間とお金を投じてステージに立っている人がいるんだから,こちらも襟を正して聴かないと罰があたりそうだ。
にしてもさ,そこまでさせるものって何なのだろうね。普通に考えれば,演奏する側にとっても,仙台の方が環境的に恵まれているのじゃないかと思えるしね。
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