宇都宮市文化会館 大ホール
中高生が団体で多数来ている。部活で吹奏楽をやってる子たちでしょ。プロ吹奏楽団の演奏を聴きに来た熱心な生徒たちということになるのだろう。プロの演奏は気になるものでもあるだろうし,憧れでもあるのだろう。
● 曲目は次のとおり。指揮は大井剛史さん。この楽団の正指揮者を務めている。
A.リード サリューテイションズ!
平山雄一 トイズ・パレード
佐藤信人 龍潭譚
宮川彬良 僕らのインべンション
宮下秀樹 吹奏楽のための「エール・マーチ」
尾方凛斗 吹奏楽のための「幻想曲」-アルノルト・シェーンベルク讃
A.リード エル・カミーノ・レアル
A.リード セレナード -クラリネットと吹奏楽のための-
A.リード プロセルピナの庭
B.アッペルモント ブリュッセル・レクイエム
(アンコール)ヘンリー・フィルモア サーカス・ビー
中高生に財布を開かせるための演奏会かと,一瞬,思ってしまった。課題曲の模範演奏を見せるからね,よく聴いてコンクール,頑張るんだよ,的な。
あるいは,コンクールの課題曲とリードの曲を比べてごらんよ,ぜんぜん問題にもならないだろ,課題曲にばかりかまけていてはダメだよ,もっといい曲がたくさんあるんだから,視野を広く取り給えよ,と言いたかったんだろうか。
コンクール至上主義という言葉を聞くこともあるが(当然,批判的に使われるのだろう),生徒の方はコンクールを超えて多彩な楽曲を組み立てて定期演奏会を催行してもいる。
頭が下がる。自分が何もしない暗いだけの3年間を送ってしまっているので,頭が下がるだけではなくて,羨ましさも感じることになるんだけど。
● ただし,そうしたことをやってのけるのは,コンクールの上位入賞校の常連になっている学校において顕著であって,というより,そういう学校に限られるように見える。
一定の水準に達していないと何をするにしてもスタートラインに立てない。そういう厳しさはどの分野でも,大人でも子供でも,同じなのだろう。
● 課題曲を与えて,それをコンクールで演奏させ,その結果を評価するという方式は,評価する側にはありがたい方式だろうと思う。指導する側もやりやすいかもしれない。生徒だって手がかりがあった方がやりやすいだろう。いつまでも生徒をやっていられるわけではないのだから。
その手がかりを上手く使って活かすことができるのは技術を持っている生徒だ,ということになってしまうのが,何かどうも・・・・・・。といっても,仕方がないねぇ。
● 「セレナード -クラリネットと吹奏楽のための-」のソリストは,瀧本千晶さんが担当。地元出身者。
“作新学院高等学校英進部を卒業して” と紹介されているが,彼女が卒業したのはそこではない。作新は作新でも吹奏楽部の卒業生だ。
吹奏楽をやりたいから,クラリネットを吹きたいから,作新を選んだはずだ。つまり,栃木県における吹奏楽のエリートコースを歩んでいるんだよね。
そうした意思の通し方をその年齢でできるというのも,ぼくに言わせると才能の一部だ。それができる人はそんなに多くはないと思うよ。
● 今日聴いた曲のあらかたは,高校生の演奏で聴いている。高校生の演奏と東京佼成の演奏では,水準がまるで違う。それはぼくのような素人にもはっきりとわかる。
しかし,そのこととこちらに届くものが正比例するかというと,それはそうではない。これまで聴いたいくつかの高校の定演を思いだして,妙な懐かしさを感じた。可能ならそちらをもう一度聴きたい,と。
過去に聴いた記憶を美化しているだけかもしれないんだけどね。
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