杉並公会堂 大ホール
● 午後2時開演のところ,15分ほど遅れて始まった。チケットは2,000円。当日券を購入。
アマチュアオーケストラの演奏会にしては,ちとお高い? が,ふたつほど留保が必要。
ひとつは,「今回のコンサートの収益は,福島県相馬市の子どもたちと音楽の感動を共有する活動に使わせて頂きます」ということ。チャリティーであって,チケットは入場料というより,被災地への寄付,あるいは被災地で活動する団員の活動費であること。
● もうひとつ。演奏の水準が並みじゃないこと。
というのは,こういうことだ。約80名の団員がいる。ほぼ,大学生。藝大や桐朋をはじめ,音大の学生が多い。指揮者の松本宗利音さんもコンミスも,藝大の学生さん。
チャリティー云々は切り離して,演奏を聴く対価としても2,000円なら安い。
● 一般大学では慶応が圧倒的に多い。団の代表者も慶応の学生。
あと,高校生も5人ほど。音大に進むんですかねぇ。何となくだけど,頭もかなり良さそうなので,それこそ東大とか慶応とかに行くのかなぁ。どっちにしても,たいしたものだな。
● ホームページには「大好きな音楽の感動を多くの人と分かち合いたい。Orchestra MOTIFは若者達の熱意から結成されました」とある。
何だかありがちだなぁというのが第一印象。熱意って冷めやすいものだし。特に若いときの熱意っていうのはさ。
ところがね,こうして複数の大学にまたがるオーケストラを作りあげたっていうそれだけで,これは本物なんだなってことでしょうね。
設立は2012年。震災後の機運の盛りあがりが生んだ成果のひとつに,この楽団の設立をあげてもいいかもしれないね。
● 大きなお世話ながら,ひとつだけ気にかかる。「若者の限りない熱意と才能によって生み出される“感動”を社会に伝えるべく活動するオーケストラ団体」なんだけど,人っていつまでも若者ではいられないよね。オジサンやオバサンになるんだよな。これ,あっという間だよ。
そしたらどうするんだろう。後輩たちを勧誘して,いうなら血をつなげるんだろうか。あるいは,最初から期間限定の構えなんだろうか。
って,そんなことは考えていないはずだろう。それが若さってことだもん。
● 曲目は次のとおり。
グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
スメタナ 交響詩「我が祖国」より「モルダウ」
ドヴォルザーク スラブ舞曲第10番
チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調
● 昨年からチャイコフスキーの5番は聴く機会が多かった。新年の1番目もこの曲。何の文句もない。新年早々,いい気分だ。
ステージに立つ以上,オーケストラって見た目も重要だと思うんだけど(持って生まれた顔貌や体型の話じゃない),その見た目もかなりいい。姿の美しさ。
耳も目も満足した。耳だけ満足して目は満足しないってことは,まずないんだけど。
● 活動内容からしてお金がかかるのは,部外者にもわかる。楽団としては「支援のお願い」もしているんだけど,これはなかなか難しいだろうと思われる。
寄付に冷淡なのが日本人のダメなところってことじゃなくて,胡散臭い寄付のお願いってのが世に多すぎるんだよね。過半が事務費に使われていたりするやつ。
● 先に書いたように,これでチケットが2,000円なら安い。ではいくらまでなら出すか。スバリ,5,000円までならぼくは出す。
要するに,出してもいいのは演奏を聴かせてもらうことの対価に限られる。その対価として,5,000円なら出すと思う。狭量で申しわけないけど。
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