2019年2月5日火曜日

2019.02.03 栃木県交響楽団 第106回定期演奏会

宇都宮市文化会館 大ホール

● 開演は午後2時。チケットは1,200円(前売券)。
 お客さんはよく入っている。客席が埋まるのはけっこうなことだが,行列に並ばなくてはならないのは億劫だ。
 以前からそうだったから行列に並ぶのには慣れている。慣れてはいるんだけれども,並ぶことの億劫さが年齢とともに増してきた。

● 曲目は次のとおり。指揮は地元出身の小森康弘さん。
 エロール 歌劇「ザンパ」序曲
 サン=サーンス ピアノ協奏曲第2番 ト短調
 ドビュッシー 交響詩「海」
 ラヴェル ボレロ

● 今回のおめあては「ボレロ」。この曲を生で聴くのは二度目。2016年の7月に,スペイン国立管弦楽団の演奏を栃木県総合文化センターで聴いた。
 延々と繰り返される旋律が次第に大きくなって,それが聴衆を呑みこむ。ホール全体をも呑みこんで,世界のすべてになっていく。それがもたらす陶酔感が半端ない。その陶酔感をまた味わいたいと思ったのだった。

● 小太鼓がリズムを刻み,管が絡んでメロディを奏でる。が、待ちのある弦の奏者も神経を消耗するのではないか。出方がわずかでも狂えば,この曲は台なしになる。最も消耗するのは指揮者かもしれぬ。奏者にとっては厳しい曲かと思う。
 が,それゆえにこそ,聴衆にとってはめっぽう面白い。奏者と聴衆の利害は,表層的には対立するのだ。

● が,今回の収穫の第一は,サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番だったか。天才の非常なる早書きでできあがった曲らしい。3楽章に分かれてはいるものの,ピアノも管弦楽も一気呵成に駆け抜ける。駆け抜けた後に残る余韻。
 第1にはソリスト(渚智佳さん)の力量と構えによる。しかし,特に第3楽章における栃響の応接はほぼ完璧だったのではないか。つまり,第2には栃響管弦楽の水準の高さによる。

● ぼくらは(いや,ぼくは,と言い直そうか),地元にあるそれやこれやを見くびりがちだ。地元にあるということは,すなわち,大したものではないという。
 栃響にもその法則(?)をあてはめてしまいがちだ。とんでもない話であって,このオーケストラのレベルの高さは,もっと称揚されて然るべきだろう。

● チェロ協奏曲は昨日も聴いたし,これまで何度か聴く機会があった。が,ピアノ協奏曲となると,2番に限らず,生で聴いた記憶はない。この先もおそらくないんじゃないかと思う。
 が,この演奏を聴いたあとでは,それでもいいかなと思える。CDはあるんだから,CDを聴けばいいのだ。

● エロールという作曲家がいたことは,今日知った。Wikipediaによれば,代表作の「ザンパ」は「フランスとドイツで非常に人気があり,両国では今なお随時舞台化される」ものであるらしい。
 ぼくは名前も知らなかったくらいだから,CDも持っていない。YouTubeで聴くことはもちろんできる。それでよしとするか。

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