ミューザ川崎 シンフォニーホール
● 1年前を思いだす。予定されていた演奏会が次々に中止になる中で,ユーゲント・フィルハーモニカーだけは持ちこたえていた。スワッ,やるのか。
結局,中止にはなったんだけどね。何だか希望の星的な存在だった。
初期感染拡大期のエピソードとも言えないエピソード。
会場は文京シビックからすみだトリフォニー,杉並公会堂と経巡って,今回はミューザ川崎。ユーゲント・フィルといえばすみだトリフォニーと思ってしまっていたんだけども,そうでもないようなんでした。
● 開演は13時30分。チケットは1,000円。お約束の事前申込の電子チケット制。コロナを機にリモートワークが一挙に広がったように,電子チケットもコロナによって拡散した。
コロナが収束してもリモートワークは残るだろう。同じように,電子チケットも残ってくれるといい。コロナが消えたからといって,現金引換の紙チケットに戻る必要はない。
● 曲目は次のとおり。指揮は三河正典さん。
シューベルト 劇音楽「ロザムンデ」序曲
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
● 何度も聴いているのだから,腕のほどはわかっている。メンバーの入替えはあるに決まっているが,楽団の風合いはほぼそのまま残る。
実際には微妙に変わっているに違いないのだけれども,それに気づける人はおそらくいないだろう。10年,15年というまとまった時間が過ぎて初めて,そういえば昔はこうじゃなかったな,と気がつく性質のものだ。
● ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番では結城奈央さんのピアノを近い場所で聴けて幸せだった。彼女のピアノはじつは一度だけ聴いたことがある。2014年のコンセール・マロニエ21の本選(声楽部門)でピアノ伴奏を担当していた。
そのときの様子を綴った自分のブログを読み返してみた。彼女のピアノについては何も書いていない。何か書いとけよ,俺。
脱線するけれど,こうしてブログの形で記録を残しておくことの利点のひとつはここにある。自分のブログを対象に,Googleの検索エンジンで全文検索ができる。「結城奈央」で検索をかけると,その結果をサッと示してくれる。
● 「皇帝」で最も印象に残ったのは,終曲間際のティンパニの幽き響き。これこそが「皇帝」なのだ。
ユーゲント・フィルの演奏を聴くと,よく似たテイストの楽団名が2つ3つ浮かんでくる。多くのアマチュア・オーケストラが目指している共通の境地があって,そこに近づけている楽団がユーゲント・フィルをはじめとしていくつかあるということか。たぶん,見当外れのことを言っているね。
● 細密なアンサンブルを最後まで崩さず,アンコールを含めると3時間近いボリューミーな演奏会になった。
アンコールはワーグナーの「パルジファル」第3幕より “聖金曜日の音楽”。
● 結城さんのアンコールはフリードリッヒ・グルダ「アリア」。グルダはピアニストとして破格の人だが,彼が作曲した楽曲の中ではこの曲が最も知られているらしい。
って,ぼくは知らなかった。CDも「チェロと吹奏楽のための協奏曲」はあるのだけど,「アリア」は持っていない。何とかしよう。
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