栃木県総合文化センター サブホール
● 6日は伊那,7日は相模原,そして今日(8日)は宇都宮でのリサイタル。開演は午後3時。チケットは2,500円。
● プログラムは次のとおり。ピアノは日下知奈さん。姉君でいらっしゃる。
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 K.303
ピゼンデル 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ イ短調
ドヴォルザーク 4つのロマンティックな小品
メンデルスゾーン ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調
シューベルト 華麗なるロンド ロ短調
● いい演奏というのはすぐわかる。といっても,ぼくに技術的な細かいことがわかるはずもないので,かなりいい加減なわかり方なんだけど。
つまり,聴衆が消えるんですよ。ステージ上の奏者と自分しかいなくなる。まるで自分のために弾いてくれているような感じになるっていいますか。
わざわざベルリンから宇都宮まで来てくれて,オレのために演奏してくれているのか,すまんのぉ,といった感じね。
● これ,ホールが小さいからでもありますね。大きなホールじゃ,なかなか聴衆が消えてくれない。
ちなみに申しあげると,栃木県内で最も好きなホールをひとつ挙げろといわれれば,ぼくなら那須野が原ハーモニーホールの小ホールだ。が,この総文センターのサブホールも好きなホールのひとつ。
● とにかく。自分ひとりのために弾いてくれるとなれば,初っ端がモーツァルトなのは望むところ。ここから入りたい。気分をウキウキさせたい。
ピゼンデルの無伴奏ソナタは,当然,初めて聴く曲だ。ピゼンデルってバッハの同時代人らしいんだけど,ぼくにはジプシーが街角で流して歩く曲のイメージが湧いてきた。
● おまえ,ジプシーを知ってるのかよ,と言われれば,ごめんなさい,知りません,なんだけど,自分がイメージとして持っているジプシー像にぴったりはまるっていうか,そういう感じでした。
故地を持たない。寄る辺ない流れ者。人生すなわちこれ放浪。そういう人たちが醸すであろう,切なさ,哀愁。それが溢れているように感じてしまった。
● ガラッと趣が変わって,ドヴォルザーク。休憩をはさんで,メンデルスゾーン,シューベルトへとなだれこんで行く。
メンデルスゾーンっていうと優男のイメージがある。ホ短調協奏曲のせいだ。日下さんのメンデルスゾーンはいたって男性的で,力がみなぎっていた。
● その日下さん,手首なんかほんとに細くて,ぼくでもポキッと折れるんじゃないかと思うほどなんだけど,上腕にはしなやかに筋肉がついているんでした。
それと,滅多にないことなんだけど,チラシの写真より本物が美人。滅多にないですよねぇ,こういうことって。たぶん,これが3回目かなぁ。
● アンコールはドヴォルザークの「ユーモレスク」。軽くスッキリして終わりかと思ったら,もう1曲。
おおとりはバッハの「主よ,人の望みの喜びよ」だった。
● ところで。ぼくがチケットを買ったのは3日前の2月5日の夕刻。この時点で,4分の3は空席だった。あれぇと思ったんですけどね。
最終的には後方席にまとまった空きはあったものの,だいぶ埋まっていた。ラス前に大きく動くんですかねぇ。
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