約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年6月18日月曜日
2012.06.17 早稲田大学交響楽団特別演奏会(早稲田学生文化・芸術祭2012)
早稲田大学 大隈記念講堂
● Webサイトをサーフィン(死語?)してたら,早稲田大学交響楽団の演奏会があるのを発見。学内行事での演奏会らしい。無料で聴ける。
早稲田大学交響楽団といえばヨーロッパに演奏旅行に出かけたりしてて,活躍は国内にとどまらない。最近も雑誌「音楽の友」にその記事が掲載されたのを読んだばかりだ。おそらく,最も知名度の高い大学オケなのではあるまいか。
であるからして,この機会に早稲田大学交響楽団の生演奏を聴いてみたい。
● というわけで,栃木の田舎から鉄路千里,会場の早稲田大学大隈記念講堂に向かった。開演は11時なのだが,たぶん長蛇の列ができるだろうと思って,1時間前には到着できるよう,朝早くにわが陋屋を出立。
高田馬場駅からは徒歩。地図は確認してこなかった。スマートフォンのナビに任せればいいと思って。だけど,このナビがあまり役に立たなくてね。
この先200メートルを左方向ですと言うんだけど,左に行く道なんてない。半キロほども歩いたところで,またこの先200メートルを左方向ですと言ってくれる。この半キロは何だったんだよ。
だいぶ遠回りをしてしまったようだ。右側に早稲田の森が見えてきた。と,ナビ君はまもなく左方向ですと言う。おいおい。
● が,予想に反して,行列はなかった。大隈講堂には最後まで空席があった。「早稲田学生文化・芸術祭2012」は学内でもマイナーな催しであるようだ。この日は同じ早稲田で国家公務員採用試験が行われていたくらいだから。
● この楽団は今年が創立100周年を迎えるようで,今年6月から来年3月にかけて5回にわたって「創立100周年記念演奏会」を展開する。毎回,曲目は変わる。同じ曲目を5回繰り返して演奏するのではない。
団員は早稲田の学部生約300名とのことなんだけど,とんでもなく生産性の高い大学オケですな。
● 曲目は次のとおり。
モーツァルト 交響曲第35番 ニ長調「ハフナー」
ファリャ バレエ音楽「三角帽子」第2組曲
ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲
サン・サーンス チェロ協奏曲第1番 イ短調 より第1部
ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲 より「スイス軍の行進」
レスピーギ 交響詩「ローマの松」より第4楽章「アッピア街道の松」
● すでに開催した1回目の100周年記念演奏会で演奏したものをダイジェストしている。ただし,サン・サーンスのチェロ協奏曲は次回の,「運命の力」序曲は次々回の記念演奏会にあげる予定のもの。
指揮者は田中雅彦氏。この楽団の永久名誉顧問になっている。御年77歳。この年齢でこれだけ動けるんだからねぇ。
● 大隈講堂といえどもオーケストラを乗せる舞台としてはやや手狭。ステージ上に段差もないから,管楽器の奏者は顔が見えなかった。
でも,昔は,今のようにそちこちに大きなホールがあったわけじゃないからね,こんな感じで音楽を楽しんでいたのかなぁと思いを馳せながら聴いていた。
● 「ハフナー」は破綻のない無難な演奏だなぁといった程度の印象で聴き終えてしまったのだが,「三角帽子」になって,この楽団の実力を思い知らされることになった。うねるように,退いては寄せる波のように,心地よく客席を揺さぶってくれる。
チェロ協奏曲のソリストは,この楽団で首席チェロ奏者を務める實島咲さん。プログラムに掲載されているプロフィールによると,「第29回栃木県学生音楽コンクール弦楽器部門第1位」とある。栃木県出身の人なのかなぁ。とすると,栃木からもこんな美人が出るようになっていたんだねぇ。
「ローマの松」では金管の別働隊がステージ下に登場。この春に入学したばかりの1年生とおぼしき男女。みな幼顔で可愛らしかった。これがあっという間に大人の顔になっていくわけだ。この時期の若者の変化にはまことに端倪すべからざるものがあって,だからこそ,年寄りは若さの前に謙虚でなければならないのだ。
● ぼくは,百回生まれ変わっても,早稲田の入学試験には合格できない自信がある。今,ステージで演奏している学生たちは,ガリ勉一辺倒でやってきたはずがない。音楽も続けながら早稲田に入ってきた人たちだろう。本来的に頭がいいのだろうねぇ。
そういう眼で見るせいか,彼ら彼女らがまぶしく映るんですよねぇ。
● 1時間半で演奏会は終了。
帰りはナビなしで駅に戻ろうとしたが,道に迷ってしまった。後刻,地図で確認したところ,途中で右折して北に向かうべきところを左折してしまったようだ。そもそも,迷うような道じゃないはずなんだけどね(地下鉄の西早稲田駅に出遭ったときは,救われた気がした。地下鉄で池袋に出た)。
こういう状況に遇うと,自分が何者であるかを深く自覚することになる。あぁ,オレは栃木の山猿なんだ(念のために申しあげれば,栃木県人に山猿なんかめったにいないよ)。
● なお,この楽団の演奏会を聴きに行くのであれば,「ワセオケコンサート会員」になるのがお得だ。年会費5千円で「ワセオケ年間フリーパス」をもらえる。その都度チケットを買うよりだいぶ安くなる。
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