● 会場をミューザ川崎から東京芸術劇場に移して,音大フェスの今日は3回目。
● まず,国立音楽大学オーケストラ。指揮は高関健さん。ブルックナーの7番(ハース版)。昨年は洗足学園音楽大学が秋山和慶さんの指揮で演奏した。
この音大フェスの魅力のひとつは,普段はあまり聴く機会のない大曲を生で聴けることだ。今回もすでに,バルトーク「管弦楽のための協奏曲」とレスピーギ「ローマの松」を聴いている。
ブルックナーもまた,その領域に入れていいのかどうか。が,演奏時間は1時間を超える。大曲には違いない。
● で,ブルックナーに関しては,CDを聴き始めたのも最近だし,いまだに,どれを聴いても同じに聞こえる。
書籍やネットでいろいろな評論(?)を読んでも,どうにもピンと来ない。
● 今回の演奏を聴きながら思ったのは,次のようなことだ。
交響曲って,普通は1楽章から4楽章までそれぞれ違った味わいがあって,4つの楽章でひとつの全体になる。ところが,ブルックナーの場合はそれぞれの楽章に全部入っていて,要するに全体が4つある。
ま,その程度の聴き手だってことですね。
● 演奏はさすがに音大だなと思った。ほとんどプロの水準じゃないですか。っていうか,よく知らないままに言うんだけど,ふた昔前のプロのオーケストラって,これほど巧くなかったんじゃないですか。
そんなことはないですか。そうですか。
● こういう演奏を聴くと,あれですよ,会場である東京芸術劇場っていいホールだなぁと思えてきますね。いや,もともととんでもなくいいホールであるに違いないんだけど,しみじみいいホールだなぁと思えてきますよ。
もっというと,このホールがある池袋界隈にも親近感がわいてくるような感じね。
● 次は,桐朋学園オーケストラ。昨年の「春の祭典」には度肝を抜かれた。まだ鮮明に憶えている。
今回はぐっとシックにブラームスの1番。その前に,サン=サーンスの「ホルンと管弦楽のための演奏会用小品」。
指揮は,ラデク・バボラーク氏。そのバボラークさんがホルンを抱えて現れた。自身でホルンを吹きながら指揮。
● もちろん,初めて聴く曲だ。CDでも聴いたことはない。
しかし,これ説得力があった。バボラークさんのホルンは言うに及ばず,管弦楽も小規模ながらただ者じゃない。
みっしりと質量の詰まった10分足らずの演奏だった。
● ブラームスの1番。演奏する学生たちから未完の大器という印象は受けない。完成してるんじゃないのと思った。これ以上,どこをどう直せばいいんだ?
実際には,もちろん,これからどんどん変わっていくんだろう。そうではあるんだけど,すでに完成の域にある手練れの演奏という印象。
お客さんに聴いていただくといった媚びも感じられない。この良さがわからなければ客がバカなんだという不貞不貞しさのようなものも伝わってきた。
もちろん,個々の奏者がそんなことを思っているはずもないんだけど,全体的な印象はそういうもの。
● 20歳や22歳であっても,小さい頃から楽器をいじってきて,それに費やしてきた時間と労力に自分でも手応えを感じているんでしょうね。そこに静かな矜持を持っているのだろうと思われた。
話してみれば,たぶん,普通の大学生に違いないんだけど。
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