宇都宮美術館 講義室
● 平成9年に宇都宮市が美術館を開設したことはいくら何でも知っていたし,美術品の展示のみならず,ワークショップや講演会や自然観察会やミニコンサートなども開いていることも知ってはいた。
が,美術は見ても何もわからない(感じない)ので,美術館など自分には縁のない施設だと思っていた。
コンサートといったって,ついでにやってるものでしょ,と,まぁ,気にとめることもなかったわけなんでした。
● でも,どんなところなのか一度は見ておいてもいいかと思って,出かけてみた。出かけるなら,音楽を聴ける日がいい。たぶん,本体の美術展は見ないで帰ることになるだろうから。
というわけで,本日,行ってみましたよ,と。
● 開演はだいぶ早くて午前11時。正午までの1時間の演奏会。入場無料。
会場は美術館の講義室。といっても,学校の教室のようではなく,椅子は階段式で,ちょっとしたホールだね。
逆にいうと,講義室なんだけど,生徒がノートを開くスペースはない。どうしてもノートを録りたいんだったら,膝のうえに載せて書くしかない。
● 開演40分前に到着したんだけど,すでにかなりの長さで行列ができていた。収容人員170名の講義室が満席の状態になった。
意外だった。この美術館,けっこう不便なところにあるのでね。これだけの人が来るってのは想定してなかったもので。
毎回,こうなんですか。美術館人気が底辺にあるんですかねぇ。
● 出演者は大島菜保子さん(ピアノ)と上野真理さん(ヴァイオリン)。お二人は,高校,大学と桐朋で同級生だったとのこと。
プログラムは次のとおり。
エルガー 愛の挨拶
クライスラー 愛の悲しみ,愛の喜び
ドビュッシー ベルガマスク組曲より「プレリュード」「月の光」
ラヴェル ツィガーヌ
ストラヴィンスキー イタリア組曲より「序奏」「ガヴォットと変奏」「メヌエットとフィナーレ」
● ドビュッシーはもちろん,ピアノ独奏になる。講義室のこととて,ステージの奥行きがなくて,グランドピアノは設置できず。アップライトピアノでの演奏になった。
けれども,名手が弾けば関係ないんですね。奏者としては大いに関係あるんだろうけど,聴き手(ぼく程度の)にとっては関係ない。
● 小さいホールならではの距離の近さで,まさにライヴという感じ。奏者を間近にすることの高揚感のようなものを感じまくり。
たんに距離が近いだけなら,ここまでの高揚はないだろう。おふたりの技量の高さによる。技量の高さとひと言で言ってしまってはいけないか。
意図しない情感とでもいうべきもの。自然にスイッチが入るような。それがバッと客席を鷲づかみにする。とんでもない水準の演奏でしたよ。
● 演奏の合間に(主に)上野さんのMCが入った。「ツィガーヌ」のあとはさすがに息があがりかけていて,その状態での喋りにゾクッとするような色気を感じたというのは,バカ丸出しの感想になるので,小さな声で申しあげておくことにする。
● 休憩なしの1時間。みっしりと充実した演奏会だった。ここまでの演奏をタダで聴けるとは思っていなかったので,思いがけないボーナスが入ったような気分。
● 美術館では薄久保友司展を開催中。初めて来たわけですからね,こちらも見てきましたよ。常設のコレクション展も。
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