栃木県総合文化センター サブホール
● 開演は午後3時。チケットは3,000円。
● ピアノをやめても,モデルでいくらでも喰っていけるだろうと思える容姿と肢体で,軽やかに登場。靴は履いていないようだった。それでもこんなに足が長いんだからな。演奏が終わると,何事もなかったかのようにスタスタと去っていく。
こうまで美形だと,演奏ではなく奏者に気をとられてしまう。ここまで阿呆な聴衆はぼくくらいのものか。いや,決してそんなことはないと思うぞ。
● プログラムは,ベートーヴェンとバッハとリスト。
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調「テンペスト」
バッハ 幻想曲とフーガ イ短調
バッハ(ブゾーニ編曲) シャコンヌ
リスト 「愛の夢」第2番,第3番
リスト パガニーニ大練習曲
● この水準の演奏になると,正直,ぼくにはわからない。わかるとはどういうことかということすら,わからないんだけど。
出し惜しみしていない。隠しだてはなし。アンタらには見せないワタシが別にいるもんね,といった感じはまったくなく,すべてを晒して勝負してるっていうか。芸人魂という言葉が浮かんできた。女を張ってる。
それが造りだす迫力は圧倒的だ。ひとつやふたつのミスタッチがどうした。四の五の言わせない全部投入のパフォーマンス。
● 楽しみにしていたのは,バッハの「シャコンヌ」。ピアノ版はCDを含めて聴いたことがない。怠慢でしょって言われそうだけど,彼女の演奏で「シャコンヌ」ピアノ版を初めて聴けたのは,相当にラッキーなことだと思う。
「シャコンヌ」はいろんな人が,オーケストラや弦楽合奏やピアノなどに編曲しているけれども,それをしたくなるのは大いにわかる。何というのか,根源を揺さぶるっていうか,この曲さえあればほかに何が必要なの,っていうような。内包がとんでもなく大きいというか。
これだけの曲を具体的に表現するのも,楽じゃないと思う。人生を長く経験し,酸いも甘いも噛みわけた人が演奏すればいいっていうほど単純な話でもないし。
● 2日前に日本に着いたそうだ。それでこの演奏。明日は仙台。どんだけタフなんだか。このあたりですでに脱帽。
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