栃木県総合文化センター サブホール
● 開演は午後7時。チケットは1,000円。当日券を購入。
主催者は宇都宮大学教育学部声楽研究室・作曲研究室。「宇都宮大学教育学部音楽科の教員とその卒業生による歌曲・室内楽演奏会」ということ。
● 同じく宇大出身のRADIO BERRY(FM栃木)のアナウンサー,渡辺裕介さんが司会を務めた。奏者へのインタビューもあって,それも含めて楽しいコンサートになった。
ただし,というか当然のことなんだろうけど,聴衆も宇大の同窓生であることを前提にしていたようで,同窓生を前にして昔話に花を咲かせる的な色彩が濃厚だった。
● 宇大にはエンもユカリもないぼくのような者は,疎外感を味わうことになる。
かといえば,そんなことはなかった。奏者の背景やエピソードは知っておいて損はない。しかも,奏者自身が語るわけだから。
けっこう美味しい話も聞けた(ように思う)。特に,栗田智水さんとゲストの渋谷陽子さんの話は面白かった。それぞれ,パリとローザンヌに音楽留学してたときの話なんですけどね。
● ま,1回目だからね。リキが入った結果こうなったところもあるかもしれない。PR効果も狙いたいだろうし。
宇大色をどこまで出すか。一般公開の演奏会である(しかも,少額とはいえ入場料もとる)こととの兼ね合いで,少々厄介な部分が出てくるかな。
● プログラムは多彩でもりだくさんだったんだけど,まずは栗田智水さん(フルート)と菊地由記子さん(ピアノ)の,プーランク「フルート・ソナタ」とピアソラ「リベルタンゴ」。
栗田さんのフルートは,伸びやかなうえに,清潔感があるというか,上品というか。そうだ,気品があるといえばいい。この言い方がピッタリだ。当然にしてキレもある。か細く長く,もお手のもの。
プーランクもピアソラも,おそらく吹き慣れているのではないか。自家薬籠中のものなんでしょ。
菊地さんは作曲が本業かと思うんだけど,妙な自己流を入れない素直なピアノ(のように思われた)。
● ベネットの「4つの小品組曲-2台のピアノのためのディヴェルティメント」も面白かった。演奏したのは,新井恵美さんと益子徹さん。
プログラムノートにも「譜面に描かれた音符を奏すると,あたかもアドリブで演奏しているかの様になり,クラシックとジャズを融合した,肩の力を抜いて楽しめる小品組曲である」と紹介されているけど,なるほどと思った。
お二人がジャムセッションをやっているのかと思うところがあった。そうか,楽譜のとおりに弾くとこうなるのか。
軽く楽しめるエンタテインメントという印象。
● もうひとつ。木下大輔「追分」。無伴奏チェロ曲で,チェロは渋谷陽子さん。どんな楽器でも名手が弾くとこうなるっていう,ひとつの範例。
栗田さんのフルートに感じたところと同質のものを,彼女のチェロにも感じた。もう少し聴いていたいかなというところで,唐突に曲が終わる。
● 月曜日の夜の2時間をこういうふうに過ごせる,しかも栃木で。ありがたかった。
ないものねだりをするならば(しても仕方がないんだけど),休憩時にワインなんか飲めるとありがたい。そんなことをしても絶対赤字になるはずだから,ほんとにないものねだりなんだけど。
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