ミューザ川崎 シンフォニーホール
● 音大オケフェスについて感じることのあれやこれやについては,昨日,述べた。ので,今回は,単純に演奏について。あと,若干はどうでもいことに駄弁を弄するかもしれない。
開演は午後3時。昨日の東京芸術劇場もそうだけれど,駅から近いのは助かる。それで最も困るのがサントリーホールだよね。地下鉄駅からだってけっこう歩くもんね。
と,さっそく駄弁を弄してしまったけれど,開演は午後3時。
● まず,東京音大。バルトーク「管弦楽のための協奏曲」。指揮は石﨑真弥奈さん。
女性の指揮者の活躍も,たとえば沖澤のどかさんとか,増えていると思うんだけど,スカートで指揮をしている女性指揮者ってまだ見たことがないよね。必ず,パンツ。
これって,何でなの? そういう規則があるわけではないだろうから,スカートではまずい理由が何かあるんでしょうかね。スカートでは追いつけない運動量があるとかそういうこと? まさか女性性が強調されすぎるからなんてことではないんだろうからね。
● プログラム冊子の「楽曲紹介」が役に立つ。最初の8行。なるほど,そう考えればいいのか,と思った。
ここまで割り切ってくれると小気味いいや。説得力もある。
● 武蔵野はじつにベートーヴェン「荘厳ミサ曲」。指揮は飯守泰次郎さん。昨年は「第九」だった。4日の演奏会が本番。今日はそのリハーサルというか,本番前の本番(?)。
東京音大の「管弦楽のための協奏曲」もそうだけれども,冥途の旅の一里塚が今日のプレ本番ということのようだ。
● 4日は水曜日だから行けるはずもなく,今日聴けるのはとてもラッキーだ。
当然,ソリスト,合唱団も自前。音大ならではの総合力の具現化。
● これはもう教会で神に捧げるために演奏するミサ曲ではないでしょ。世俗のミサ曲というか,ミサ曲を結界で守られる教会から巷に引きずり出したという感じですよね。
そこにベートーヴェンの面目を見るかどうかは,その人のベートーヴェン観の問題だけれども,ベートーヴェンが生きた時代というのは,そういう時代だったのかもしれない。よくわからんが。
● 洗足はチャイコフスキーの4番。指揮は秋山和慶さん。
絶品と申しあげておく。聴きながら何度も脈が速くなったり遅くなったりした(?)。
第2楽章冒頭のオーボエが完璧に近い。どこで息継ぎをしたのか。息継ぎなしであれをやりとげたのか。
ロシア音楽を形容するのに「金管の咆哮」という語句がわりと使われる。そのとおりなのだけれども,金管をあそこまで全開にすると音が割れるのが普通にあると思うのだが,そういうことが皆無。
第3楽章の弦のピチカートも見事なもので,色気を感じた。
● チャイコフスキーは5番と6番がいいと思うのだが,今日よりしばらくは,「チャイコフスキー? 4番が一番だよ。4番を聴かなきゃダメだよ。ムラヴィンスキーでもカラヤンでもいいからさ,とにかく聴かなきゃダメだよ」てなことを言いそうな気がする。
● クラシック音楽→芸術→勉強しないとわからないもの=高尚なもの,という図式があるとして,いやそうでもないよというのをわかりやすく示してくれるのがチャイコフスキーだと思う。エンタテインメント性が濃いというかね。
しかし,チャイコフスキーが見ていた何か深いものがあったはずで,その何かを抉りだすようにして,ほら,これでしょ,と差しだされたような,そういう感じの演奏ね。
● 差しだされて,なるほどこれか,とぼくが思えたのなら,“感じの”は省略していいのだが,聴き手がそこまでの水準には達していないので,“そういう感じの演奏”という表現になった。
しかし。こういう演奏が聴けるのだから,このイベント,来年もあって欲しい。
● 3月には例によって,各大学を横断するオールスターチームで,ストラヴィンスキー「春の祭典」を演奏する。
生とCDとの落差が大きい曲だ。ぜひ,聴いておきたいが,じつはチケットを買いそびれた。“ぴあ”で買っておくか。当日券もあると思うが。
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