約2時間のコンサートが終了した直後の満足感は,他のものでは代替できません。この世に音楽というものが存在すること。演奏の才に恵まれた人たちが,時間と費用を惜しまずに技を磨いていること。その鍛錬の成果をぼくたちの前で惜しみなく披露してくれること。そうしたことが重なって,ぼくの2時間が存在します。ありがたい世の中に生きていると痛感します。 主には,ぼくの地元である栃木県で開催される,クラシック音楽コンサートの記録になります。
2012年11月4日日曜日
2012.11.02 青森山田中学・高等学校ミュージカル「楢山節考」
栃木県総合文化センター サブホール
● 青森山田中学高等学校演劇部の宇都宮公演。今月23日に「リンクステーションホール青森」で行われる公演の,今回は総合リハーサルも兼ねてのものか。
開演は午後4時。入場無料。
● 受付で名前と連絡先を書く。結婚披露宴に来たようだ。プログラムも何も渡されなかったので,そういうものかと思って(無料だしな)会場に入って空席を探した。が,空きがない。すべての席に荷物が置かれている。どうしたものかとウロウロした。
が,その荷物がみな同じもの。どうやらプログラムもその中に入れて,あらかじめ客席に置いておいたようだ。
● 招待者席もあったのだが,サブホールがほぼ埋まっていた。平日の午後4時からの公演でこれだけ入ればたいしたものだ。
今回の公演にはNPO法人日本ケアフィットサービス協会ってのが噛んでいたようで,公演前にそこが主催したシンポジウムがあった。それに参加した人たちがこちらにも来ていたろう。
● プログラムには「青森山田版ミュージカル」とある。吹奏楽が舞台下にスタンバっていたし,ダンスシーンや歌うシーンも多かったから,ミュージカルと言われればそうかなと思うんだけど,印象としては純粋演劇に近いもの。
という印象になったのは,主役のおりん婆さんの存在感が圧倒的だったからだ。発声も動作もじつにリアル。役と演技者の間に隙間がない。役に没入する集中力もハンパない。これだけは生徒じゃなく,セミプロを持ってきたのだなと思っていた。
のだが,彼女も生徒なのだった。嘘だろっと思いましたね。今でも,あのおりん婆さんを高校生が演じていたってことが,なかなか腑に落ちてこない。
● 多くの生徒たちにとっては,やりたいのは演技よりダンスなのかなぁ。ざっくり言うとモダンダンスってことになるんだと思うんだけど,動きに切れがあって,きちんと鑑賞に耐えるダンスになっていた。身体能力の高い子が多い。
● 発声も鍛えられている感じ。冒頭の舞台口上も,山入り前夜に辰平に作法を指南するところも,聴きごたえがあった。お見事。
● それと簡潔極まる舞台デザインも好印象。ひとつの台が家にもなりお山にもなる。日本の演劇はこうじゃないとね,とぼくなどは思ってしまう。
あと,プログラムの表紙の絵。舞台を観たあとにこの絵をながめていると,しみじみしてくる。ずっとながめていられる。
● 終演後に,生徒たちが整列して観客を見送るのだが,そのときに生徒たちが発散しているエネルギーに圧倒された。ぼくにはそのエネルギーを受けとめることができなくて,そそくさと通過してしまった。申しわけないことだ。
泣いている子もいた。ここまで投入した時間と労力。それをこの2時間で出しきった。いかばかりの達成感であることか(ただし,ここは泣いていい局面ではないと思うぞ。まだ本番が残っているじゃないか)。
あとは23日の地元での公演。成功を疑わないね。
● ちなみに,おりん婆さんを演じていたのが生徒だったことに気づいたのは,ここに彼女も並んでいたからだ。そのときの驚きときたら。
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