鹿沼市民文化センター 大ホール
● 鹿沼東中の演奏会を初めて聴いたのは,3年前の第14回。あのときの清冽な驚きは,まだ記憶にとどまっている。
昨年の演奏会は平日開催だったこともあって,聴きに行くことができなかった。今回が3回目となる。
● で,今回も平日開催。平日開催で開演が午後5時というのは,聴く側としては,正直,きつい。
色々と難しい問題があるだろうことはわかる。中学生を遅くまで拘束することになる。保護者の要望もあるのかもしれない。先生方の労働時間のこともある。ひょっとすると,会場の都合もあったりするのかもしれない。
● とにかく,時間の都合をどうにかつけて,開演にギリギリ間に合った。プログラムは次のとおり。
金管アンサンブル
宮川泰 宇宙戦艦ヤマト
福島弘和 向日葵の咲く丘
ラングフォード 「ロンドンの小景」より第6楽章
木管アンサンブル
ヒンデミット 「小室内楽曲」より第5楽章
イベール 「3つの小品」より第1楽章
弦楽合奏
ヴィヴァルディ 「四季」より「春」第1楽章
チャイコフスキー 「弦楽セレナーデ」より第4楽章
オーケストラ
ワーグナー 歌劇「ローエングリン」より「第3幕への前奏曲」
R.シュトラウス ホルン協奏曲第1番より第1楽章
ホルスト 組曲「惑星」より「木星」
ファリャ バレエ音楽「三角帽子」より“3つの踊り”
● 過去の演奏会でも聴いたことのある曲がわりとある。これは仕方がないんでしょうね。
こういうシチュエーションに向いた代表的な曲というのがあるんでしょう。
● 後半のオーケストラの演奏はどれもすばらしかったけれども,ホルン協奏曲でソリストを務めた3年生の女子生徒はやはり大したものだったなぁ。
あの難しい楽器を中学生があそこまで自家薬籠中のものにできているっていうこと。
● 強弱のメリハリ,なめらかな音の連なり,ポンポンとスキップするように音を刻んでいく様。楽譜の指示するところに従って吹いているだけだといえば,それはそうなのだろうけど,従いたくてもなかなか従えないのが,むしろ普通のことだと思うのでね。
しまったというところもなくはなかったようだ。が,その原因も含めて,そこは本人が一番よくわかっているはずだ。いちいち指摘するには及ばない。
● 「木星」も説得力のある演奏になっていた。3年前もこの曲を演奏してて,やはり同じように感じたことを思いだした。
パートでいえば,ファゴットに注目。4人いて,全員が女子。姿が良くて,視線を惹きつけるものがあった。姿がいいのに演奏はダメということはないと,単純にぼくは思っている。当然,逆も真。
● 「三角帽子」も高水準の演奏になっていた。難易度の高い楽曲だと思う。それをここまで仕上げてくる実力には少々以上に恐れいる。
ホルン協奏曲でソリストを務めた女子生徒の短いソロがあって,ここでも魅せてくれた。
ホルンだけではない。トランペット,トロンボーンの金管陣,弦,木管,パーカッション,いずれもかなりの水準。
● 「三角帽子」はバレエ音楽だから,バレエのストーリーや場面があるわけだ。今回演奏した“3つの踊り”とは,近所の人たちの踊り,粉屋の踊り,粉ひき女の踊り。ぼくは不勉強で,“3つの踊り”がどういうシチュエーションで踊られるのものなのか知らない。
が,演奏している生徒たちは,そこをちゃんと踏まえたうえで,楽譜にそれぞれのイメージを付加して,演奏しているようにも思われた。
● プログラム冊子の部長あいさつによれば,「今年度は総勢70名と,例年に比べると少ない部員数です。そのほとんどが中学生になってから楽器を始めた初心者です」ということだ。
70名でも例年に比べれば少ないとなると,このオーケストラ部は東中学校で最も大所帯の部なのだろうし,東中学校を代表する部でもあるのだろう。
でもって,部員の大半が初心者。3年生でも楽器に触った期間は2年と少々ということか。それでこういう演奏ができるようになるのか。だとすれば,ぼくらは若さの前にひれ伏すしかないだろう。
● もうひとつ。男子部員がけっこういる。歌舞音曲は女のものという風潮は過去の遺物になったのか。まだ残っているのか。
だとしても,この中学校のオーケストラ部には男子がけっこうな数いる。女子の数分の1ではあるんだけれども,これだけいれば心強い。
ファーストヴァイオリンに,小柄な身体で大きく演奏する男子生徒がいて,数年後が楽しみだなと思った。
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