那須野が原ハーモニーホール 大ホール
● 開催は午後2時。チケットは200円。タダではなくて,200円でチケットを売るのがいいところだ。今回の演しものはハイドン「戦時のミサ」。
それだけではないので,以下に曲目をあげておく。
パレストリーナ 水を求める鹿のように
ビクトリア アヴェ・マリア
松下 耕(谷川俊太郎 作詞) 信じる
新実徳英(岩間芳樹 作詞) 聞こえる
猪間道明 編曲 TOKYO物語
ハイドン 戦時のミサ
● つまらない理由で,今回は遅刻してしまった。時間にすれば15分ほど。残念でもあり,演奏する側に対しては申しわけなくもあり。
ぼくが座席に着いたときには,「信じる」までは終わっており,「聞こえる」からの拝聴とあいなった。
● ぼくだけの都合でいえば,聴きたかったのはハイドン「戦時のミサ」だから,損失はほとんどなかったと言っていいんだけどね。
どうやっても遅刻だとわかったときは,行くのをやめようかと思ったんだけど,諦めないで行ってよかったと思う。
● 声楽が入るミサ曲などの宗教音楽っていうのは,CDで聴くことがあまりない。CDは持っているんだけども,ほぼ聴かない。こういうものは生で聴ける機会をとらえていかないと。
といって,管弦楽+合唱団+ソリスト,と大がかりな編成になるから,地方だとその機会も多くはない。ゆえに,今回のような演奏会は貴重。
● で,その「戦時のミサ」。
指揮は片岡真理さん。ソリストは袴塚愛音さん(ソプラノ),谷地畝晶子さん(アルト),藤井雄介さん(テノール),村林徹也さん(バリトン)。
管弦楽はモーツァルト合奏団。あたりまえだけれども,木管,金管,ティンパニは,賛助でまかなった。
● 「戦時のミサ」を聴いた感想を申せば,ミサ曲なのにあまり宗教臭を感じなかった。世俗の曲という印象を受けた。
プログラム冊子の曲目解説によれば,ハイドンがこの曲を作った1796年は,ナポレオン軍がウィーンを制圧し,北イタリアに進軍していた。その「フランスの脅威に対する怒りの表明といえる」ということだ。
なるほど,それで,と理解すればいいのかもしれない。理路整然としていて腑に落ちる。
● ただ,ぼくは理路整然としているものをあまり信用しないところがあって,それ以外に何かあったのじゃないかと考えたくなる。が,考えるヨスガは何も持っていないので,妄想を逞しくするという域を出ることはない。
とにかく,世俗臭のするミサ曲という印象だ。
● だものだから,ぼくとしては楽に聴くことができた。たとえばバッハの「マタイ受難曲」を聴かなければならないとなると,たとえCDであってもそれ相応の覚悟を要する。
日本人のぼくらがキリストの受難曲を聴くとなれば,どうしたってそういうことになる。わりと重苦しい行為になるという意味。
が,ハイドンのこのミサ曲はそういった重苦しさを感じずに聴くことができる。
● この合唱団の定演を聴くのは,これが二度目だ。一昨年の第9回を聴いている。フォーレの「レクイエム」だった。そのとき袴塚さんのソプラノを初めて聴いたのだった。
で,今回もまた袴塚さんのソプラノを聴くことができた。満足だ。他の3人もたいした歌い手で,ソリスト陣には1ミリの文句もない。
● 合唱はいっそうそうだ。この合唱団の活動は年1回の定演だけではないと思うけれど,でもこの定演が最も高い山になっているはずだ。そこに向けて1年間練習してきた。
細かい部分を言えば,それは色々ある。抑えなければいけないところでやや走りすぎてしまうとか,逆に冒険を避けるあまり声を出し惜しんでいるとか。
しかし,そうした細かいところはどうでもいいような気がする。それは教授陣にとっての課題ではあっても,客席側がどうこういう話ではない。
80歳代の団員もいるらしい。声に恵まれた人たちばかりではないだろう。それでよい。ここまでできればよしとする。
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