2019年2月4日月曜日

2019.02.02 東京セラフィックオーケストラ‏ 第14回定期演奏会

なかのZERO 大ホール

● この楽団の演奏を聴くのは今回が初めてだ。なぜ聴く気になったのかというと,非常に下世話な理由だ。
 今夜,東京のホテルに泊まることにした。せっかく東京に出るんだから,行きがけの駄賃がないかと“オケ専”を探した。ら,さすがは東京で,いくつか引っかかった。その中からこれを選んだのは,曲目の魅力。
 いや,じつをいうと,先月聴いたJR東日本交響楽団の演奏会で,今回のチラシが配られたので,一応,目星は付けていたわけなんでした。

● なかのZEROは今日が初めてではない。何度か来ている。久しぶりに中野に行くのもいいなと思ったせいもある。
 中野って新宿の隣なのに,新宿とはガラッと様相を変える。下町的な雑踏がある。そういうの,嫌いじゃないので。中野駅からなかのZEROまでの短い距離を歩くだけで,その下町情緒(?)をタップリと味わうことができる。

● 開演は午後2時。チケットは1,000円。当日券を買って入場。
 曲目は次のとおり。指揮は横島勝人さん。
 ベートーヴェン 献堂式序曲
 サン=サーンス チェロ協奏曲第1番
 ブラームス 交響曲第3番

● ベートーヴェンの序曲の中で,「コリオラン」や「レオノーレ」は聴く機会が多いけれども,「献堂式」を聴くのは,ひょっとしたら今回が初めてかもしれない。
 ぼくに語れることはあまりない。CDは複数持っているので,せいぜい聴いていかないとということ。

● 協奏曲というと,ぼくの頭にあるのはモーツァルトであって,特に最晩年のクラリネット協奏曲だ。この世のものとは思えない,清冽で気高さを感じさせる管弦の音の連なり。
 モーツァルトの協奏曲は管弦楽が主役で,独奏楽器を抜いてしまっても,基調はそのままでかなりの部分が残るような印象がある。ぼくは長らく,協奏曲とはそういうものだと思っていたのだ。

● ところが,サン=サーンスのチェロ協奏曲においては,管弦楽は後ろに退く感がある。独奏チェロが骨格を描いていく。
 その独奏チェロ,今回は飯尾久香さん。軽快な印象を受けた。重厚さはこれを排す,的な。したがって,曲全体の印象も同じようなものになる。

● ブラームスの4つの交響曲の中で,3番は比較的演奏される機会が少ない。といっても,そこはブラームスだから,それなりに馴染みはあるわけだが。
 ブラームスと古典的なソナタ形式は相性がいいのか,それとも反発するのか。そんなことを考えながら聴いていた。ベートーヴェンの後継者であり,ロマン派の中で古典派の枠組みを維持しようとした人というイメージがあったんだけど(ワーグナーとの対立が強調されたりするし),どうなんだろうね。

● 東京には限りなくプロに近い演奏をするアマオケがいくつかあると思うんだけど,演奏者の層の厚さは,地方とは隔絶している。一極集中の良し悪しを言ってみても仕方がないが(っていうか,ぼくは一極集中を望ましいものと考えているのだが),あきれるほどの東京一極集中。
 この楽団は“限りなくプロに近い演奏をするアマオケ”ではないと思うけれども,それにしても,ここまでの厚みでブラ3を造形できるんだから,何だか凄いよね,東京って。

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