矢板市文化会館 大ホール
● 宇都宮北高校と作新学院高校の吹奏楽部の演奏会は,それぞれ3回ずつ聴いている。どちらも大したものだと感心する。
しかも,それが一発花火ではなくて,学年を超えて受け継がれていくのが,不思議でもあり,すごいものだなぁと思っている。
● 両校とも実績も知名度も充分。では,それ以外の高校はどうなんだろう。ありていにいうと,どの程度の差があるものなんだろう。
という,無礼な方向からの興味もあって,矢板に出向いてみた。開演は午後2時。入場無料。
● お決まり(?)の3部構成。第1部のスタートは「北天の陽」。吹奏楽コンクールで演奏した曲だとのこと。
「一番思い入れのある曲」だとあるけれども,その思いはしっかり客席に届いてきた。これで,初っ端,客席をガッと掴むことができた(と思う)。
● プログラム・ノートには「少人数編成の私たちは他のパートをカバーすることには慣れていますが,今回は特にパーカッションが2人しかいないため,様々な工夫をして1人が沢山の楽器を演奏しました」ともある。
たしかに少数精鋭での演奏。しなくてすむならそれにこしたことはない工夫のはずだろう。持ち場を変えて動く部員が何人もいた。そうしながら,ここまで完成度を高めてくるんですな。
● 第2部はマーチング。この部門で県代表になった。この人数で県代表というのはすごくないですか。
マーチングだから,演奏以外の構成も出てくるわけでしょ。ユニフォームのデザインも大事だったりするんじゃないか。そういうのは誰が考えるんだろ。
マーチングの指揮はOGがやっていたようだ。彼女が企画担当なんだろうか。
● 数で勝負するわけにはいかない。ラインを伸ばしたり縮めたりして,ラインの変化で魅せるっていうのも,おのずと限度があるだろう。
ここも工夫なんでしょうねぇ。工夫した結果がこれで,これで関東大会に行ってきたんだぞ,と。
● 第3部はポップスステージ。ジブリメドレーとか,アナ雪とか,アニメソングメドレーとか。サービス精神満載のステージになった。
ただ,サービス精神だけでサービスになるかといえば,そうはいかない。サービスにできるだけの腕がないと。
で,その腕は充分にあったんでした。OB・OGも加わっていて,音も分厚くなっていた。クラリネット,フルート,サクソフォンなど,各パートの水準も高い。中にめっぽう巧い奏者がいる。
● 最後に部長挨拶。感極まったんだろうな。いい挨拶でしたよ。
3年生のほとんどが初心者だったって言ってたんだけど,本当なのか。それとも,へりくだってみせた? ここで妙にへりくだる必要はないはずだから,本当なんだろうな。
ということは,高校に入って初めて楽器に触れたってことだよね。それでも3年間でここまでの水準に到達できるのだとすると,高校生の可塑性の豊富さっていうか,柔らかさっていうか,伸びしろの大きさっていうか,素晴らしいよなぁ。
中高年にはそれに抗する術がない。
● 特別な練習メニューというか,この高校に特有のシステムがあるわけではないと思うんですよね。顧問の先生が熱心だとか,OB・OGが指導に来てくれるとか(OB・OGの指導って,ときに迷惑だけど),そういうことはあるにしても。
地味な練習を重ねるしかなかったはずだ。ステージが華やかなものほど,練習は地味になるもんね。
● 大変で何度もやめたいと思った,とも部長さんは語っていた。
まったくの初心者から始めてここまでになったのだとすると(なったわけだけど),やめたいと思ったことも,そりゃあったろうな。
でも,やめないで続けて,よかったよな。
● ほのぼのとした元気を分けてもらえた演奏会だった。ありがとうと言いたい。
高校生のパワーをなめてはいけない。これまでに何度も思わされたことを,今回もまた思わされた。自分よりはるかに若い人たちに,そのことを実地に教えてもらえるのは,年寄りの役得のひとつだと思う。
● ひとつ,気になることがある。この定期演奏会の時点で,部員は19名。そのうち,3年生が12名。4月からどうする? 新入部員がたくさん来てくれればいいけど。
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