国立オリンピック記念青少年総合センター 大ホール
● 東京海洋大学・共立薬科大学管弦楽団というが,共立薬科大学は今現在,この世に存在しない。2008年に慶応が吸収合併し,現在は慶応大学薬学部になっている。
にもかかわらず,東京海洋大学・共立薬科大学管弦楽団の名を維持しているのは,OB・OGに配慮したものか,歴史と伝統を重んじているのか。いや,それでいいと思うんですけどね。
● ともあれ,この演奏を聴くために国立オリンピック記念青少年総合センターにやってきた。1964年の東京オリンピックの選手村の跡地を利用した施設。国立青少年教育振興機構ってこの施設の管理者だったのね。
この楽団の演奏を聴くのも,このホールに来るのも,今回が初めて。開演は午後2時。チケット無料。曲目は次のとおり。
バラキレフ 3つのロシアの主題による序曲
ボロディン 中央アジアの草原にて
カリンニコフ 「皇帝ボリス」より“第5幕への間奏曲”
チャイコフスキー 交響曲第5番
● 指揮者の中島章博さんは,早稲田の理工学部から東大の院に進み,博士後期課程に進学した後に,オーストリアに渡って指揮の勉強をして帰国したという変わり種。
帰国後,院を修了したようなのだが,スパッと見切っちゃってるともっとカッコよかったのになぁと,他人事だから気楽な感想を抱いてしまった。
修めたのが建築音響学だそうだから,色々と創造を逞しくすることはできるけれども,勇気のある進路変更だったに違いあるまい。
● プログラム冊子の「顧問ご挨拶」には「年々,現役団員が減ってきております。小さな大学の宿命ですが,アンバランスな編成での練習には様々な障害が付き物です」とある。たしかに,OB・OGと賛助を除いてしまうと,楽団として成立しない。団員の確保は大きな課題のように思われる。
が,年の瀬の開催にもかかわらず,客席はほぼ満席になった。客席にもOB・OGが多いんだろうかね。だとすると,それぼどの求心力を持っているのは大したもの。ぼくも大学時代に部活はやっていたけれども,卒業後は一顧だにしたことがない。
84回を数えるのだから,然るべき長さを経てもいる。こういうところはしぶといものだよね。
● 特にカリンニコフ「皇帝ボリス」の間奏曲を聴いてみたかった。今月8日に調布フィルハーモニー管弦楽団の演奏で交響曲第1番を聴いて,カリンニコフに興味を惹かれたのが主な理由だ。
今日のこの曲に感じたのはある種の華やかさだ。カリンニコフ,CDを集めてみようと思う。
チャイコフスキーの5番は全軍躍動。そういう曲ではある。木管,特にクラリネットとフルート,が記憶に残った。
● プログラム冊子のこちらは「指揮者ご挨拶」によると,「数年前に比べだいぶ人数が減っており,さらに大学に入学してから担当する楽器を始めた,という学生が非常に多いオーケストラ」だそうだ。そう見える奏者もたしかにいなくはなかった。
けれども,それでもここまで持ってこれる。OB・OGと賛助の功績だとしても,それはそれ。
● 東京海洋大学とあっては,講義や実験を放擲して部室に入り浸りというわけにもいくまい。法学部や経済学部の学生とは違う。
使える時間は限られる。あまり多くを求められては辛かろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿