2014年9月8日月曜日

2014.09.06 藝祭2014-カルミナ・ブラーナ

東京藝術大学 奏楽堂

● 今年も藝祭にお邪魔することに。La Folle Journée藝大版。5日から7日の3日間,大小種々様々なコンサートが開催されますよ,と。
 タイムテーブルはサイトに掲載されるから,それを見てスケジュールを決めることになる。できれば3日間とも日参したいところだけれども,諸般の事情で6日のみ。

● 整理券問題がある。事前に整理券をゲットしておかないと入場できない。会場の広さと聴きたい人の数が見合わない。数を制限しないとしょうがない。
 その整理券配布時間も考慮して,次のようなスケジュールを作ってみた。
  9:45~10:45 声楽科1年生による合唱:モーツァルト「戴冠ミサ」(整理券配布時間なし)
 16:05~16:55 愛の歌-ブラームスのひととき:「ハイドンの主題による変奏曲」「愛の歌」(整理券配布時間15:00)
 17:30~18:35 夏だ!藝祭だ!カルミナだ!:オルフ「カルミナ・ブラーナ」(整理券配布時間12:00)

● で,9時半に到着。最初の合唱の会場に行ったところが,すでに満席になってしまっていた。入場できず。残念だけれども仕方がない。仕方がないけれども,次の整理券が配布される12時までやることがない。
 いや,美術学部の展示もあるわけで,やることがないってのはあり得ないのだ,普通は。加えて,このエリアには国立や都立の美術館・博物館が集積している。特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」なるものも開催中だ。
 ところが,ぼくはそっち方面にはとんと興味がない。宝の山を目の前にしているのに,戸を叩かない愚か者とはぼくのことだ。

● 藝大の近くの上島珈琲店でモーニングセット。オープンテラスの席が空いていたので,そこで。普段はないシチュエーションで大いに満足しましたよ。620円の出費でこうした時間を買えるんだから,安いものだ。
 藝祭に向かう人たちや楽器を抱えた学生さんが通っていく。生ビールを商う学生の呼び声が聞こえてくる。朝から生ビール,いかがですかぁ。これで車が通らなければ最高なんだが。
 パリのモンマルトルにいるかのよう・・・・・・なわけはない。ここは歴然と日本で,空間のすみずみに日本があふれている。が,しばらく身を置いておきたいと思って,そのようにした。

● 上島珈琲店に入るところで,若い女の子に藝大の音楽学部はどちらでしょうか,と訊かれた。じじむさいオッサンに訊かれたんじゃ,馬鹿野郎,自分で調べろ,と言っちゃうところなんだけど,ここは懇切に対応いたしましたよ。
 といって,この先50メートルほどですよ,ですんじゃうわけだけど。

● ま,その他いろいろと暇をつぶして,11時半を過ぎたところで,再び藝大に。12時前に「カルミナ・ブラーナ」の整理券をゲットした。
 これ,いいのか。融通をきかせるとか,臨機応変に対応するとかっていうのとはちょっと違うと思うんだけどな。
 12時まで待たせるわけにはいかない事情(たとえば,人が滞留しちゃって,耐えがたいほどの構内渋滞が発生してしまうとか)があるのか。ないんだったら,キッチリ12時から配布を始めた方がいいように思う。こういうものは杓子定規な運用が吉。
 いや,そうでもないのか。早く来た人からサッサと渡してあげた方がいいか。さんざん待たせてから売り切れですよと告げるのは,心苦しいし,不親切ってことになるかなぁ。ちょっと悩むな。

● さて,このあとはまたやることがない。暑い。アメ横でビールでも飲むか。で,アメ横に行ったらば。営業中のモツ焼き屋や焼き鳥屋は満席だった。昼から飲んでるやつがこんなにいるのか。
 ま,ぼくもその一人なんですけどね。中華料理屋で餃子を肴に生ビールを飲んだ。旨くないわけがないやね。
 このあとも必死こいて暇をつぶして,15時前に整理券の列に並びに行った。ら。すでに配布終了。ふぅぅむ。

● となると,17時半までさらにやることがない。事ここに至っては,ぼくとしても万策尽きた感じ。万策尽きたとなれば致し方がない。東京国立博物館に向かった。
 故宮博物院展ではなく,通常展の方のチケットを買った。ひょっとすると1回か2回は来ているのかもしれない。そうだとしても完璧に忘れているから,新鮮な気分で見ていける。

● まず,仏像。日本史の教科書に載ってるものの実物ですよね。飛鳥時代や奈良時代に作られたものが,一部といえども,今も残っている。奇跡だな。平安や鎌倉のものは,精緻にリアル。リアルっていうのも変な言い方だけど,1本の木からこういうものを掘りだすって,今,できる人はいるんだろうか。
 ぼくらの先人の中にはすごい人がいたんだなぁ。日本人であることの誇りを刺激する効果がありますよね。

● 土器や陶器,密教仏具,仏教美術,刀剣などなど,2時間程度では一部しか見られない。かといって,では1日かけて全部見るかっていうと,それも辛い。
 なぜって,30分も見てると激しく疲れるから。何日間か日参するしかないでしょうね。これ,捉まる人は捉まると思うんで,実際にそうしている人がけっこうな数いるんだろうな。
 行ってみるもんですね。そう思いましたよ。

● さてさて。やっと17時になった。開場時間だ。奏楽堂に向かった。
 演奏するのは“F年有志オーケストラ”。F年とは,普通の大学で4年生といっているものに相当するらしい。
 F年の学生だけでは駒が足りないと思うんで,実際には院生や下の学年の学生も参加していたはずだ。でもねぇ,こういうのを学園祭でやっちゃうってのがねぇ。

● ここまでの合唱陣(特に男声)を整えることができるのがすごい。藝大しかできないってことではないのかもしれないけれども,しかしやっぱりすごいな。
 気が満ちているという印象ですね。端正でもある。おざなりは彼らの敵。彼らの辞書にそういう言葉はないのだろう。

● 朝の9時半に着いて,この時刻までひたすら暇つぶし。なんだけど,待った甲斐がありましたねぇ。これほどの「カルミナ・ブラーナ」を生で聴ける機会は,たぶん,この先ないと思うもん。
 昨年はシュニトケ「オラトリオ長崎」。強烈だった。今回も印象をひと言でいえば,強烈ということ。
 この1時間で今日は良い日となった。しかもかなり良い日となった。

● あ,それともうひとつ。往きの宇都宮線の車中で,可愛らしい女の子を見かけた。4歳くらい。父親と二人。父親の耳元に口を寄せて何か囁いている。その様はまさに天使。
 父親にとっては特にそうだろうな。今,一生分の親孝行をしてもらっている。あと10年もすれば,娘から嫌悪される運命だもんな。父と娘の束の間の蜜月。
 ぼく,娘はいないんだけど,正直,いなくてよかったなぁと思うんですよ。いろんな意味でね。

4 件のコメント:

  1. カルミナに参加していた娘の親です。ご鑑賞いただきましてありがとうございます。 チケットについてはいろいろなご意見があります。 音響の良い席をご希望であれば早いに越した事はないです。 カルミナの時には、チケットを取ってもらっていたのですが別件の用事があったので、奏楽堂に飛び込んだのが開演3min前! 取り敢えず、席をと仕方なく前から2列目のど真ん中でした。 それぞれが忙しくF年だけでなく1年のうちの娘もでましたが1週間前に仕上げたという素晴らしい演奏でしたね。

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    1. はい。演奏は堪能しました。あの年齢でしかできない演奏なのだろうなと思って聴いておりました。
      これからもっと巧くなるんでしょうけれど,巧くなったがゆえに失われる何かがあるのかもしれない,と思わせるものがありました。

      席はけっこういいところを取ることができましたよ。整理券の番号は300番台だったのですが。

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  2. F年のカルミナに参加させてもらった娘の保護者です。所用があり、チケットは持っていましたが結局演奏開始の3min前に飛び込み前列から2番目の真ん中でした。 当然整理券を担当者に見せている時間もなくパンフレットはあらかじめ持っていたのですが、指導者がおらずともとても素晴らしい演奏でした。ただ、中にはマナーを知らない人がいらしてガサガサと音を立てたりしていましたが学祭なのでご愛嬌ということで。 あれだけの迫力のカルミナは来年あるのでしょうか。 拝聴ありがとうございました。

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    1. マナーについては,どんな演奏会でもそういう人が一定数はいるものですよね。自分がそうなっていないかどうかも,時折,点検した方がいいなと思っています。

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