2014年8月26日火曜日

2014.08.23 ジャパン フレンドシップ フィルハーモニック 音樂會

ミューザ川崎 シンフォニーホール

● べつに恥ずかしいとは思ってないんだけど,ぼくが使えるお金はそんなにない。したがって,お金は最大限効率よく使いたい。というと,何やらマトモに聞こえるかもしれないけど,要はケチケチしなきゃなってことなんですよ。
 東京や首都圏に聴きに行くのも,“青春18きっぷ”が使える時期が中心。もちろん,新幹線なんか使わない(使えない)。
 プロのオーケストラを聴くことがないわけではないけれども,向こうから栃木にやってきてくれたときに限られる。

● というわけなので,ぼくの情報源は“アマチュアオーケストラのサイトFreude”が主なものだ。あとは,コンサートのときに配られたチラシは一応,見ておくようにしている。ただ,何事にも限度はあって,あんまり多いと見ないで捨てることになる。
 ジャパンフレンドシップフィルハーモニックの今回の演奏会はFreudeには載ってない。何かの折にチラシをもらっていた。

● ショスタコーヴィチの5番をやるのか,たぶん聴きに行くことになりそうだな,と思って,実際にそうなった。“青春18きっぷ”が使える時期だしね。
 開演は午後2時。座席はSとAの2種。当日券を買った。いわゆるいい席は残っていなくて,ぼくは3階の右翼席。A席で1,500円。指揮は高橋敦さん。曲目は次のとおり。
 チャイコフスキー 交響曲第5番
 ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
 伊福部 昭 SF交響ファンタジー第1番

● この順番で演奏。チャイコフスキーの5番を聴き終えたところで,相当キテますよね,普通。え,このあとまた交響曲かよ。
 演奏する方だってそうだろう。このあとショスタコ弾くのかよっ,てなものだろう。

● それを知ってて出かけているわけなんだけど,けっこう厳しかった。大晦日の“ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会”を3年連続で聴きに行っているんだけど,それより今日の方がきつかった。
 原因は,聴く側(つまり,ぼく)の体調だとか寝不足だとかもあると思うんだけど,第一にはショスタコーヴィチだからですよね。
 ショスタコーヴィチって,総じて,どの曲でも聴くのが辛いんですよ。彼の壮絶な人生を一応(知識として)知っちゃってるからですかねぇ。その壮絶さは,権力中枢がそれと認める実力者であるがゆえのこと。退くことは最初から許されない。カミソリのうえを歩かされているようなものだ。

● 曲の難解さもあるかも。どういう曲が難解なのか。それじたい,ぼくにはよくわからない問題。難解な曲ってどんな曲なんでしょ。ジョン・ケージ「4分33秒」は難解か。
 考えだすと自縄自縛に陥りそうだ。難解っていうのは,曲自体にあるのではなく,曲とそれが聴かれる時代,曲と聴き手との関係性に立ち現れるもののように思う。難解という実態が屹立して存在するのではない。そういうことにしておきたい。
 ひじょうに幼稚ながら,ぼくの場合は,聴いている最中に脳内イメージがどう触発されるかを基準にしている。単純にハッキリと像を結ぶのが難解じゃない曲で,像を結びづらいのが難解な曲。幼稚でしょ。

● で,この5番は難解だと思う。“像を結びづらい”からではなく,逆にどんな像でも結べそうだからだ。どうにでも受け取れる。
 たいていの曲はそうなんですよね。ベートーヴェンの5番だって,“苦悩を通して歓喜に至る”ではない受け取り方をしようと思えば,できなくはない。ただ,それにはそれ相当の細工を自分の気持ちに施す必要がある。
 ショスタコーヴィチのこの曲は,その必要がいささかもない。それでいて,どんな像でも成立しそうだ。

● 重量級が2つ続いたあとに,伊福部昭さんの「SF交響ファンタジー第1番」。この曲を軽いと言っていいかどうかは意見が分かれるところかもしれないけれど,エンタテインメント性が強いことは間違いない。
 メインディッシュが2つ続いたあとに,デザートとはいかないまでも,ちょっと別腹に入れてよという感じ? 正直,ホッとした。

● ミューザのシンフォニーホールをほぼ満席にするアマチュア・オーケストラ。固定ファンがけっこうな数,いるのだろうね。
 力のあるオーケストラであることが,その理由の第一。指揮者の高橋さんのキャラクターも固定ファンの獲得に力があるように思われた。

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