2019年12月10日火曜日

2019.12.08 調布フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会

調布市グリーンホール 大ホール

● 調布に来た。新宿で乗換。ため息が出るほど鬱陶しいね,新宿で乗換えるのはさ。渋谷での乗換もイヤだけど。
 ともあれ,初めての調布。新宿から準特急で4駅目,運賃はたったの250円。けど,だいぶ遠い。東京都下には違いないけども,東京とは別の文化圏でしょうなぁ。
 国立に住んでいる人は,都心に出ることを「東京に行く」と言うのだと,山口瞳さんのエッセイで読んだことがある。調布市民も同じだろうか。国立よりはだいぶ近いはずだが。

● 駅前広場が開放感を作っている。その広場を挟んでパルコが威容を誇る。チェーン店が軒を連ねる地方都市の趣。
 ぼくが知っている東京の街はそんなに多くはないけれども,それらの街とははっきり違う。ここは地方だという気がする。

● 京王で新宿まで行き,さらに電車を乗り換えて大手町や丸の内まで勤めに出てる人もいるんだろうかなぁ。考えただけで怖じ気をふるいたくなるな。ぼくには絶対できないね。
 ここに住んで働くなら地元がいい。それが無理なら西に向かうのがいいねぇ。電車が空いてるもんね。
 実際のところ,都心に出る必要に迫られることはあまりないはずだよね。だいたい地元で用が足りる。食べるのも飲むのも買うのも装うのも。

● 少子高齢化が進み人口減少が加速しても,東京の人口はさほど減らないと予測されている。その東京に調布が含まれるか。東京の西部,八王子や立川はもちろん,三鷹,吉祥寺から杉並,世田谷,練馬あたりまでは人口減少を免れまい。
 都庁が新宿に移転して,東京は西に向かって発展すると言われた時期もあったけれど,ウォーターフロントと羽田空港の国際線復活で,流れは変わった。
 東京は狭くなると思う。コンパクトシティの流れになるはずだ。都内の人口格差が進行することになる。

● 徒し事はさておき。調布に来たのは,調布フィルハーモニー管弦楽団の定演を聴くためだ。初めての拝聴になる。
 開演は午後2時。当日券(1,000円)で入場。曲目は次のとおり。指揮は尾崎晋也さん。
 ベートーヴェン 交響曲第4番 変ロ長調
 カリンニコフ 交響曲第1番 ト短調

● 都内の地名を冠した市民オケでは,豊島区管弦楽団の水準に驚いたが(都民響は聴きそびれている),今日,2つ目の驚きに遭遇した。立派なものだ。ベト4で感嘆し,カリンニコフで圧倒された。
 寄せては返す波のような弦のゆらぎ。強弱とか緩急というより,寒暖のつけ方が巧いという印象。何を言っているのだ。言っている側もよくわかっていない。
 音には温度がある。状況に応じて相応しい温度を与えなければならないのだが,当然,状況は常に変化する。時に大きく変わる。その変化にピッタリ寄り添って,的確な温度を維持している。そういう印象なんですけどね。いよいよわからんな。

● 木管ではまずオーボエ。どのパートもかなり凄いんだけれども,まずはオーボエ。1本の縦笛から繰りだされる七色の変化球。たとえが古すぎて,どうもいかんな。
 わずかな風のそよぎ。そのわずかの多彩さ。そよぎの幅の大小とそよぎが通る小径のありよう。
 こうなると,演奏を聴いて曲を聴いていないと言われそうだが,これは仕方がないね。ライヴで良い演奏を聴く醍醐味のひとつは間違いなくここにあるものな。

● 調布といえば,桐朋学園のお膝元。レベルが高いのはそのためかと思ってみる。桐朋の卒業生がけっこう入っているんだろうか。
 って,それは考えづらいよね。卒業後に何が悲しくて調布に残らなくちゃいけないんだよってね。全国に散るはずだよね,普通はね。あるいは,現役の学生が団員になっていたりするんだろうか。

● ところで,カリンニコフ。これ,曲もいいんだよねぇ。CD持ってたかな。この曲のCDだけ持っていた。カリンニコフで演奏される機会があるのは,この交響曲第1番だけなんだろうか。
 プログラム冊子の解説によると,35年の生涯。作品じたいが少ない。
 交響曲第1番も2番も「もほとんど病床で作曲されたものであるが,生への希望に満ちた明るさが感じられる」というのが,定まった評価であるらしい。ロシアの正岡子規のような感じかなぁ。過労がたたっての結核だったようだ。

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