2019年8月14日水曜日

2019.08.10 ボヘミアン・フィルハーモニック 第3回定期演奏会

北とぴあ さくらホール

● 先月13日に続いて「北とぴあ」に来た。この楽団の演奏を聴くというそのために来たわけだけれども,当然,帝都東京においてはここ以外にも各地で演奏会が催されているだろう。
 その中からこれを選んだのは,王子にまた行けるなと思ったこともある。王子神社と飛鳥山公園,かなり気に入っている。猛暑ではあるけれども,コンサートの前に王子神社に参って,飛鳥山公園の渋沢庭園を歩いてみたい。
 ので,そうしてから汗だくの状態で会場に入った。さすがにちょっと申しわけないなと思った。

● 開演は午後2時。ありがたいことに入場無料だ。
 これは事後の感想になるんだけども(事前の感想なんてあるわけもないがね),これだけの演奏を無料にしてはいかんと思う。聴衆が減る,徴収コストで相殺される,ということかもしれないけれど,無料はダメだ。
 第1に来てはいけない人を呼んでしまう。来てはいけない人の多くは,暇をもてあましているらしい年寄りだ。特にジジイだ。ずっと寝ているのがいる。一番暑い時間帯だ。避暑をかねた休憩の仕方としてはなかなかいい方法だとは思うんだけどね。
 第2に,千円でも2千円でも払っていると,こちら側に参加者意識が生じる。アマオケだと最後に指揮者とコンマスに花束を贈るなんて儀式をするところが多い。そのときに,あの花束の花1本は俺が払った入場料だなと思うことができる。

● 無料だと疎外感を覚えるということではないんだけども,何かおかしい。
 インターネットのおかげで音源はタダで手に入るようになった。ぼくに関していうと,CDショップに行くことはほぼない。田舎のショップでは品揃えもアカンタレブーだからだけども,タダで手に入るものをわざわざ買うことはないからだ。
 結局,音楽の何に対してお金を払うかといえば,ライヴのチケットしかない。そこから先は財布と相談して行くべき演奏会を決めることになるんだけども,そのライヴまで無料ということになると,自分は一切対価を払わないで果実だけ得ているコツジキではないかと思えてくる。

● 同様の理由で,これまた多くのアマオケでやっている“招待状”の対象者になるのも潔しとしない。あれもやめるべきだと思うが,決定権は催行する側にある。その決定には従うけれど,自分がその対象になるのはイヤだ。
 ので,アンケートに名前を書くことはしなくなった。そのうち,アンケートじたいを書かなくなった。

● 曲目は次のとおり。指揮は松本宗利音さん(シューリヒトと読むらしい)。
 バラキレフ 交響詩「ボヘミアにて」
 ドヴォルザーク チェコ組曲
 ドヴォルザーク 交響曲第6番
 なかなか生では聴けない(聴く機会が少ない)曲が並んだ。これが,数ある中からこの演奏会を選んだ理由の1番目だ(2番目の理由は冒頭で述べた)。

北とぴあ
● さて,バラキレフの「ボヘミアにて」。CDは持っているし,何度かは聴いてもいるはずだが(いないかもしれない。このあたり,かなり記憶がいい加減),これを聴いてボヘミアの風景が浮かぶかというと,そういうわけには参らない。音楽という抽象的なものから具体的な風景を脳内で作りだすという作業,ぼくは苦手とする。できる人はすごいとも思う。悠揚迫らぬゆったりとした流れ,昔からこの地方にあったのであろう素朴な踊りのリズムなど,入ってくる情報は多いと思うんだけどね。

● チェロ協奏曲と勘違いした。そうではなくて,チェコ組曲ね。
 ぼく程度だと,聴きどころだと思うのは,最後の“フィナーレ”。やっとドヴォルザークが登場したと思うんだよね。スラヴ舞曲とか8番の第3楽章がドヴォルザークだと思ってるのかなぁ。
 だったら,“フィナーレ”まで待たずとも,“ポルカ”や“メヌエット”で感得できないかねぇ。・・・・・・細かい突っ込みは受け付けないということで,はい,次。

● 交響曲第6番。この曲を生で聴くのはこれが2度目。2016年4月に関東学院中学校高等学校オーケストラ部の演奏で聴いている。立派な演奏だったと記憶している。
 正直,2度目があるとは思っていなかった。木管が分厚い。濁りのないクリアな演奏。松本さんの明晰な指揮が与って力があるか。松本さん,若手指揮者の注目株ですかねぇ。

● ところで,そもそもボヘミアン・フィルハーモニックとはどのような楽団であるのか。サイトによれば,「Bohemian Philharmonicはボヘミア出身の作曲家に魅せられたことをきっかけに,首都大学東京・慶應義塾大学・一橋大学・横浜市立大学・電気通信大学・横浜国立大学の学生とOBOGが集まって,2016年に結成されたばかりのオーケストラで」あり,「ドヴォルザークやスメタナなどのボヘミアの作曲家の楽曲を中心に演奏活動するアマチュアオーケストラ」だとある。
 過去2回の演奏会ではドヴォルザークを演奏してきた。交響曲の7番と8番と4番。あと,「自然の中で」「謝肉祭」「オセロ」。

● なるほど。ドヴォルザーク以外の楽曲を演奏したのは今回が初めてなのか。演奏会を重ねるうちに,演奏する曲がなくなってしまう? その心配はない。フィビフもヤナーチェクもいるんだし,フェルステル,オストルチル,ノヴァーク,スク,ネドバルなどなど,この地が生んだ作曲家はたくさんいる。
 とはいっても,巨星はスメタナとドヴォルザーク。管弦楽曲となると,やはり限られてきちゃうだろうか。でも,同じ曲を二度三度と演奏したっていいんだしね。

● この楽団,何というのか,男性優位。ヴィオラ奏者が全員男性という楽団を見るのは,今回が初めてだ。
 てもって,2度目はないと思う。貴重な光景を見たのかなぁと思っている。

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