2012年11月19日月曜日

2012.11.16 栃響チェンバーオーケストラ演奏会

宇都宮市文化会館小ホール

● チェンバーオーケストラとは室内管弦楽団のことですね。小編成のオーケストラ。栃木県交響楽団がチェンバーオーケストラを編成して演奏会を催すのって,今回が初めてなのか今までにもあったのか。この情報は栃響のホームページにも出てこない。これからも継続的に演奏会をやっていくのかどうかもわからない。
 ただね,栃響って年2回の定演のほかに,9月の特別演奏会(前年度のコンセール・マロニエの第1位入賞者をソリストに迎えて開催)と年末の「第九」が定番になっている。今年は「椿姫」もあった。
 アマチュアオーケストラとしては限界に近い(ひょっとすると限界を超えている)演奏回数になっているからね,今回の演奏会は単発と考えておくべきでしょうね。

● っていうか,単発ですね。この行事は,宇都宮市文化会館を運営する「うつのみや文化創造財団」の自主事業のひとつである「ムジカストリートシリーズ」の4回目の催事になる。
 「ムジカストリートシリーズ」とは何かといえば,同財団の事業計画書では「学校及び市内に活動拠点を置く文化団体等と連携し,芸術文化の担い手を育成する事業」のひとつとして位置づけられているのだが,つまるところ,よくわからない。
 ただ,「ムジカストリートシリーズ」として栃響チェンバーオーケストラが演奏するのは今回が初めてだ。中身は毎回変わっているらしい。

● 同財団の理事長を務める臼井佳子さんが「総合司会」。観客代表として指揮者の荻町修さんに質問を投げかけるという形で進行したのだけれども,その臼井さんによれば,この催しはクラシック音楽ファンの裾野を広げるためのものとのことだった。

● ま,そういうことはどうであれ,ぼくとしては地元で生の演奏を聴ける機会が増えることは,単純にありがたい。
 開演は19時。チケットは1,000円。当日券もあるに違いないけど,事前に購入しておいた。
 曲目は次のとおり。
 モーツァルト ディヴェルティメント K-136
 モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 ハ長調
 ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」

● モーツァルトの2曲は室内管弦楽でいいとして,ベートーヴェンの5番を小編成で演奏するとどんな感じになるのか。それを確かめてみたかった。
 が,これは問題になりませんでした。5番の演奏はチェンバーという枠には収まらない程度の編成になったのでね。普通に交響曲を演奏できるだけの陣容だった。

● 荻町さんによれば,N響が観客の拍手を問題にしているらしい。要するに,拍手が早すぎるということ。曲によっては終曲後もしばらく静かにしていたいときがある。けれども,終わるか終わらないかのうちに拍手が起こる。あるいはブラボーの声が飛ぶ。
 大きな拍手は嬉しいけれども,早い拍手は嬉しくない,指揮者が客席の方を向いてから拍手をしても遅くはない,と。
 同感ですね。これは客席にいてもしばしば感じることで,何とかならないのかと思うことがある。

● フルートとハープのための協奏曲のソリストは,梶彩乃さん(ハープ)と川村尚巳さん(フルート)。梶さんは芸大院の学生で,川村さんは栃響のメンバー。
 プログラムにはそう紹介されているんだけれど,栃響にこんなに上手で美人のフルート吹きがいたっけ。ぜんぜん気づかなかったぞ。
 っていうか,この後,ベートーヴェンの5番では,川村さん,着替えて奏者の列に加わったんだけども,それが彼女だと納得するのにしばらく時間を要した。なぜなら髪型が変わってたから。

● 前の方に車いすの女の子がいた。4,5歳だろうか。彼女は別の障害も持っているようで,ときどき,アーッという声を発する。母親とおぼしき女性ともうひとりが付き添っていた。その様子がとてもほほ笑ましくて,演奏の途中で彼女が声をだしてもOKだなと思った。
 けれども,「運命」になると彼女の様相が変わってきた。彼女には音圧が強すぎるのだろう。音量と音質に耐えられないのだろうと思われた。何度も声を出そうとして,その都度,ハンカチで口を押さえられる。
 障害者だろうと健常者だろうと,4,5歳の子どもに「運命」の生演奏を聴かせるのは過酷だ。まさか音楽療法になると思っていたわけではないと思うのだが,もしそうだとすれば,無知はときに犯罪である。
 っていうほど深刻な状況ではなかったと思うんだけど,彼女の様子は拷問に耐えているがごとくに思われた。「運命」の演奏が早く終わってくれればいいと,ぼくは思った。

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