● 開演は午後6時半。チケットは4,500円。座席は指定される。メインホールで料金は一律。
行こうか見送ろうか,当日まで決めかねていた。
● が,どうやら行けそうだ。となれば,行けるときに行っておけ。というわけで,総合文化センターに自分を運んでいくことにした。
客席は,平日の夜であることを考えれば,まぁこんなものかと思われる入り。2階席や1階の両翼席はガラガラだった。一律料金であればいい席から埋まっていく。
でも,“いい席”もけっこう残っていて,当日券でもぜんぜんOKだった。聴く側としてはありがたいんだけどねぇ。
● 6時半開演ということは,夕食を食べる暇はないわけで,したがって,腹がくちて眠くなるってことはない。もし眠くなるなら,別の理由に寄るものだ。
● さて,この合奏団,率いるのはイリヤ・ヨーフ氏。ハープを入れて17名。うち,男性が9名。
今回の日本公演は5日を皮切りに25日まで。東京オペラシティを中心に19回の公演。今日は3回目。
● サンクトペテルブルグ室内合奏団とはいっても,当然ながら,スラブ人だけで構成されているわけではない。もっとも,スラブ人っていうのが雲を掴むようなもので,よくわからないんだけどね(それをいうなら日本人だって同じじゃないか,と言われるのかも)。
毎年,だいたい同じプログラムで,この時期に来日公演しているようだ。宇都宮に来るのは今回が初めてなのか。
● まず,ヘンデル「合奏協奏曲(作品6-5)」の第1楽章。バッハ「G線上のアリア」。巧いのはわかる。ただ,客席との距離が思うように縮まらない。
客席もステージの腕前を計ろうとしている感じでしたかね。
● これを一気に打開したのが,次のヘンデル「オンブラ・マイ・フ」。ソプラノのナタリア・マカロワ,登場。彼女の声と美貌が客席をググッと引き寄せた。
これで客席とステージの間に一体感が生まれた。
● ハッペルベルのカノン。合奏団も楽しそうで,ぼくもこの曲を聴いて,楽しいと感じられるようになりたいなと思いましたね。
つまり,今は楽しいと思えないわけで,たぶん頭で聴いちゃってるんでしょうね。頭で聴いていいんだけども,頭の中にとどまっているというかね。
● バッハ(グノー編曲)のアヴェ・マリアで,再び,ナタリア嬢が登場。客席はどうにでもして状態だったのではないか。ステージの彼女は気分が良かったはずだ。
歌い終えて袖に引っこむときに,彼女の背中が見えるわけだ。肩が張っている。なで肩が多い日本人女性とは骨格が違う。こういう骨格の持ち主と競わなければならない声楽家は大変だな。
と思いがちなんだけど,たぶん,そんなのは関係ないんだろうな。
● 日本人には向かないスポーツと言われてきたテニスでの錦織の活躍を見ると,日本人には向かないとか,文化的に合わないとか,そんなのは,その時点での状況を説明するための方便でしかなかったのだなとわかる。
確たる理由があるわけではなく,印象を語っていたに過ぎないのだろう。運動中は水を飲むなとか,身体を鍛えるにはウサギ跳びがいいといったことと同類で,同じことが,音楽でも言われていたりはしないんだろうか。
声楽家は太っていたほうがいい,とか。こういうのは事実によって否定されたと考えていいのか。
● マスネ「タイスの瞑想曲」のあと,レスピーギの「シチリアーナ」。ローマ3部作以外に,こういうしっとりと歌うような曲もレスピーギは作曲しているんですよね。CDも持っているのに,聴かないできちゃったなぁ。
● カッチーニのアヴェ・マリアで,ナタリア嬢,三度目の登場。
終わって袖に消えていく彼女を目で追いながら,こういう女性と対等に渡り合える日本人の男性が,これからはどんどん出てくるんだろうなと思った。
スポーツとかバレエとか音楽とか,そうした分野で渡り合えるっていうにとどまらず,世界を舞台に生活したり恋愛したりできるっていう意味。
● 今までの日本男児って,内弁慶で,大和撫子しか恋愛対象にできずに,しかも内部では威張るしか能がない的なイメージがあったじゃないですか。だけど,これからは日本を超えて世界に通用するライフスタイルを備えた日本男児が出てくるじゃないかと思ってるんですよ。
女性は昔からそういうコスモポリタンを輩出してきたじゃないですか。これからは,男性からもどんどん出そうな気がする。根拠は何もないんですけどね。
にしても,ナタリア嬢は色々とこちらの想像を刺激してくれる,魅力に満ちた女性でありますよ。
● ヴィヴァルディの「四季」より“冬”。この合奏団流の演奏なのだろうか。それともこれがオーソドックスな演奏なのか。CD(イ・ムジチ)で聴いている音とはけっこう違うところがあったように思ったけれど。
● 以上で前半が終了し,15分間の休憩。
後半の最初は,バッハ「シンフォニア」。ソプラノは選手交代し,後半はマリーナ・トレグボヴィッチさん。風味絶佳。
● モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(第1楽章のみ),チャイコフスキー「エレジー」(弦楽セレナーデ 第3楽章)と進み,グノー「私は夢に生きたい」でマリちゃん再び登場。
「エレジー」は,今回の数多くのプログラムの中で,ぼく的には最も聴いて良かったと思えたもの。
● サン=サーンスの「白鳥」。はい,チェロが素晴らしかった。若い頃のさだまさしが,この曲をパクっていたというか,自分の曲の中に取りいれていたなぁ。
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より“間奏曲”。そのあとに,3曲目のアヴェ・マリア。最後はシューベルト。
続いて,モーツァルト「ハレルヤ」。マリちゃんの熱唱が続いた。
● 後半は,駆け足で通り過ぎてしまってけれど,聴きごたえがあったのは,後半にむしろ多かったように思う。
ぼくら観客が合奏団に慣れてきたからだろうね。ここが大きいと思う。で,慣れてきた頃は,もう終盤に入っているというのがお約束ごと。
● アンコールは,ナタリア嬢とマリちゃんの二人で,モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。
そのあと,「きよしこの夜」を二人が途中まで日本語で歌った。途中で何語なのかわからなくなった。それくらいでちょうどいいのである。
投げキッスを振りまきながら二人が去って,最後は,合奏団だけでチャイコフスキー「12月クリスマス週」。
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