2019年12月31日火曜日

2019.12.30 アーベント・フィルハーモニカー 第22回定期演奏会

国立オリンピック記念青少年総合センター 大ホール

● 今日もオリンピック記念青少年総合センター。アーベント・フィルハーモニカーの定演を聴くため。さすがにこの時期に演奏会を開く楽団はかなり少なくなるようで,オケ専でチェックすると,他にはないようだった。
 せっかく東京にいるんだから,聴けるものは聴いておきたいというスケベ根性もあって,再びこの場所にやってきたというわけだった。

● 開演は午後2時半。入場無料。曲目は次のとおり。大曲を2つ。
 ムソルグスキー(ラヴェル編) 組曲「展覧会の絵」
 ラフマニノフ 交響曲第2番

● 特筆すべきは,無人改札だったこと。入場ゲート(?)に誰もいない。テーブルに1枚紙のプログラムが置いてある。入場者はそれを勝手に取って,ホールに入る。
 その1枚紙も途中でなくなってしまって,たぶん過半の人は空身で着座したのではないか。ぼくもその口だけども,それで何か困ることがあるかといえば,特にない。
 ともかく,この割り切りには好感が持てる。

● この楽団のサイトの自己紹介(?)によると「アーベント・フィルハーモニカーは,プロフェッショナルな演奏家とアマチュア愛好家の協力による,新しいコンセプトのオーケストラとして2012年12月に第1回演奏会を開催。マーラーの交響曲をレパートリーの中心として、年3~4回の演奏会を行っており,短期間の集中リハーサルと低経費による運営によって注目を集め,新たな聴衆の拡大を目標としている」とあるのだが,なるほど無人改札も“低経費による運営”の一環であったか。

● 指揮は小柳英之さん。彼がこの楽団の創設者のようにもサイトでは読めるのだが,確かなことはわからない。これはわかる必要もない事柄に属するのだが,上の紹介文で“新しいコンセプトのオーケストラ”とあるところ,どこがどんな風に新しいのかがよくわからない。ここはもう少し具体的に説明して欲しいという気がする。
 演奏を聴いても,このオーケストラの“コンセプト”が那辺にあるのかよくわからなかったので。

● 「展覧会の絵」はおどろおどろしいというか。小さい子供が聴いたら怖くて泣きだすのではないかと思うような。カラヤンのCDで聴くのとはだいぶ印象が違う。
 どちらがいいかというテーゼは成立しない。どちらを好むかの問題になる。問題は,この楽団のこの演奏はこの1回しか聴く機会がないと思われることだ。

● ラフマニノフの2番も金管の存在感が強調されていた印象。金管の強調はロシアの代名詞的なところがあるのかもしれないのだが,ラフマニノフはその意味でのロシア臭が薄い作曲家だと思っていた。
 ところがどうして。そのことを教えてもらえたっていうかね。

● 明日は大晦日だ。そういう日に演奏会を設定する楽団もあれば,それを聴きに来るお客さんもこれだけいる。
 年末といい,正月といっても,要は365日の中の1日にすぎない。特別感は薄れているんでしょう。
 ぼく一個を取ってみても,年末だからといって何をするわけでもなく,こうして東京をふらふらしている。正月も同様だ。普段と違うことをするわけではない。要するに,休日だというだけ。
 大雑把にいうと,年末年始は旅行に行く日になった。旅行が年末年始の風俗を駆逐した。百貨店もスーパーもコンビニも飲食店もホテルも3が日は休むということになると,その不便さに強制されて何か新しいものが生まれてくるんじゃないかと思ったりもするのだが,そんなことが起こるはずはない。

● というようなことをぼんやり考えながら,代々木公園駅に向けてトボトボと歩みを進めたのでありました。その歩みの先には快適極まるホテルが待っている。そういうもので年末年始は埋め尽くされてしまう。
 ホテルが快適極まるのは年末年始に限らないわけだから,年末年始はやはり365日の中に埋もれてしまっているのだと思うほかはない。そういうことも考えさせてくれる演奏会だった。

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