神奈川県立音楽堂
● 今年のエルデ・オペラ管弦楽団は,ヴェルディの「椿姫」全3幕をコンサート形式で。開演は午後4時。チケットは2,500円(自由席)。
「椿姫」を観る(聴く)のはこれが二度目。昨年7月の栃木県総合文化センター開館20周年記念公演が「椿姫」だった。
初めて観るオペラは何がいいか。結論は何でもいいってことになるんだろうけど,「椿姫」なんかは格好のものでしょうね。絶対,泣けるもんね。オペラっていい,って思える確率が高くなりそうだ。
ぼくも実質的に初めて観たオペラが,昨年7月の「椿姫」だったんだけど,幸運な偶然を得たと思っている。
● この楽団の演奏家は,昨年に続いて二度目。
ヴィオレッタは梅津香織さん。アルフレードにファビオ・ブオノコーレ氏。昨年の「蝶々夫人」でもピンカートンを演じていましたね。ジェルモンは渡辺弘樹さん。やはり昨年はシャープレスを演じた。
フローラに二見麻衣子さん。ガストン子爵が寺田宗永さん。ドゥフォール男爵に香月健さん。ドゥビニー侯爵は野村光洋さん。グランヴィル医師に高橋正尚さん
アンニーナは実川裕紀さん。彼女も昨年はケイト役で出てましたね。
指揮も昨年と同じく大浦智弘さん。合唱はフィオーレ・オペラ合唱団。
● コンサート形式とはいえ,皆さん芸達者でオペラ感は充分。昨年7月のときは,ヴィオレッタが亡くなるラストで泣いてしまったので,今回はこらえてやるぞと思ってたんだけど,やっぱりねぇ,そうもいかなくてさ。
ここ,管弦楽が「泣け,ほら,泣け」と言ってるように聞こえるもんねぇ。
● このオペラは主役がすべてっていえばいえるんだと思う。梅津さん,ビシッと主役を張って,間然するところがない。主役がコケたら劇がコケちゃうわけだから,主役のプレッシャーって相当なものなんでしょうね。
存在感があったのがジェルモン。存在感というか父親としての貫禄。メイクも効果的だったと思う。もっと弱々しいところも漂わせている人物かもしれないけれど。
● ストーリーの展開上で際立つのは,アルフレードのバカさ加減。アルフレードが男性代表だとすると,男ってバカだなぁと思いますよねぇ。女の助けなしにはまともに生きていけないのが男だな,っていう。
昔は,男は仕事,女は家庭と,性役割が一応あったから,ともかく男は稼いできてくれて,子供と自分を養ってくれた。が,今は女性も自分を喰わせていくことぐらい,自分でできる。そうなれば,男などたんなるバカなお荷物以外のものではなくなる。
女性からすれば,バカと関わったってしようがないってことになりそうなんだけど,現実はそうなっていないのは不思議でもあり,ありがたくもあり。
● 贅沢な3時間になった。これで2,500円はありえないほどにお得。
場所もいいですな。横浜の市街地にぽっかりとある静かな空間。この空間性が贅沢感を醸すのにひと役買っているかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿