● メンバーは,木野雅之(1st Vn),松野木拓人(2nd Vn),池田開渡(Vla),ピーティー田代櫻(Vc)。
木野さんは日フィルのソロ・コンサートマスターを務める,知らない人はいないくらいのビッグネーム。あとの3人は,東京音大(あるいは大学院)で木野さんの薫陶を受けた気鋭の奏者たち。重鎮と若い俊英の組合せ。
● 開演は午後7時。チケットは3,000円(自由席)。
曲目は次のとおり。
メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第2番 イ短調
ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調
アンコール:プッチーニ 弦楽四重奏曲「菊」嬰ハ短調
● プログラムノートに,弦楽四重奏曲は「ベートーヴェンの後に続く多くの作曲家たちの挑戦の始まりでもあった」とある。
ベートーヴェンが,この新しい「弦楽四重奏曲」という世界において早々と革命を引き起こし,16曲のその後弦楽四重奏曲の世界に君臨し続ける,偉大な作品を書き上げてしまったのである。交響曲や弦楽四重奏曲に限らないんでしょうね。ピアノ・ソナタやヴァイオリン・ソナタにおいても,事情は同様だろう。
● そのベートーヴェンの弦楽四重奏曲をCDで何度か聴いてみたんだけど,どうにも歯が立たない。恥ずかしながら,どこがいいのかわからない。ほんとに恥ずかしいことなんだけど。
で,この世界は自分の水準では無理なんだと結論を出して,今日に至る。
● でも,わかるときには突然わかる。わかるっていうか,“耳が開く”っていうやつね。あっ,そうだったのか,っていう言葉にしづらいひらめきのようなもの。
弦楽四重奏曲について,自分にそういう日が来るのかどうかわからない。半分は諦めているんだけど,半分はまだ希望を持っているっていうか。
● CDよりも生演奏を聴いた方が,耳が開く可能性は高くなるだろう。であるからして,苦手意識を押して,出かけるようにしているんだけど。
今回の演奏は,直す余地がないくらいの音が出ているはずでしょ。これを聴いてダメなら仕方がないよ,諦めなよ,ってなものでしょ。
諦めた方がいいのかもしれないな。弦楽四重奏曲だけが音楽じゃないものな。少々,弱気になった。
● ラヴェルは奏法も多彩だし,場面転換も聴き手の裏をかくようなところがあって,驚かせる要素もある。飽きさせない。
メンデルスゾーンの方はしっとりしてて,あ,メンデルスゾーンだなとわかるというか。
アンコールのプッチーニは,普通に日本人受けしそうだ。こういうのを叙情といっていいのだろうか。お涙ちょうだいではないけれども,曲調が日本人と親和性が高いように思えた。
● という次第で,聴き手がこのレベルでは,奏者に申しわけない。勉強して出直したい。
が,どういう勉強をすればいいのか。そこがわからない。
0 件のコメント:
コメントを投稿