2019年12月31日火曜日

2019.12.28 東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団 第42回定期演奏会

ティアラこうとう 大ホール

● 開演は19時。この楽団の冬の定演は毎回,このスケジュール。ので,冬はまだ一度も聴いたことがない。なぜというに,終演は21時を過ぎることになるからだ。
 つまり,その日のうちに自宅に帰り着くことができなくなる(新幹線を使えば可能だろうが)。

● が,今回は都内に宿を取っている。ゆえに,後顧の憂いなく(?),今夜は会場にやってきた。しかも,その宿が地下鉄で2駅という距離だ。
 開演は19時。入場無料(カンパ制)。ただし,チケット(整理券)が必要。が,当日も配っているので諦めるには及ばない(事前に取っておいた方がいいとは思うが)。

● 曲目は次のとおり。指揮は原田幸一郎さん。常任指揮者のような位置づけですかね。
 チャイコフスキー 歌劇「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”
 スーク 弦楽セレナーデ
 ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

● じつは,ここに来る前にホテルのラウンジでハイボールを3杯飲んでいる。ほんわか快適。こういう状態で演奏を聴くのはどうなのよという意見もこれあり。
 でも,たいていのホールでは酒を売るからね。休憩時間にワインやらビールを飲んでいる人はさほどに珍しくはない。相撲や歌舞伎じゃないんだけど,“楽しむ”にはアルコールがあった方がよいってことですかね。
 普段はそれをしないんだけど,今夜はどうも安心感ゆえ気がふわーっと緩んでいる。

● この楽団のアンサンブルはほとんどプロ級。ってか,第4楽章の迫力に満ちた重厚さは何事ならん。軽やかな重厚さっていうかね。疾走する様が小気味いい。
 ほんわか酔った状態でいるのだから,気分は王侯貴族だ。でもって,これだけの「新世界」を聴けるんだからたまらない。
 最高の年末だ。こんな過ごし方ができるのは,世界でも日本の東京だけと勝手に決めておく。

● ところで,オーボエの山本楓さんが賛助出演していたようなのだが,気づかなかった(ヴァイオリンに奥村愛さんがいたのはわかった)。山本さんが登場するくらいなのだから,レベルの高さも宜なるかな,でしょ。
 同じコンセールマロニエ21の弦楽器部門で第1位だった金孝珍さん(ヴィオラ)がやはり奏者に加わっていたことがあった。
 そういう楽団なのだということ。指揮者の原田さんが,学生オーケストラの中では一番上手,と言っていたけれども,まったくもって異存はない。

● 終演後,住吉の駅に向かう人たちが話す会話を聞いていても,満足して家路をたどっている様子だ。中には興奮さめやらぬという人も見受けられる。その気持ちはとてもよくわかる。
 絵画や彫刻でも,演劇でも,音楽でも,鑑賞するという行為に現世利益があるとすれば(あるのだが),おそらくはここに帰着するのだろう。
 これだけ多くの人をここまで高揚させるのだから,この楽団には力があるということになる。さよう然り,力があるのだ。

● ぼくは客席に1人でポツンと座っているのだが,客席の様子をうかがっていると,夫婦で来ている人,親子で来ている人もわりといるようで,その夫婦の片方と親子の片方が知り合いだったりするケースもある。そこに別の知り合いが絡んできて,ここはサロンかと思うような光景が展開する。
 ぼくは最近までこういう光景に接するのがかなり嫌だったんだけどね。今日に限っては,こういうのもアリかなぁと寛容な気分が最後まで続いたね。

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