2019年12月18日水曜日

2019.12.14 昭和音楽大学 第44回メサイア

昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

● 東武宇都宮線を起点に,北千住でメトロ千代田線,代々木上原で小田急小田原線に乗換え,新百合ヶ丘に降り立った。東武を使うとかなり遠いと感じる。
 それが嫌なのではない。たくさん電車に乗っていられるのだから。

● 新百合ヶ丘に来たのは,昭和音大の「メサイア」演奏会を聴くため。ところで,ここは行政区域でいうと川崎市麻生区になるのだな。
 洗足学園は同じ川崎市の高津区だった。川崎には音大が2つもあったのだな。川崎市が音楽の街を標榜する理由のひとつはここにあったのか。

● しかし,と思う。洗足のある溝ノ口からはJR南武線で1本で川崎駅に行き着くことができるが,新百合ヶ丘からは登戸で乗り換えなくてはならない。新宿までは乗換えなしで行く。溝ノ口からだって,川崎よりは渋谷の方が近いかもしれない。
 東京近郊都市の宿命だが,名目上は川崎だけれども,かなりのエリアが準東京になっているだろう。

● この演奏を知ったのは,11月30日の音大フェスでもらったチラシから。ネットでチケットを買っておいた。が,当日券もあったようだった。
 安いB席(1,700円)にしたのだが,ぼくの席からはステージの左半分が切れてしまうのだった。ここはケチるところではなかったかなぁ。
 開演は午後3時。

● 指揮は星出豊さん。ソリストも合唱団も管弦楽も当然,自前。佐藤寛子さん(ソプラノ),髙橋未来子(アルト),髙橋大さん(テノール),市川宥一郎さん(バス)。
 管弦楽は昭和音楽大学管弦楽団で,合唱は昭和音楽大学合唱団。

● イエスの一生と住民の関係を綴ったものだが,“ハレルヤ”で興奮は絶頂に達する。イエスこそ万軍の主であり,王の中の王だ。けれども,自分たち(民衆)はそのイエスを笑いものにした。
 その負い目を埋めようとするかのごとく,怒濤の勢いで,音楽は天上に駆けあがる。“ハレルヤ”が単独で演奏される機会が多いのはゆえなしとしないのだった。

● 全曲を生で聴くのは今回が初めて。その“初めて”がこの演奏だったことは,ラッキーだったのだと思う。管弦楽,ソリスト,合唱のいずれもね,この水準で聴ければね,ぼくからすると何の不満もない。
 全体を把握できた。これでCDを聴くことができる。

昭和音楽大学
● ぼくの隣はひとりで来ていた高齢の女性。たぶん,80歳にはなっているのではあるまいか。足も少し不自由そうだったが,真剣に耳を傾けておられた。
 率直に申しあげて,聴覚もだいぶ衰えていて不思議はない。それでもこの会場に来るのは,ひょっとして彼女はクリスチャンなのか。あるいは,この大学か「メサイア」という楽曲に何らかの思い入れがあるんだろうか。それにしては飄々とした感じだったけど。
 自分が彼女の年齢まで生きたとして,さてこうした会場に足を運んでいるかどうか,まったく自信はない。

● 終演する頃はすでに暗くなっている。新百合ヶ丘の駅前,ペデストリアンデッキにもクリスマスのイルミネーション。少し冷やかしてみたかったけれども,まっすぐ改札に向かってしまった。
 余韻を引きずらずに,すぐに娑婆に戻るのは,いいことなのかもったいないことなのか。

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