宇都宮市文化会館 大ホール
● 今日は栃木県内でも複数の演奏会があり,どれにするか少しだけ迷った。一番近いところというわけで,こちらに。
開演は午後2時。チケットは3,000円。当日券を買って入場。
● 曲目はといえば,当然,モーツァルトの「レクイエム」なのだけども,その前にレスピーギ「リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲」。
指揮は佐藤和男さんで,管弦楽はMCFオーケストラとちぎ。
● この時期に宇都宮で,しかも大ホールで催行しても,どのくらいのお客さんが来るものだろうと,自分のことは棚にあげて思ってみたんだけども,客席の8割以上は埋まっていたかに見えた。
10連休で海外や国内に旅行する人が前年比で大幅増なんていう新聞記事を見ると,誰もかれも出かけるものだと錯覚しがちになる。対前年比で大幅増といったって,地元でいつもと同じように過ごす人が数からいえば多数派であることを失念しがちになる。
● 弦のみで「リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲」。しみじみする。
ヴィオラが目立つ感じで,こういうのは珍しい(たぶん,ぼくが知らないだけで,けっこうあるのだとは思うが)。しかも,チェロに近い低音を奏するところがあって,ヴィオラってこういう音も出るのかという発見もあった。初歩的であいすまぬ。
● レガートが命のような曲。とすれば,CDはカラヤンかと思うのだが,今はカラヤンは冷遇されている時代だからね。
ぼくはカラヤンで聴けるものは原則,カラヤンで聴くことにしているんだけど,あまり人に言えることではない。
● ともあれ,この曲をこの演奏で聴けたのは収穫。予期しなかった収穫があると,得した気分になって嬉しいものだ。これで帰ってもいいかなと思ったくらいだ。
が,もちろんそういうことはせず,15分間の休憩後,モーツァルト「レクイエム」を聴くために,再び着座。
● 「レクイエム」を巡る諸々のエピソードについては,ぼくも一応は知っている。ジュースマイヤーが補筆したといっても,これを“補”筆と言っていいのかとも思っている。
細かいことを言いだすと,今となってはわからないことが多い。ともかく,モーツァルトはこの曲を完成させることができなかった。それだけ知ってればあとはどうでも,ということにしておきたい。
● 長くてしかも声楽が入っている曲って,CDを聴いてみようという気にもなかなかならない。あるいはぼくだけのことかもしれないけれど,バッハの「マタイ受難曲」にしても,ヘンデルの「メサイア」にしても,CDで聴くのはわりと気が重い。オペラに至っては尚更だ。
そこを埋めてくれるのがDVD。最近はネットでしょうかねぇ。YouTubeにどんどん登場するんだろう。たぶん,音質も良くなるんでしょう。ハイレゾ対応とか,WALKMANやXperiaのように,普通の圧縮音源でもハイレゾ相当に復元して再生するのがあたりまえになるのだろう。
早くそうなって欲しいと思うんだけど,そうなってしまうと自分のいるところがそのままコンサートホールって感じになりますかねぇ。わざわざホールまで聴きに行くのが億劫になったりしないかなぁ。
● ところで。モーツァルトの「レクイエム」を(生で)聴くのは初めてではない。が,「レクイエム」ってこうだったのかと初めてわかった(気がした)。
演奏がクリアだったからだ。合唱のレベル,高い。男声がシャキッとしてると全体が締まる。合唱はもちろん,主催者の宇都宮第九合唱団。
ソリストも文句なし。小高史子さん(ソプラノ),井坂惠さん(メゾソプラノ),伊藤達人さん(テノール),薮内俊弥さん(バリトン)という布陣。よくここまで揃えたものだ。
● 伊藤さんのテノールに聴き入ってしまったのだが,プログラム冊子によると6月に「ヘンゼルとグレーテル」に出演予定とある。
これってあれか,コンセールマロニエ21で優勝した山下裕賀さんがヘンゼルを務めるやつか。行けないとは思うんだけど,気になってはいる。
● これだけの人数で,しかもレベルの高いオーケストラと共演することを標榜するとなると,運営者は胃が痛くなるような思いをすることもあるだろう。
放りださないで継続しているというそれだけで頭が下がる。
● 合唱団に属して活動を継続している個々の団員にも敬意を払うにやぶさかではないが,唯一,いただけないことがあった。終演後にロビーで来客者と盛りあがり,しかも横に広がってそれをしていたために,出入口を塞いでしまっていた。
いい大人なんだから,背中にも目を持っていなければいけないよ。起きているときは四六時中だ。それができなくなったら,自らの死期を悟るがよい。ぼくなんか,もう何回も悟っているがね。
● まぁ,しかし。地元でここまでの「レクイエム」を聴けるとは思っていなかった。
いや,本当に,敬意を払うにやぶさかではない。ありがたいことだと思っておりますよ。
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