かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
● 昨年までは知らなかったけれど,オペラを自主公演している団体って,けっこうたくさんあるんですね。こんなにあったのかと驚いている。
で,今回はLe vociの「仮面舞踏会」にお邪魔することに。
● でも,気がすんだっていうかさ,もういいかなって気分もでてきてる。たぶん,オーバーペースが原因だと思う。正直,ちょっと疲れているようだしな。
この時期,「青春18きっぷ」でJRの電車賃が安くなるので,ここぞとばかり首都圏に出かけてるんだけど,ほかにやることはないのかよ,と自分に突っこみたくもある。
かといってさ,わがアパートは陽あたりが良すぎてね,エアコンが効かないくらいに温かくなってくれるしさ。どうせ家にはいられないわけでね。疲れているのも,主には暑さのせいなんでしょうね。この時期はどなた様もお疲れなんだろうしね。
● 開演は午後6時。チケットは4,000円。
開演に先立って,演出の伊藤隆浩さんのレクチャーがあった。仮面をかぶっているということは,その下にほんとの顔があるわけで,それらふたつの顔が作りだす綾を味わってほしい,というようなこと。
けれども,そうした深い味わい方はなかなか難しいですね。専門家と一般聴衆の違いっていうか。
● 出演者は次のとおり。指揮は安藤敬さん。
リッカルド 川野浩史
レナート 川上 敦
アメーリア 大久保陽子
オスカル 中川美和
ウルリカ 飯島由利江
シルヴァーノ 須山智文
● 大久保さんのアメーリアが清楚かつ妖艶。リアルにこんな女性が近くにいたら,人生を誤るかもしれないな。鼻も引っかけてもらえないだろうけどさ。
彼女,急遽立ったピンチヒッターだったらしいんだけど,こちらとしてはラッキーだったかも。
● 川上さんは,本業のかたわら「サンデー・バリトン」として活動を続けている,とプログラムに紹介されている。プロの歌い手と共演するって,どんな按配のものなんだろう。
正直,他の出演者との技量の差は隠しようもないんだけど(あたりまえだ),臆するところがないのは年の功か。あるいは,臆しているんだけどもそれを押し殺して,必死こいて務めていたのかなぁ。自分はアマチュアだからと居直っていないのは立派だと思った。
● Le vociがそもそも「若手歌手ならびにアマチュア歌手を主とした発信の場」として結成されたものだ。
おそらく,本番の舞台が一番勉強になるだろうし,かつモチベーションを喚起してくれるものだろうから,こういう場があるのは貴重でしょうね。
● いくつかの偶然が重なって悲劇が起こる。出発点は,リッカルドとアメーリアの相思相愛だ。肉体関係はありませんでしたっていったって,レナートに言わせれば,そんなのは枝葉末節。
でも,人を好きになるのはしようがない。この人を好きになるぞと決めてから好きになるんじゃないもんね。気がついたら好きになってたんだから。そこは制御不可能。
● 問題はさ,「好き」は持続しないってことを弁えられるかどうかだな。リッカルドとアメーリアが「好き」に任せて駆け落ちしたとしても,それは愚かの証明だもんね。駆け落ち先で仲違いするに決まってるんだから。レナートとすれば,愚者に去られて清々したと思えばいい。
って,そう考えちゃうとつまらないよなぁ。正しいんだけどつまらない。
● ぼくらは誰もが愚者で,物語は愚者が作る。だからこの世は生きるに値する。愚者ではない人がもしいたとして,彼にとってはこの世はどう映るだろう。無色透明なんだろうか。
という安直すぎる結論にしておきたい。
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