2015年3月16日月曜日

2015.03.13 宇都宮短期大学・附属高等学校音楽科 第47回卒業演奏会

栃木県総合文化センター サブホール

● 昨年に続いて二度目の拝聴。開演は午後5時半。入場無料。
 入り口にOBの阿久澤政行さんが立って入場者を迎えていた。団結が強いんだなぁと思ったんだけど,母校で講師を務めているんですね。っていうか,この演奏会にご自身も登場するんでした。

● 冒頭の学長の挨拶によれば,短大では28年度から邦楽も学べるようになるらしい。ホームページを見ると,和久文子さんを客員教授に招くことになっているようだ。
 「総合音楽短大」の陣容を備えることになる。

● 聴衆の数は昨年以上。バルコニー席もほぼ埋まった感じ。写真を撮る人はバルコニー席からお願いしますとのアナウンスもあった。
 適切な措置かと思われる。この種の演奏会では,聴衆の多くは生徒の保護者や友人のはずで,通常の演奏会と同じ水準で撮影禁止を求めるのは現実的ではない。かといって,野放しでどうぞというわけにもいかない。他の聴き手の集中を切ってしまう。
 全面的に禁煙を強制するわけにはいかないけれども,場所を決めてそこで喫ってもらう分煙が,まぁまぁ妥当なところ。

● 前半は研究科と高校の部。昨年は電子オルガンが多かったのに対して,今回はフルート,トランペット,サクソフォン,マリンバと多彩な演奏になった。このあたりは学年によって波があるんですかねぇ。
 それと,高校の卒業生に男子が何人かいる。昨年はひとりしかいなかったと記憶しているんだけどね。

● 大勢の女子に囲まれて羨ましいっちゃ羨ましいんだけど,それにも限度があって,男子が自分ひとりだけっていうんじゃ辛すぎるもんなぁ。
 まったくの蛇足ながら,いくら恵まれた環境にいても,モテないやつはモテないんだよな。女子2人,男子98人という環境でも,モテるやつはその2人にモテる。それはそういうものなんだけど。

● 最も印象に残った演奏は,古谷真唯さんのサクソフォン。グラズノフの協奏曲変ホ長調。巧いものだなぁと思った。
 それだけで片づけられては本人としてはご不満かもしれないけれども,ぼくの聴き手としての水準がその程度のものなので。

● 最も印象に残った奏者は,ピアノの吉原麻実さん。自身が演奏したシューマンの幻想曲ハ長調のほかに,伴奏で登場すること四度。ほとんど出ずっぱりの感じ。
 で,その伴奏が良かったと思う。いい具合に力が抜けていたんですか。シューマンも聴き応えがあったという前提で,伴奏が良かったと言いたい。

● 男子も2人登場。貴重な存在だ。マリンバの村上優太さん。巧いのかそうでもないのか,じつはぼくにはわからない。が,かっこよかった。
 マリンバってこれがあるんだよなぁ。見せる要素が大きい。ステージでやるんだから「見せる」は大事なことだ。
 一ヶ所に立ってればいいわけじゃない。4本のマレットを持って動き回る。運動神経,反射神経がものを言いそうだし,筋力(特にインナーマッスル)を鍛えておくのも大事なのだろうなと思わせる。

● その動き回る様を見ながら感じたことは,知の迸り,だ。反射神経や筋力やリズム感やマレットの操り方や,その他諸々の要素があるんだと思うけれども,それらが総合されると知=インテリジェンスの表現になる。
 知の現れ方はひと通りじゃない。勉強ができるとか,飲みこみが早いとか,一を聴いて十を知るとか,そういうのだけが知じゃないんだなと思った。

● 後半は短大の部。特に女子について感じることだけれども,高校生になるとレディのオーラを出す。これが短大になると,さらに大人びた風情を見せる。
 といっても,20歳なんだよね,まだ。このあたり,ステージ効果というかドレス効果というか。わかっていても,騙される。

● 最後は合唱。三善晃「女声合唱のための三つの抒情」から“或る風に寄せて”と“北の海”。女声合唱なんだけど,男子がひとり入っていて,しかもちゃんと声を出していた。

● というわけで,県内の音楽基地から発信される上質な演奏会,今回も堪能。金曜日の夜の贅沢。

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