2017年7月17日月曜日

2017.07.17 宇都宮ジュニアオーケストラ 第21回定期演奏会-ファイナル・コンサート

栃木県総合文化センター メインホール

● ぼくの知る限り,栃木県内にジュニアオーケストラは3つある。宇都宮,鹿沼,足利。その中のひとつ,宇都宮ジュニアオーケストラが,今日の演奏会をもって活動を終了する。
 活動終了の最大の理由は団員の減少らしい。とすれば,これが先駆的な例になってしまう可能性もある。

● 音大卒は毎年積みあがる。プロへの道は彼らにとっても険しい。彼らがアマチュアとして演奏活動を続ける。あるいは音大ではなくても,演奏が好きでずっと続けていた人たちが,社会人になっても市民オケに入って,音楽を継続する。
 そのため演奏者は増える傾向なのに対して,聴衆が細ってきていると思っていた。聴衆の高齢化ははっきりしていて,彼らが抜けた分だけ新規参入があるとはとても思えない。
 この先,どうなってしまうのだろう。それはしばしば,思うことがあった。

● ところが,今まで存在していた楽団が消えてなくなるという事態は,まったく考えたこともない。ぼくの中では想定外。
 もちろん,一発オケというのもあるし,楽団内で運営方針が対立して,分裂したり消滅したりっていうのはある。それは昔からあることなので,考慮の外に置く。

● ジュニアの世界ではそれが起こっているのだな。少子化という言葉をことさら使うのも憚られるほどに,少子化は社会の前提になっている。実際に起きてみれば,こういう事態もあり得べし,だった。
 昨年の第20回の演奏会でも,OB・OGが多数参集してて,節目だから集めたのだなと思ったんだけど,そうじゃなかったんだ。そうしないとオーケストラとして成立しないくらいに団員が減ってたんだ。

● 宇都宮でもそうだとすると,厳しいんだろうなぁ。先月初めに聴いた鹿沼は元気そうだったんだけど。
 ぼくにできることは,ホールまで自分の身体を運んでいって,彼らの演奏を聴き,拍手を贈ることくらいだ。
 今日は,別の演奏会もあって,当初はそちらに行くつもりでいた。が,この楽団がファイナル・コンサートを催行するということであれば,行かないわけにはいかない。
 開演は午後2時。入場無料。

● 曲目は次のとおり。指揮は水越久夫さん。
 ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
 シューベルト 交響曲第7番「未完成」
 ベートーヴェン 交響曲第5番
 最後にふさわしい王道のプログラムといっていいだろう。これしかないと言っていいかもしれないほどの。アンコールはブラームス(ハンガリー舞曲第5番)。最後に相応しく,ドイツの正統を並べてきた。

● 正々堂々のプログラムに対して,演奏もまた正々堂々。
 「未完成」を生で聴くのは久しぶりのことだ。あぁ,こういう曲だったなぁと思いだしたっていうか。最近,CDでもずっと聴いていなかったので。

● 「運命」は出色中の出色。特に第4楽章はお見事の一語に尽きる。高揚感がハンパなかった。
 「運命」はこうでなきゃという自分の中のイメージとピタリと合っていた。こういう演奏を聴くと嬉しくなる。

● ジュニアには最後という気負いはなかったように思われる。普段どおりというか,淡々と演奏していた印象。もちろん,それで良いのである。
 ファイナルコンサートだからといって,何か特別なことがあるわけでもない(団長の挨拶はあったけど)。アンコールが終われば,観客は三々五々に散っていく。

● ライヴは一期一会だ。演奏する側にとっても聴く側にとっても。今日の演奏でも,奏者のうちの誰が一人が入れ替わっていたら,この演奏はなかったわけで。
 そして,今後はこのオケとの出会いそのものが叶わなくなったというわけだ。

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