● “異素材コラボレーション”というよくわからない名前の,ブラームスの弦楽奏。と言ってしまうと,失礼の趣を呈する。「アマチュアでの室内楽,特に「弦楽四重奏曲」の向上,普及を目指しているプロジェクトです」とある。
“異素材コラボレーション”という名前そのものには,あまりこだわらなくていいだろう。
● 今年の1月にも,同じ会場で“モーツァルト後期弦楽四重奏曲”を聴いているのだ。そのときにも思ったものだ。
オーケストラだけを聴いてたんじゃダメだよね。室内楽も聴かないとね。その中でも弦楽四重奏曲だよね。それを聴かないとクラシック音楽を聴いてるとは言えないよね。
● 大晦日に東京文化会館で,ベートーヴェンの9つの交響曲を全部演奏するという破天荒なコンサートが開催される。
8年連続で聴いている。ベートーヴェンにあやかって9回聴いて終わりにしようかと思っていた。のだが,まだチケットを買ってない。安い席は発売とほぼ同時に売り切れるから,C席はもう残ってないかな。
● じつは,これはもういいかなと思っているのだ。同じ大晦日に同じ東京文化会館の小ホールで,同じベートーヴェンの弦楽四重奏曲のコンサートも開かれる。全交響曲連続演奏会に比べると地味だけれど,今年はこっちに行ってみようかなぁと思っているわけなのだ。
さすがに16ある弦楽四重奏曲を一度に演奏するわけではないが,前期と後期の曲を半々で演奏するんじゃなかったかな。2回連続して聴けば,全部聴けるんじゃなかったか。
● ベートーヴェンだけではない。チャイコフスキーもスメタナもショスタコーヴィチも,弦楽四重奏曲を無視することは許されない。
ということだから,できるだけ機会を捉えて聴いていかないとね。
● で,今回はブラームス。開演は午後1時。入場無料。
演奏されたのは,弦楽四重奏曲の1~3番と,弦楽五重奏曲の1番と2番。つまり,かなりの質量になる(終演は午後4時半)。
これだけのものをずっと同じ集中力で聴ける人は,そうたくさんはいないと思う(東京文化会館の演奏会はかなり長い休憩を入れているのではないか)。この会場の中にいる聴衆をザッと見ると,たぶん1割いるかどうかじゃなかろうか。その1割には,遺憾ながら,ぼくは入っていない。
という聴き方になってしまった。まったく遺憾ながら。
豊洲シビックセンター |
だから,と繋いではいけないのだが,四重奏より五重奏の方がブラームス色が濃いと感じる。聴いてて面白いのは五重奏の方だった。
● 特に最後の五重奏曲第2番。ブラームスが残した弦楽器による室内楽曲の最後のもの。晩年期の作品なのだろうが,この曲は非常に若々しい。
華やかでもあって,時々,オーケストラを聴いているのかと錯覚しそうになる。ブラームスの晩年は悪いものではなかったのだろうか。
とつないでしまうのも凡人の浅はかさで,作品と作家の実人生はまったくの別物だ。いや,実際にブラームスの晩年は穏やかなものであったのかもしれないけれども。
● 客席は冷房が効いていて,すこぶる快適なんだけども,ステージは暑いらしい。汗をダラダラと流している人もいてね。
照明の温度が冷房を相殺してしまうんだろうか。演奏じたいが相当な運動量になってもいるんでしょうね。
見てる分には,それはそれでひとつの絵になるのだが,やってる方は大変だ。演奏家にデブが少ないのは,ひとつにはこういうことでしょうか。
● 入場時にドサッとチラシをもらうのだが,同じ室内楽のものが多い。こういう情報はあんがい貴重。ネットで探しだすのは意外に難しいのだ。ぼくのネットリテラシーが低いからかもしれないんだけど,オーケストラの演奏情報はひっかかってきても,室内楽は釣れない(?)ことが多い。
こうしたチラシの中のひとつに行ってみると,またそこでチラシをもらって・・・・・・とつながり,その環の中でしばらく聴いてると,だいたいどの時期にどの団体が演奏するのだなということが頭に入ってくる。
● 豊洲シビックセンターのホールで聴くのはこれが3回目になる(たった3回)。小ぶりでいいホールだ。かなりいいと思う。
オーケストラを載せるのは想定していないだろうから,少人数のリサイタルに使われることが多いのだろう。このホールの催事案内に注意してると,室内楽の演奏会を発見しやすくなりそうでもある。
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